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研究員挨拶:高橋舞(音楽研究室)

自己紹介

このたび、ピティナ音楽研究所の協力研究員に就任させていただきました高橋舞です。桐朋学園大学ピアノ科を卒業後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学大学院修士課程ピアノ演奏科を修了し、帰国して演奏活動やセミナー活動などをしておりましたが、留学中の経験から「演奏」についてもっと知りたいと考えるようになりました。そこで演奏研究の第一人者でいらっしゃる渡辺裕先生の指導を仰ごうと、社会人になってから東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻修士課程に入学し、非常に遅いスタートではありましたが研究の道に足を踏み入れました。現在は同博士課程に在籍し、楽譜と録音の両面から演奏について研究しています。

研究対象

主にバッハ作品の録音を研究対象に、それらを可視化することで、演奏様式の変遷や、具体的な奏法がどのように継承されてきたのかを分析してきました。ピティナには、様々なレパートリーの録音が蓄積されているとのことで、そうした録音を使わせていただきながら、バッハ以外の作品において演奏スタイルにどのような変遷があるのか、分析してみたいと思っております。またピティナには、多くの先生方、演奏家の方々がいらっしゃいます。先生方のご協力が得られれば、私のもう一つの研究対象である実用版楽譜というメディアが、演奏のスタイルにどのような影響を与えうるのか、分析したいと思っています。それにより、実用版楽譜と録音が一部を担ってきたと考えられる、演奏の継承への影響を可視化することができるかもしれません。またいつの日か、どのような楽譜を使ってバッハを教えていらっしゃるか、あるいはどのように教えていらっしゃるのかアンケートを実施し、机上の空論ではなく、教育現場や演奏現場においてバッハがどのように捉えらているのか、ということについて調査してみたいと思っております。

メッセージ

私自身はピアノを勉強しているとき、演奏のスタイルに流行り廃りがあるとは思ってもいませんでしたが、今では演奏のあり方やスタイルは、師から弟子へまたメディアを通して受け継がれながら、少しずつ変化してきたものなのだと感じています。
私が行っている演奏研究は、演奏なさる方々にとって、すぐに役立つような話題や提言はあまりないかもしれません。それでも、演奏に関する歴史的な視野を持っていただくことで、なにかのアイディアを得ることができるかもしれません。先生方や学習者の方々にも興味をもっていただけるような研究をして、研究成果を指導者、演奏者、学習者の皆様と共有できればと思っております。そこで皆様からのフィードバックをいただければ、これ以上の喜びはありません。どうぞよろしくお願い致します。

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