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落下の王国(2008)

映像の魔術師ターセム監督が圧倒的な
スケールの映像で描く愛と再生の物語

『ザ・セル』のターセム監督による、ファンタジーアドベンチャー映画。

独創的で色彩豊かな映像と、愛と死が交錯した深遠なストーリーで、観る者を美しくもミステリアスなファンタジーワールドへ誘います。

【ストーリー】
高い鉄橋を何者かに追われて走るカウボーイ。橋の下には悪漢に捕らわれたと思しき美女。静かな緊迫感に包まれる中、カウボーイがはるか下の川へ落下していきます。
あっと驚くモノクロのサイレント映画調の導入部から一転し、舞台はロサンゼルスのとある病院へ。時は1915年、オレンジの木から落下して左腕を骨折した5歳の少女アレクサンドリアは、大怪我をして入院中のロイの病室へ迷い込んでしまいます。
ベッドに横たわるロイは、好奇心旺盛で純真なアレクサンドリアに自分が創作したおとぎ話を語って聞かせますが、そこには残酷で、哀しい策略が秘められていました。

映画では、ロイとアレクサンドリアとの現実世界の物語と、ロイが作り出したおとぎ話が交互に映像化されます。

ロイが語るのは、仮面の山賊、元奴隷の黒人、亡き妻への愛に生きるインド人、豪快な爆発物専門家のイタリア人、繊細な博物学者の英国人、不思議な霊者など、悪漢オウディアス総督に愛するものを奪われた6人の男たちの復讐物語。世界24カ国で撮影された美しいロケーションと、摩訶不思議なセットを組み合わせたおとぎ話のシーンは映像の魔術師ターセムの真骨頂です。

冒頭のカウボーイの正体は、映画のスタントマンのロイ。失恋から人生に絶望したロイが、おとぎ話に夢中になる少女を利用して自殺の手助けをさせようとするのです。

しかし、彼が生み出した6人の勇者たち、そしてアレクサンドリアの無垢な愛を捧ぐ姿がロイを目覚めさせます。

ロイのように、一度は人生を投げ出し、落下の王国へと向かった者を救うには? 映像のみならず、心温まるメッセージもこの映画の魅力です。

無国籍風の奇抜で、ファンタスティックな衣装を担当したのは、映画や演劇で多数の衣装デザインを手がけた日本人デザイナー、石岡瑛子さんです。


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