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運動は、慢性の痛みや疲労、自律神経バランス、ストレス管理のための強力なツール

現代社会では、慢性的な痛みや疲労、自律神経の乱れ、ストレスに悩む人が増えています。これらの問題を解決するためには、運動が非常に効果的です。運動は身体だけでなく心にも良い影響を与え、全体的な健康を促進します。本記事では、まず慢性の痛み、慢性の疲労、自律神経バランス、ストレスについて説明し、それらが運動とどのように関連しているのかを掘り下げていきます。


1. 慢性の痛み

慢性の痛みは、3ヶ月以上持続する痛みを指します。日本人の4人に1人がこの痛みに苦しみ、生活の質を低下させることになっています。慢性の痛みの原因は多岐にわたり、特定の病気や怪我、心理的社会的なストレスが影響することも指摘されています。

運動との関係

運動は慢性の痛みを軽減するために非常に有効です。適切な運動を行うことで、筋肉の柔軟性と強度が向上し、関節の可動域が広がります。また、運動はエンドルフィンという天然の鎮痛剤を分泌させるため、痛みの感覚を軽減する効果があります。

厚生労働省監修の慢性疼痛診療ガイドラインでも、運動療法が、慢性疼痛(慢性腰痛、慢性頚部痛、変形性膝関節証)に高いエビデンスレベルで強く推奨されています。

2. 慢性の疲労

慢性の疲労は、持続的な疲労感が続き、通常の休息では回復しない状態を指します。この状態は身体的および精神的なストレスの結果として現れることが多く、日常生活に大きな影響を与えます。

運動との関係

適度な運動は慢性の疲労を軽減する効果があります。運動は血液循環を促進し、酸素や栄養素が体の隅々まで行き渡るようにします。これにより、疲労回復が促進され、エネルギーレベルが向上します。また、運動は睡眠の質を改善するため、より深い休息を得ることができます。

とくに慢性的な疲労の場合は、少しずつ負荷量を増やす段階的な運動がすすめられています。

3. 自律神経バランス

自律神経は、交感神経と副交感神経から成り、体の無意識な機能を調節します。交感神経はストレス時に活性化し、副交感神経はリラックス時に働きます。このバランスが乱れると、心身にさまざまな不調が現れます。

運動との関係

運動は自律神経バランスを整えるために効果的です。特に、一定のリズムで行う有酸素運動は副交感神経を刺激し、リラックス効果をもたらします。また、ヨガや太極拳などの運動は、深い呼吸とゆっくりとした動きを通じて自律神経のバランスを改善します。

4. ストレス

ストレスは、心身に負担をかける外部の刺激に対する反応です。短期間のストレスは適応反応として有益ですが、長期間にわたるストレスは健康に悪影響を及ぼします。ストレス管理は健康維持において重要です。

運動との関係

運動はストレスを軽減するために効果的です。運動中に分泌されるエンドルフィンは気分を高揚させ、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させます。また、運動は気分をリフレッシュさせ、精神的なリフレッシュを促進します。

運動の重要性とその実践方法

これらの問題に対処するために、運動を生活に取り入れることが不可欠です。運動を効果的に取り入れるための具体的な方法として、以下のアプローチがあります。

1. 有酸素運動

有酸素運動は、心肺機能を強化し、全身の血液循環を促進します。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などが含まれます。これらの運動を定期的に行うことで、慢性の痛みや疲労、自律神経バランス、ストレスの軽減に役立ちます。

しかし、とくにジムに通ったり、新たなスポーツを始めたりする必要はありません。なかでも誰でもすぐにできて有効性の高いものは、ウォーキングでしょう。近所に公園があれば、その緑の中を、鳥の鳴き声を聞きながら歩くのも良いでしょう。

ウォーキングは、年齢や目的に応じて、2000歩~8000歩が推奨されています(理想の歩数は1日何歩?)。

2. 筋力トレーニング

筋力トレーニングは筋肉を強化し、関節の安定性を向上させます。ウェイトリフティング、レジスタンスバンド、体重を使ったエクササイズ(プッシュアップやスクワット)などが効果的です。筋力を高めることで、慢性の痛みや疲労の予防と管理に役立ちます。

しかし、筋力トレーニングも、とくにジムに通う必要はありません。自宅でもできますし、近所の公園で鉄棒やぶら下がりできる場所をみつけて行うこともできます。いきなり腕立てがきつい人は、壁に手をついて行う「壁腕立てふせ」で十分です(壁腕立て伏せのやり方)。

3. 柔軟性トレーニング

柔軟性トレーニングは、筋肉や関節の可動域を広げ、柔軟性を向上させます。ヨガ、ピラティス、ストレッチングなどが含まれます。これらの運動は、自律神経のバランスを整え、リラクゼーションを促進します。

しかし、柔軟性トレーニングも、とくにかまえて行う必要はありません。自宅やオフィスで机に向かう時間の合間に、家事や育児の合間に、軽くストレッチをしたり、身体を回したり、簡単な運動から始めるのが良いでしょう。

4. マインドフルネス運動

マインドフルネス運動は、現在の瞬間に意識を集中させることを目的とした運動です。ヨガや太極拳などの運動は、心と体を一体化させることで、ストレスを軽減し、自律神経のバランスを整えます。

マインドフルネス運動も、とくに運動というほどの運動ではなく、ちょっと身体を動かしながら、いつもより意識を身体に向けて感じてみることでもはじめられます。

まとめ

運動は慢性の痛みや疲労、自律神経バランスの乱れ、ストレス管理において極めて重要です。有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟性トレーニング、マインドフルネス運動などを取り入れることで、全体的な健康と幸福感を向上させることができます。

こうした運動は、何か特別なものと思いがちですが、ジムに通ったり、新しい運動を始めたりすることなく、ほぼどこでも、日常の生活の中で、すぐに始められます。

運動を定期的に行うことで、体と心の両方を健やかに保ち、より充実した生活を送ることができるでしょう。

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