フリーダム・ライターズ(2007)
「書くこと」で自由をつかんだ
熱血教師と移民の高校生たちの感動の記録
近年、ブログやインスタ、YouTubeなど、SNSを通して、自らを発信することで人生を変えている人々が大勢います。それぞれの意見や経験を、それぞれのアイデアで表現した投稿を読んだり、動画を見たりしていると、人間は誰もみな特別で、無限の可能性を秘めているのだ、とつくづく感じます。
この映画は、弱冠23歳の女性教師と無力の高校生たちが「日記」を使って成し遂げた“人生の改革”の物語です。
映画とは状況が違うかもしれませんが、50歳を目前にしてブログを始め、「書くこと」で人生を豊かなものにしたいと思っている私には、とても励みになった作品です。
「教育で子どもたちを救う」という高い志を持つエリンが、献身的な指導で荒れ果てた生徒たちを立ち直らせた実話に基づいたヒューマンドラマです。
エリンは生徒たちに日記を書かせることで、彼らの心を開かせたのですが、なぜ日記が効果的だったのか? 生徒たちが荒れる理由には、移民の国アメリカの厳しい現実があり、本作は自由を謡うアメリカ社会の矛盾と暗部を的確に浮かび上がらせます。
生徒の気持ちを知るために、「何でもいいから書いて」と全員に渡した日記には、難民キャンプで暮らしたこと、目の前で友達が銃で死んだこと、親に見離されて路上で生活していることなど、終わりのない人種間抗争に否応なく巻き込まれた生徒たちの凄まじい人生の記録が書かれていました。
わずか15歳の子供たちの悲痛な叫びを受け止め、それまで誰も与えてくれなかった豊かな知識と経験、そして愛を育めるよう奔走したエリンの行動力には本当に頭が下がります。
エピソードはほぼ忠実に再現されているそうですが、エリンの美談として終わらせるのではなく、泥沼の人種間抗争、移民への劣悪な待遇、白人教師たちの人種差別や偏見など、性急に解決すべき社会問題を丁寧に描き、しっかり告発した点に好感が持てます。
監督・脚本は、『フィッシャー・キング』のリチャード・ラグラヴェネーズ。心の闇を抱えた女性役の多い演技派ヒラリー・スワンクが、明るく、はつらつとした熱血教師を好演し、シリアスなテーマながらも爽やかな感動作に仕上がっています。
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