ビッグ・フィッシュ(2003)
豊かな人生を送りたい人は必見!
奇才ティム・バートン監督の心温まるファンタジー
ファンタジー映画『ビッグ・フィッシュ』は、人を喜ばせようとする優しい気持ちに満ち溢れた作品です。ファンタジックな映像の数々に、映画という媒体の素晴らしさが改めて分かります。
原作は米国でベストセラーを記録したダニエル・ウォルスの小説。映画ではファンタジーを信じる心が何を生み出すのか、実際に目にできることの幸運をじっくりとかみしめてほしいです。
監督は『バッドマン』(’89年)、『シザーハンズ』(’90年)など、独創的で風変わりな作風が持ち味のティム・バートン。もうオタク監督と呼ぶなかれ。これほどの至福の時を作り出せる監督はそうはいません。
病床でもなお夢物語を繰り返す父と、それを理解できない現実的な息子。2人の葛藤を描いた重苦しい現実の狭間に、輝かしいエドワードの過去のエピソードが挿入されます。
自分の死を見せてくれる魔女、旅の相棒となった巨人、良い人ばかりが住んでいる街スペクター、1万本の水仙の花を贈ったプロポーズ……。いかにもバートン好みの奇妙なエピソード揃いですが、美しく洗練された夢のような映像には、観る者を喜ばせたいという優しい気持ちが溢れています。
『ビッグ・フィッシュ』とは、誰も信じないホラ話という意味。エドワードは人々を騙したのか、それとも夢を与えたのか。真実が分かるラストは涙なしでは見られません。豊かな人生の送り方を知りたい人は必見です!
若かりしエドワードに扮し、おとぎ話の主人公になりきるのはユアン・マクレガー。アルバート・フィニーが現在のエドワードを演じ、味わい深い演技を見せます。
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