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【投資初心者への最高の心理学レッスン1】お金を守る究極のマインドセット

始めまして。心理学×投資を発信する心理士 ゆうと です。
あなたは投資について、こんな風に思っていませんか?

「投資はあやしいし、危ない」
■「株は損するからやめた方がいい」
■「やばい詐欺にひっかかって大損するかも」

私もそう思います。
もしあなたが、自ら何も学ばず、何も考えず、
「手っ取り早く楽に儲けたい」と思っていたら、
投資をはじめる前に、一度立ち止まることをおすすめします。

というのも、投資は心を整える準備が大切だからです。
そう考えるのは、私に思い出したくもない苦い経験があるからです。
少しだけ、その時のことをお話しします。

投資はメンタル・マネジメントが必須

私が投資を始めたきっかけは、学生時代にアメリカの大学に留学をしていた時のことです。
現地のアメリカ人の友人の中に、一人だけ不思議な人がいました。
明らかにひとまわり年齢が上なのに働かず、ゆったりと日本語の勉強をしている謎の学生でした。
最初は不思議に思っていたのですが、仲良くなると、彼は投資家だということを知りました。
私が臨床心理学の研究をしていることを彼に伝えたところ、
アメリカでは、プロの投資家に専属の心理士(Psychologist)が契約しているんだよ。投資はメンタルのマネジメントが重要だからね
と教えてくれました。

「働かずに、自分の好きなことをして生活できるなんてなんて幸せなんだろう。しかも、心理学と投資は深い関係があるのか」
とても興味がわき、その日から夢中で投資の本を読んだり、彼の話を聴いて金融や投資の勉強をしました。
ただ、なぜメンタルが投資に重要なのか、最初はいまいちピンときませんでした。
しかし、その後間もなくそのり理由を知ることになりました。

私は投資を始めたばかりのころ、偏ったネット情報の見過ぎで
「投資を極めれば、短期でFIREできる」
とハイリスクな方向に投資のマインドセット(考え方)が染まってしまいました。

そして値動きの大きい個別株に資産の大部分を集中投資し、
ハイリスクな投資に走った結果、
私は給料半年分の損失を抱え、ベッドから起きれなくなり、メンタルダウンしたのです。
その時になって、ようやく投資家の友人が言った
「メンタル・マネジメントが投資に重要」ということが分かりました。

私は悩み、本や研究論文、インターネットで、投資のメンタル・マネジメントについて必死で調べてみました。
しかし、いろいろな本や記事に「メンタルが重要」と書いてあるものの、
「どうしたらよいか」という体系的なメソッドはどこを探しても見当たりませんでした。

そこで、私はこう思いました。
「世の中にないなら、自分でつくればいい」と。

知り合いの投資家の医師に話してみたところ、
「君の専門の認知行動療法は投資に役立つ」と太鼓判を押してくれました。
その日から、自分の投資に、認知行動療法やマインドフルネスといった臨床心理学のメソッドを試しに応用してみたところ、
投資のメンタルにも驚くほど効果があることに気づきました。

例えば、
■ 投資がうまくいかなかった時に、心理学のフレームワークで客観的に分析し、原因を洗い出すことができるようになる
■ 不安や欲で感情的になる投資の意思決定を、冷静に合理的に行うことができるようになる
■ 市場や資産に変動があっても、それほどストレスを感じず、楽に投資を続けられるようになる

それから10年以上かけて試行錯誤を繰り返し、投資の体系的なメンタル・マネジメント法を構築しました。
今では自分の投資だけでなく、カウンセリングや投資家の相談を受けた際に活用しています。

そんな中、国が「貯蓄から投資へ」と旗を振り、NISAやIDECOなどの政策を充実した結果、投資が一気に世間に広まるようになりました。
投資をする方が増えることはとても良いことに思えましたが、
最近私の身の回りで「投資を始めて失敗した」という相談が明らかに増えていることに気づきました。

たいていの場合、インターネットや知り合いの伝手で
「投資はうまくやれば稼げる」と聞いて、
ハイリスクな投資を行った結果、大きな損失を被っていました。

まるで、昔の自分を見ているようでした。

彼らは、周りに相談できず悩みを一人で抱えこんでしまい、
もう黙っていられないほどの損失を抱えた時に、その事実が発覚します。
しかも、周りの方が巻き込まれることも少なくありません。

