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クリード 炎の宿敵(2018)

死闘を演じたアポロとドラゴの息子が決戦のリングへ
過去と絶妙につながる『ロッキー』シリーズの第2章

1976年の第1作公開から実に40年以上、 “不屈の精神”を鮮明に描き出し、多くの人々の心を捉えたボクシング映画の金字塔『ロッキー』('76~’06年)シリーズは、『クリード』('15年~)シリーズとなり、今なお、“頑張る人々”に勇気と希望を与える作品を送り出しています。

本作は、2015年に公開された『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。『ロッキー』シリーズを盛り上げた伝説のボクサー、アポロ・クリードの息子、アドニス・クリードをもう一人の主人公に据えた『クリード』シリーズは、『ロッキー』シリーズの歴史を知っていれば胸が熱くなるエピソードに彩られています。

【ストーリー】
『ロッキー4/炎の友情』で、ロッキー(シルベスター・スタローン)に敗戦したイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)は、妻と別れ、国を追放されるなど、辛い人生を歩んでいました。そんなハングリーな環境の中で、息子のヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)を“ウクライナ最強”の異名をとるボクサーに育て上げたドラゴは、ヘビー級チャンピオンとなったアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)に息子との試合を挑みます。
アドニスは父の仇のために挑戦を受けようとしますが、ロッキーは危険な試合をさせないために、トレーナーの要請を断ります。ところが別のトレーナーを立てて試合に臨んだアドニスは、かつての父を彷彿とさせる狂気的なヴィクターにボロボロにされてしまいます。

前作では、亡き父に憧れるアドニスが、引退したロッキーの助けを借りて、ボクシングチャンピオンを目指す姿が描かれました。

ロッキーの宿敵であり親友、そしてリング上で非業の死を遂げたアポロの息子のひたむきな姿と、彼を厳しくも温かくアシストする不器用なロッキーの姿が静かに胸を打つ佳作でした。

そして、本作ではなんと、アポロを死に追いやった旧ソ連の冷酷なボクサー、イワン・ドラゴが帰ってきます。演じるのは、『ロッキー4/炎の友情』(’85年)でドラゴを演じたドルフ・ラングレン。33年の時を超えた再演はスタローンとの、まさに炎のような熱い友情を感じ、感慨深いです。

通なファンにはたまらない、アポロとドラゴの因縁の再戦。そんな興味深い題材を通して描かれるのは、深遠な父と息子の愛の物語です。父を乗り越えようとするアドニス、復讐で繋がる悲しい親子ドラゴとヴィクター、さらにロッキーが脚光を浴びることで疎遠になっていった息子との物語が加わります。

各キャラクターの苦悩や葛藤を寡黙ながらも、丁寧に描くのは『ロッキー』シリーズから続く伝統芸。終盤のボクシングシーンでの感動に大きく貢献しています。

無名だったスタローンは自ら脚本を書いた『ロッキー』で一躍スターダムを駆け上り、映画さながらのサクセススストーリーを実現させました。

その後、浮き沈みも経験した御年71歳のスタローンが紡ぐ、“魂の”再生物語として、『クリード』は見逃せないシリーズになりそうです。

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5年ぶりの『クリード』シリーズ第3弾が2023年5月26日より公開!

クリードを演じるマイケル・B・ジョーダンが監督デビューを果たしています。残念ながら、ロッキーこと、シルベスター・スタローンは出演していません。
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