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【投資初心者への最高の心理学レッスン3】なぜメンタルの技術で損失が減るのか?(後編)

【心理学×投資】を発信する心理士 ゆうと です。
今まで、ほんの少しこんな悩みはありませんか?
・不安で株価の動きがいつも気になってしまったり、すぐに売ってしまう
・イライラして投資で本来の力が発揮できない。
・負けを認めたくなくて損切ができず、塩漬けにしてしまう。
・たくさんの投資法があるけれども、どれがよいのかわからなくなる
・投資の精度を上げて、損を減らす方法が知りたい。

こんな経験がある方には、投資のメンタル・マネジメントの習得をおすすめします。
感情は、無意識のうちに、投資判断に影響してしまいます。
そのため、後になってから「なんであそこで売っちゃったんだろう」「根拠もないのに買ってしまった」なんて、本来望んでいない取引をしてしまうことが少なくありません。
「投資はメンタルが重要」と言われてますが、これまでは体系的な方法論が全くありませんでした。

そこで、臨床心理士の資格を持ち、これまで1万人以上の心のケアに携わり、カウンセリング歴10年・投資家歴12年の私が、10年間かけて開発した最先端の臨床心理学に基づくメンタル・マネジメント法
【投資家のための認知行動マインドフルネス・トレーニング(仮題)】
 CBMT-I: Cognitive Behavioral Mindfulness Training for Investors

のエッセンスを【投資家のための至高の心理学レッスン】で、少しずつ紹介させて頂きます。

この方法は、短期・長期投資、テクニカル・ファンダメンタルズ分析などの投資スタイルに関係なく、全ての投資家が活用できます。
また、水泳や楽器、野球といった習い事と同じように、誰もが最短効率で、小さなステップでスキルが身につけられるようにデザインされています
そう、これは「技術」です。
誰もが身につけ、習慣化できるものです。
最初はぎこちなくても、練習すればスムーズに泳げたり、自由に演奏したり、ボールを正確に投げられるように、
メンタルの技術も日々練習し続ければ、習慣化して自然にストレスに対処できるようになり、自分の感情を冷静にコントロールできるようになります。

前回の【投資家のための至高の心理学レッスン3(前編)】では、以下を解説しました。
■ なぜ「損を減らす戦略」が有効なの?
■ なぜメンタルの技術で、あらゆる投資法の成果が向上するのか?
■ 投資のPDCAサイクルとは何ぞや?メンタルはどう影響するの?

前回が長くなりましたので、2回に分けて引き続き後編をお送りします。
連載しステップバイステップでメンタル・マネジメントの理解が進むよう解説していますので、もし初回からお読みいただいていない方、前回を読んで頂いていない場合は、以下から読んで頂くと理解が深まりやすいかと思います。
※なお、ボランティアで執筆しているため全て無償で提供しています。

本記事を読むと、以下がサクッと理解できます。
■ 投資の知られざる大きなリスクとは?
■ なぜ心の健康投資とリスク・ヘッジが重要なのか?
■ メンタル・マネジメントが「一石三鳥」なわけ

投資の知られざるリスクは「心の健康」

高校の金融教育が始まり、政府の方針で2024年からNISA拡充され、投資ブームが到来しています。
投資を始めると、「損をするんじゃないか?」「元本割れするのでは?」と心配する方が多いものです。
しかし、心理カウンセリングやメンタル不調予防のトレーニングに携わってきた私が、一番心配しているのは、お金を損してしまうことではありません。
投資をきっかけにしたメンタル不調や人間関係への影響などの「心の健康」のリスクです。

10年以上メンタルのケアに携わってきて理解したことは、
心は一度折れてしまうと、完全には元どおりにはならないということです。
仮にコロナショックやバブルなど、何かの拍子に株価の暴落が起きて、
投資で一時的に損失が出たとしても、歴史的にはいずれ株価は回復します。
最悪、お金を失ったとしても、またお金は稼ぐことができますし、たとえお金が少なくとも、心のあり方次第で幸せに生きることはできます。

一方、心が深く傷ついてしまうと、その後の人生にも影響が残ります
もうご存知かもしれませんが、心の病気は再発リスクが高い病気がほとんどです。
以前のように働けなくなるどころか、家事や育児などの日常生活にまで支障が出てしまう方も少なくありません。

メンタル不調にならないまでも、大切な友人や家族との時間にまで株価やFXの値動きを気にしていたら、相手は「いい加減にして」「この人は私の時間よりも投資の方が大切なの?」なんて思われかねません。
子どもがまだ幼いころに、親がスマホの投資画面ばかり気にしていては、子どもの心の発達や親子関係にまで影響が出てしまう恐れもあります。

実際、カウンセリングや投資家の相談を行わせて頂く中で、投資で人間関係が崩れてしまった方もいらっしゃることに気づきました。
投資のことが頭をよぎるようになって仕事や家事に支障が出てきたり、損失を抱えた時に、ついイライラしてしまい、家族や子どもにまで当たるようになってしまう方もいました。
普段と違う態度に周りが気を遣っていると、ご本人は自覚がない場合がほとんどですが…
そうなってしまうと、友人や家族とは疎遠になりますし、最悪の場合はそれが原因で離婚してしまった方もいます。