子どもの学資保険を投資に充てて教育資金が一瞬で溶けてしまったり、
損を取り戻そうとして借金を重ねて家族から信頼を失ったり、
仕事に支障が出るほど心のバランスを失ってしまったり…。

「これ以上、こんな人を増やしたくない」
と率直に感じました。

そこで、私は投資をより健全に、安全に、心が楽に始めるための
体系的なメンタル・マネジメント方法を無償公開することを決めました。
この投資初心者のための心理学講座に、
私が投資初心者だったところに「これを知りたかった」という
投資のメンタル・マネジメントのエッセンスをギュッとつめこみました。

この記事を読んだ方が、
少しでも投資のリスクと損失を軽減し、
健全に資産運用を楽しみ、
そして心がスーッと楽になることを願っています。

初回である今回は、投資のメンタル・リスクを最小化し、パフォーマンスを最大化する投資初心者のためのマインドセットについて解説します。

投資は「マインドセット」で180度変わる

投資は、最初のマインドセット(考え方)が重要です。

例えば、身近な山登りに例えると、
「登山に準備は不要。早く登山を始めるのが一番」
というマインドセット(考え)を持っている人が富士山に登ったとします。

9割、その人は危険な目に遭うでしょう。
高山病になったり、道に迷ったり、季節外れに危険な道で転落し、
派手にケガをしたりするかもしれません。

「富士山に登る前には、入念に準備した方がよい」ことは、
常識的に誰にでもわかる話です。

投資も同じく「最低限の知識やスキルを身につけて始める」ことが重要です。
けれども、これまで日本人は、金融教育を受ける機会が全くありませんでした。
「今、この方法で投資をすれば必ず稼げる」と言われても、
馴染みが無いので首をかしげたくなるようなマインドセットも信じ込んでしまうことも少なくありません

なぜマインドセットを変えるとメンタル・リスクが激減するのか?

重要なことは、「マインドセット(考え方)が変われば、心の反応が変わる」ということです。

実際、「考え方を変えることで感情をコントロールできる」という仕組みを利用した認知行動療法という心理療法は、うつ病をはじめとしたメンタル疾患の治療法として世界的に行われています。
日本ではほとんど知られていませんが、世界的に認知行動療法はネガティブな考え方のクセに陥ってしまう病気であるうつ病治療の第一選択肢として行われており、再発予防効果は抗うつ薬よりも優れていることが実証されています。
「考え方と行動を変える」ことには、心の病気を治したり予防するくらいメンタルを安定させる効果があるのです
逆に、偏った考え方(マインドセット)やメンタルを悪化させるクセ(行動)が習慣化していると、ちょっとうまくいかないだけで感情は乱れてしまい、投資のパフォーマンス不安定になったり、時にハイリスクな投資行動を起こしてしまいます

「投資は稼げる!」投資初心者がはまるワナ

図解:危険なマインドセットがメンタルリスクを上昇する仕組み

「投資は儲かるし、稼げる!」
「早く仕事をやめてFIREできる!」
なんて考えていませんか?
こんなマインドセットは、時に危険な落とし穴になります。

「投資は儲かる」という先入観で投資を始めると、
心の反応に歪みが生じ、損失が出た時に事実を受け止められません

「自分はダメな奴だ」と過剰にストレスを感じて落ち込んだり、
「本当は絶対に勝てるはず」と感情的になり、無計画にハイリスクな投資をしたり、レバレッジをかけたり、さらに高いリスクをとって損を取り戻そうと躍起になってしまいます。
冷静に一歩引いて、マインドセットを見つめ直しましょう。

特に、あなたが短期投資(1日~数か月)を始めるならば、能力も資金も情報もケタ違いの一流のヘッジファンドや、機関投資家と、同じ「市場」というフィールドで戦うことになります。
そのプロの投資家でも、「良くて勝率6割」と言われています。
働いて時間も限られた一般人が、短期間で利益を出すことがいかにハードルが高いことかわかるでしょう。

