インターン日記 #1

Vulcanus in Europeという、日本の理工系学生を対象にした語学研修+インターンのプログラムに参加中です。
7月まで語学研修を日本で受け、8月の中旬からApplus+ IDIADAというスペインの自動車関連会社で働いています。

働き始めてからまだ一週間も経っていないのですが、毎日刺激を受けており、この感覚が少しでも鈍らないうちにいくつか書き留めておきます。

やること

私は、IDIADAの中でもPassive Safetyという、自動車の安全性を確かめるためのテストをやる部署に配属されました。
配属された初日から、大量のマニュアルとトレーニングが待ち受けていました。
上司は幸い日本人の方で(甘えてしまって情けないのですが、スペイン語は20%理解できるかどうかというところです)、
研修は日本語8割、英語1.5割、スペイン語0.5割でやっています。
むち打ち試験とシートベルトの安全試験をやるみたいです。まだ何もレポートとか書いていないけれど…

自動車の安全試験の裏側① ダミー人形

自動車が衝突する試験には、ダミー人形が搭載されています。
こども、男女、体のパーツだけ、頭に似た素材の動物など、本当にたくさんの種類があります。
ぎょっとするくらい、骨格もしっかりしています。

このダミー人形にはセンサーがたくさんついています。
衝撃の強さごとにセンサーが反応して、安全性が測られます。
xという数値の衝撃が与えられたら死亡する、yだったら死なないが大けがをする、といった、ランク付けがなされています。
この安全性の基準はどうやって作られたか知っていますか?



死体や動物を使って衝撃を計測していたようです。
検体されたものはスキンカバーに覆われて使われますが、多くの場合は黒人の方が多いとのことでした…
動物も、人の部位に合わせて選ばれます。猿とか、胴体だったら豚とか、頭だったら小動物とか…
倫理的な問題があるため、日本では昔から厳しく規制されてきたそうです。



自動車の安全試験の裏側② クラッシュ試験に関わる人

クラッシュ試験は本当に繊細な調整がたくさん入ります。
日本では、多くの場合少人数で回すことが多いのですが、IDIADAでは非常に細かく仕事が分かれています。

人形のポジショニングをする人
車とセンサーをくっつける人
試験を監督する人
クラッシュする前、したあとの写真を撮る(だけ)の人
クラッシュ時のグラフを書く人
お客さんとクラッシュ試験について話合って、どんな試験をやってほしいか現場の人に頼む人(←私はこれです)

など。
試験をやるのにも、合計で5台から6台の車が必要で、期間は3週間ほどかかります。
ダミー人形を乗せてぶつけるだけかと思っていましたが、ダミーのポジションを調整するのにも数時間はザラにかかりますし、厳しい温度調整も必要なのです。奥深い!

職場環境

エンジニアは、パソコンに向かいっぱなしですが、みんな自由に会話をしたり、ふざけ合っています。はやく会話に入れるようになりたい、、!

2時間に1回くらいはコーヒーブレイクと言って、近くの自販機に行って、30分くらい休憩し、
さらにお昼ご飯は1時間半くらいとります。このお昼ご飯は、ヴルカヌス生はただで食べることができます。
しかもめちゃくちゃボリュームがあるビュッフェです。
そして、ご飯が終わった後にコーヒーを飲みます。

なんだかんだ、働いている時間は5時間くらいなのではないかと思います。

女性のエンジニアは少ないですね。多分2割はいかないのではないかと思います。
ただ、日本の会社とは違うのは、マスターの学生が3人インターンをしに来ていて、彼らも雑務ではなく正社員と同様にお客さんとのやり取りを任されています。現場に出向いて、テストを指示することもあります。

キャリア

強く感じたのは、スキルと語学力を持っていてやっとスタートラインに立てるということです。特に外国人は。

特に理工学系の学生は大学に行ったり、インターン経験を積むのはキャリアのため、という志向が強い気がします。
自分がスキルを得たくなったり、
新しいことを学びたくなったら大学(院)に行き直す、
実践が積みたくなったらインターンや正社員として働く、などキャリアパスが多様です。
(日本の大学で文系の人ってどうやって海外で現地就職するんだろう、というのは気になります)

ずっとスペインの大学にいる、というのはむしろ珍しく、
大学の場所もしょっちゅう変えています。
このような流動性があるのは非常にうらやましいです。

続いて語学力ですが、たとえ英語が公用語の会社であっても、現地語ができなければ厳しいと痛感します。
国や業種によって違うとは思いますが、少なくともスペインのIDIADAではそうです。
スペイン語が少しできるだけで、職場環境にいやすくなったり、ランチで無駄に気を使わせることもなくなります。ランチの時が一番しんどい。

書いてみるとシンプルで、要は職場で即戦力にならなければ居る意味がない、ということです。
私は日本の就活のがくちか、人間性(?)、webテストでポテンシャル採用していくのはどうも自分に合わないと思っているので、欧州でのキャリアは魅力的です。

スペインで働いてみての感想

日本にいるとき、オンラインのスペイン語の授業に飽き飽きしてしまって、超適当な姿勢で受けていました(外から受けたりとか、当てられた時だけマイクつけるとか)。
授業のレベルはB1ちょっとでしたが、企業研修開始時は現在形も満足に活用できないくらい鈍っていました。

もちろん、車の勉強も何をすればいいのかわからない、という言い訳から、一切準備していませんでした。

スペイン語もわからない、車もわからない、
全然勉強してこなかった大学生が、いきなり現場に行って辛くないわけはないです。
日本人の上司とべったりで、何しに来たのかと腹が立ちます。
まわりのひとも、私に気を使ってくれているのがありありとわかって、英語で話してくれたり、わかりやすいスペイン語で話してくれます。

職場ではもはやスペイン語ではなく、
カタラン語(カタルーニャ地方で話されている言葉)が飛び交っています。

でも、専攻外なのにスペインの自動車会社に行くと決めたのも、
スペイン語を勉強する期間は与えられていたのに、
やらなかったのも自分の選択です。
この分は自分で巻き返します、頑張る!


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