投資に没頭することが日常のストレス解消の手段になってしまうと、
投資に依存するリスクが跳ね上がります

一度、依存症になってしまうと、残念ながら完治することはありません。
まず自分が依存症であることを認めて、治療を始めるまでに長く時間がかかる場合が少なくありません。
損したお金を取り返そうとして生活資金に手を出すどころか、借金を重ねたり、リスクの高いお金の稼ぎ方をしてしまったりして、ご本人の周りの方が借金やトラブルを肩代わりして苦労してしまう場合が少なくありません。
心の異変に気づいてからも、病院への通院だけでなく、自助グループに通うなど長い時間をかけて治療していく必要があります。
健康は、お金で解決できる問題ではないのです。

カウンセリングを10年以上経験した中で、メンタル不調になった方々が決まって話す言葉があることに気づきました。
「まさか自分がこうなるとは思わなかった…」

そうなる前に、今日からメンタル・マネジメントを学ぶことをオススメします。

「心の健康」への投資は、人生を豊かにする

「なぜ小さいころからメンタルの知識やスキルを教えないんだろう?」
私がずっと感じてきた疑問です。
日本では「メンタルなんて気にする必要はない」「心の病気なんて自分には関係ない」「我慢をしなさい」といったメンタルから目をそむけて無かったことにする風潮があることを日々感じています。

そうなると、大人になった時に困ってしまうことになります。
ハードな仕事や投資など、メンタルに強い負荷がかかる状況に直面した時に、何が自分の心で起きているか気づかず、どう対処してよいかもわからなくなってしまうからです
そうなると、仕事や投資のパフォーマンスの低下だけでなく、メンタル不調のリスクを抱えることになります。
中には、心の傷が深くなるまで、
気合と根性で何もせずただ我慢し続けてしまったり、お酒を飲む、現実逃避で何かに依存するなど、無意識にメンタルが逆に悪化する対処してしまい、メンタル不調になってしまう方も少なくありません

周りを見渡すと、職場の同僚や家族、友人がメンタル不調を抱えてしまった方はいませんか?
そんな時に、「俺はこれぐらいのことは我慢して乗り越えてきた」「いちいちストレスなんて気にしていられないよ」と無意識に自分の心の奥底にある信念が影響して、プレッシャーを本人にかけてしまったり、逆にどうしてよいかわからず腫物扱いしてしまうこともあります。

実は、私が投資のメンタル・マネジメントについて情報発信している理由は、あなたの投資のお役に立ちたいだけではありません。
金融投資をきっかけに、科学的エビデンスに基づいた「心の健康への投資法」が存在することを少しでも多くの方に知って頂き、ご自身の人生に少しでもお役に立てて頂きたいと願っているからです。
素晴らしいことに、メンタル・マネジメントなどの健康への投資は、株式投資のようにお金がかかりません
歯磨きや運動のように、ほんの少し日々の行動を変えるだけです。
たった1日3分間の歯磨きがあなたの歯を守ります。
それと同じ。
1日たった数分間の「心みがき」は、あなたのメンタルを守ります。
難しいことはありません。ほんのちょっとだけです。

もちろんメンタル・マネジメントを習得することで、投資のパフォーマンスは向上し、損が減り、改善サイクルがスムーズになることが期待できます。
それだけでなく、日々のストレスや自分の感情をどうマネジメントしてよいかが手に取るようにわかり、心が成長して人生が豊かになるようになります。

例えば、マインドフルネスを習慣化すると、毎日通勤で道を歩くときに、季節の変化や空模様、鳥のさえずり、行き交う人の表情、自分のメンタルの調子など、今この瞬間に何が起きているか、視野が広がり、深く気づけるようになります。
会社でお客様や上司から指摘を受けた時に「いちいち細かいなあ」とイライラしていた人は、自分の傷ついた感情を自覚し、一度脇において「この人は何を言おうとしているのだろう?」と、冷静に一歩引いて考えるようになります。
コンビニで買い物中に、ついスナック菓子を買おうとした時に「あ、また買いたくなっている」と今まで無自覚に繰り返していた習慣に気づき「おっと、私が買いたいのはコレじゃない」「やせるって決めたんだった」と本来望んでいる方に行動を軌道修正し、習慣をより良く変えられるようになります。

嫌な仕事があって、ちょっと不安な時には「まあ、後でやろうかな」とつい先延ばしてしまうものですが、認知行動療法を習得すると「不安な時は逆に一歩踏み出してみよう」とむしろ積極的に取り組むようになります。
すると「思ったほど大変じゃなかったな」「難しくても自分にもできた!」と不安が解消されて自己肯定感が育まれるようになりますし、前倒しで仕事を処理し、スムーズに業務が捗る、良い循環に仕事が好転します

メンタル・マネジメントは最高のリスクヘッジ

もしかすると、こんなことがあるかもしれません。
職場の望まぬ異動やパワハラ、いじめなど、圧倒されるようなストレス
病気や離婚、事故といった、想定外の悲しい出来事
そんな時、メンタル・マネジメントを身につけているかどうかで、
心が折れてしまうかどうかが、全く変わってくる
ということです。