初心者がはまる「過信」の心理トラップ

図解:危険なマインドセットがメンタルリスクを上昇する仕組み

たとえ、もし投資を始めて間もない時期に儲かったとしたら、
「過信の心理トラップ」にはまってしまうリスクもあります。

投資を開始した初期に成功すると、
「自分には才能がある」「投資額を増やせばもっと儲かる」と考え始め、能力を過信し、少数の銘柄への集中投資や、高いレバレッジをかけ、ハイリスクな投資に流れてしまうことも少なくありません。
それを繰り返すと、たいていの場合は資産がいずれかの時点で溶けてしまいます。

心理学の観点では、
初心者の時期に投資に成功することは良いことばかりではなく、
ハイリスクな投資行動を習慣化してしまったり、
「投資は短期間で簡単に儲かる」といったハイリスクな考え方を強化してしまい、「過信」を生むリスクもあるのです。

このようなマインドセット(考え方)や感情などのメンタルの要素が投資の損益に影響を与えてしまうリスクのことを、ここでは「メンタル・リスク」と呼びます。

投資のメンタル・リスクをいかにマネジメントするかが、
長い目でみた投資成功の秘訣なのです

マインドセットを変えると、心が変わる

マインドセットは、思考の色メガネ

マインドセットは目に見えない思考の「色メガネ」のようなものです。
「投資は儲かる」という思考の色メガネをかけていれば、
儲かることばかりしか見えなくなってしまったり、
損失を受け入れられず冷静さを失ってしまいます。

そこで、自分がかけている色メガネに気づいて、
それが果たして投資に役に立っているのか検証し見つめ直したり、
別の役立つ色メガネを取り入れてみることが大切です。
マインドセットの色メガネをかけかえれば、見える世界がガラリと変わり、投資とメンタルも劇的に改善します。

実際、「考え方を変えることで感情をコントロールできる」という仕組みを利用した認知療法という心理療法は、うつ病をはじめとしたメンタルの病気の治療法として世界的に行われています。
日本ではほとんど知られていませんが、世界的に認知療法はネガティブな考え方のクセに陥ってしまう病気であるうつ病治療の第一選択肢として行われており、再発予防効果は薬による治療よりも優れていることが実証されています。

マインドセット「投資はリスクの分散」

ところで、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
『タマゴを一つのカゴだけに盛るな』

例えば、資産を【日本円のカゴ】だけに入れ銀行に預けると、
一見安全に思えますが、実はリスクが隠れています。

というのは、人口減少や企業価値の低迷などで、日本の信用が失われ、
円安やインフレで今後も日本円の価値が下がっていくと、
同じ100円でも、買えないものが増えていきます。

つい最近までは100円でコンビニでコーヒーを買うことができましたが、
気が付いたら110円、120円と、どんどん値段が上がっていってしまいます。
それにもかかわらず、日本の銀行預金の利率は圧倒的な低金利です。
ただ銀行にお金を預けるだけでは資産がほとんど増えず、
インフレが進み続ける限り資産の価値が減っていってしまうのです。
こんな風に、日本円で現金だけを持つことにも、リスクあります。

そこで、様々な国の通貨や、株や投資信託、国債、コモディティ(金属、石油、農業商品など)、暗号通貨など、値動きの違う幅広い金融商品に資産を分散することで、日本円現金だけを保有するリスクを小さくするという考え方です。

マインドセットを整えれば、メンタルリスクが劇的に下がる

「投資はリスクの分散」というマインドセットは、
あなたに冷静さをもたらします。
「投資はリスクの分散」というマインドセットを重視して
資産を幅広い金融商品に分散すれば、
2つの点から投資とメンタルが安定します。

1点目は、広く資産を分散していれば、一部の資産価値が下がった時に、他の資産価値が上がることが多いからです。

たとえば、
■ 日本円の価値が下がっても、ドルの価値が上昇する。
■ 米国株の価値が下がっても、米国債の価値が上昇する。
■ 世界的に株が暴落した時も、金は価値は担保される。

このように一部で損失を抱えても、他のもので相殺できるので、
分散投資」によって資産価値が一気に低下してしまうリスクを小さくすることができます。

偏ったポートフォリオで「全てがマイナス」になるとツラいものですが、
分散されたポートフォリオでプラスとマイナスがあると、
メンタルへの影響も全く変わってきます。

2つ目は、投資の損益に過剰に神経質にならなくなるからです。
あなたが、「儲ける」ことを重視していれば、
損失が出た時に「こんなんじゃダメだ」と自分を責めて落ち込んだり、
損益を気にして非常にストレスがたまってしまいます。

一方で、儲けることではなく、
「リスクの分散」に重きをおいていれば、
短期的に損失が出ていたとしても、
「あくまで分散が目的」「すぐに利益が出る必要はない」
と冷静に受け止められるようになりますし、
当初の投資計画や運用ルールに基づいて計画的に運用しやすくなります。

マインドセット「時間軸で損益は変わる」

図1:S&P500 ETF(VOO)のチャート

あなたは、毎月一定の金額を投資信託などに積み立てて投資する長期積立投資をやっていますか?
もしそうなら、
「時間軸で損益は変わる」マインドセットを取り入れれば、
忍耐力と規律性がグッとアップします。

投資の王道と言われる長期積立投資でも、投資開始のタイミングや期間によっては、しばらくの間、含み損を抱えた状態になることもあります。
そんな時、「損してる。どうしよう…」と不安になったり、
「投資なんてしなければ…」なんて焦ってしまうことも少なくありません。
せっかく決めた投資計画やルールを破って規律を守れなくなってしまったり、市場から退場してしまったりする方もいます。

上の図1は有名なVanguard社の S&P 500をベンチマークした 上場投資信託(VOO)のチャートです。
ここから得られる教訓は、「時間軸で損益は変わる」ことです。
長期投資であれば、その時点で含み損を抱えていても、
「経済成長が止まらない限りは、今までは長期的に右肩上がり」
「歴史的に10年先は株価は上昇している」
と考え方を変えることができれば、多少の含み損を抱えても、メンタルが動揺しなくなり、計画的な長期積立投資を行うことができます。

誰にでもマインドセットの歪みはある

私も投資を始めて間もないころは
「投資をしている以上は利益を出さなければいけない」
と自分にプレッシャーをかけて、損が出た後にかぎって多額の資産を投入し過ぎて失敗してしまうことがありました。

でも、「投資はリスクの分散」とマインドセットを整えてからは、
変に自分にプレッシャーをかけたり、
過剰にパフォーマンスを気にしてメンタルが不安定になることがグッと少なくなり、
ルールや事前に立てた仮説に基づいて、冷静にロジカルに取引ができる
ようになりました。

みなさんも、自分が無意識にどんなマインドセットの色メガネを持っているのか、それが投資にどんな影響を与えているのかを振り返ってみてはいかがでしょうか?

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以上、投資のマインドセットについて解説しました。

私は心理士という職業柄、おもてには出てこない「株で失敗し、全資産を失った人」の人生の立て直しや、「投資をきっかけにメンタルがダウンした人」の心のケアやメンタル不調の予防に今まで携わって参りました。

皆様の大切な資産と心の健康を守るために、このような投資のメンタル・マネジメントについて少しでも知っていただくことが大切ではないかと感じ、不定期ではありますがコツコツと発信させて頂いております。
少しでもこの記事が、投資初心者、あるいは投資家の皆様のお役に立てば幸いです。

なお、ボランティアで執筆をさせて頂いているため、以前の記事も全て無償で提供しています。
「ところで誰?なぜ無償で情報発信を始めたの?」といった質問については、以下の記事で述べています。

次回は、投資でメンタルを揺さぶる感情の正体を解説し、認知行動療法・マインドフルネスを使った感情マネジメントをサクッと紹介します。

※投資は自己責任でお願いします。本記事は情報提供のみを目的としたものであり、投資活動の勧誘や特定の銘柄への取引を推奨するものではありません。また、投資による利益の保証や、メンタルヘルス不調の治療及び予防の効果を保証するものではありません。
※誠に恐れ入りますが、SNSでのメンタルヘルス及び、投資にかかる個人的な相談はお受けしておりません。


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