メンタル・マネジメントは「保険」と同じようなものです。
皆さんも家に住む時には、必ず火災保険に入りますよね?
誰も望んでいませんが、家事や風水害が起きて家にあるものが壊れてしまうかもしれません。
そのために、保険に入るのです。
メンタル・マネジメントも保険と似ています。
メンタル・マネジメントの習得が、望まない出来事が起きた時の強力な保険になるのです。
しかも、メンタル・マネジメントは、保険より良い点があります。
毎月の掛け金を払う必要がありません。

メンタル・マネジメントに必要なのは、お金ではなく「練習」です。
野球や水泳、楽器に興味を持ち習い始めた時のように、
自分の心にちょっと関心を持ち、少しずつ練習し習慣化していくのです。
日本では、欧米のように学生の時にメンタルの技術を練習する機会はほとんどありません。
ですから、感情のゆれにどう対応していいかわからず、お酒や食べ過ぎなど不適切な対処をしてメンタルをこじらせてしまうことが少なくありません。
いまだに日本では心理カウンセリングは話を聴くだけというイメージがありますが、科学的に実証された世界標準の心理療法・メンタル不調予防法の「認知行動療法」は話を聴くよりも、技術の練習を行っていきます。
機能的磁気共鳴映像法(fMRI)などで脳の機能活動を計測する研究が盛んに行われるようになり、考え方や行動を変える練習を積み重ねると、実際に脳の機能が改善することが明らかになっています※1。

しかも、普段の日常から実践できるので、人生が豊かになります。
ちょっとストレスを感じた時、気を遣う人と接するとき、ダイエットや節約など習慣を変えたいとき、スポーツの大事な試合の時…
メンタルの技術を持つと特になる場面は、日常で無数に転がっています。

これからご紹介させて頂くメンタル・マネジメントは、
マインドフルネス・トレーニング、そして認知行動療法といった、世界的にメンタル不調の予防や、うつ病の再発予防、うつ病や不安症などのメンタル不調の治療で実際に使われ、効果が実証されてきた臨床心理学の方法に基づいて開発されたものです。
しかし、日本ではカウンセリングに国家資格が必要とされず、しっかりとした教育体制が整っていないため、質にばらつきがあると指摘されています。
私は日本の国立大学院で臨床心理学を学び、米国大学院に留学しスタンフォード統合医療センターでマインドフルネス(MBSR)のトレーニングを受け、米国大学院で認知行動療法の研究をしていました。その後も米国の心理学者からスーパーヴィジョン(指導)を継続的に受けながら医療機関、官公庁等で実践してきたので、質が担保されたものが提供できます。

このメンタル・マネジメントを習得すると、
投資のパフォーマンス向上が期待できるだけでなく、
自分の本当に望む方向に行動や習慣を変える方法が分かります。
そして、考え方や行動習慣、注意力が良い方向に変わるので、
人生が豊かになり、自己肯定感や「レジリエンス」と呼ばれる簡単には折れないメンタルの回復力が育まれる
と考えます。

要は、メンタル・マネジメントの習得は「一石三鳥」なのです。
実際に私も日常的に実践し、投資家の相談や心理カウンセリングでも提供して効果を実感しています。
この連載記事では、この投資家のための認知行動・マインドフルネス・トレーニング(CBMT-I)を少しずつ紹介していきます。
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最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。
少しでも投資でメンタルのマネジメントを身につけ、パフォーマンスを改善させたい、また投資によるストレスを軽減したい皆様のお役に立てば幸いです。
ニーズがありましたら連載していきますので、ご興味がおありの方は、
「いいね」を頂けると励みになります。

なお、ボランティアで執筆をさせて頂いているため、以前の記事も全て無償で提供しています。
「ところで誰?なぜ無償で情報発信を始めたの?」といった質問については、以下の記事で述べています。

また、投資家のための心理学のレッスンに関しては連載でステップバイステップで積み上げて少しずつ理解できるようデザインしています。
本記事から読んで頂くよりも、レッスン1回目から読んで頂けるとご理解しやすいかと思います。

次回はいよいよ、「なぜメンタルが不安定になるのか?」その原因である【投資のメンタルの仕組み】について解説します。
心の仕組みはメンタル・マネジメントの「設計図」です。
メンタルのトレーニングを始める前に、あなたの心がどんな仕組みで安定したり、不安定になったりするのかを理解することが第一歩となります。

※投資は自己責任でお願いします。本記事は情報提供のみを目的としたものであり、投資活動の勧誘や特定の銘柄への取引を推奨するものではありません。また、投資による利益の保証や、メンタルヘルス不調の治療及び予防の効果を保証するものではありません。
※誠に恐れ入りますが、SNSでのメンタルヘルス及び、投資にかかる個人的な相談はお受けしておりません。

【参考文献】
※1:Porto PR, Oliveira L, Mari J, Volchan E, Figueira I, Ventura P.,J. 2009 Does cognitive behavioral therapy change the brain? A systematic review of neuroimaging in anxiety disorders Neuropsychiatry Clin Neurosci.  Spring;21(2):114-25



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