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「DXが進まない...」はもう卒業。企画を「実現」に導くもっとも簡潔な方法

こんにちは、UXデザイナーの園田です。今回はDXを促進するための最適な方法をお届けします。

「DXによる経済効果」2030年実質GDP130兆円超えの押上を目標としている


経済産業省が発表した『DXレポート〜ITシステム「2025年」の崖」克服とDXの本格的な展開〜』というレポートをきっかけにして様々な分野で、デジタルトランスフォーメーション(DX:以下DX)への取り組みが始まり、コロナ禍でさらにその流れは加速しています。本レポート内ではDXが成功しない場合、毎年12兆円の経済損失を被るという試算もでているため、国としてももっとも重要な方針の一つと言えるでしょう。

※DXについての概要を知りたい方
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/column/20200226/


DXを進める上で企業の悩み

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しかし、多くの企業内では、話は上がるが実現していないというケースが多発しています。日本企業のDXでは「ビジョンと戦略の不足」「スタッフの準備不足」「時間と費用の成約」がもっとも大きな課題となっています。

https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-3.pdf

DX を実行するに当たっては、新たなデジタル技術を活用して、どのようにビジネスを変 革していくかの経営戦略そのものが不可欠である。 しかしながら、DX の必要性に対する認識は高まり、そのための組織を立ち上げる等の動 きはあるものの、ビジネスをどのように変革していくか、そのためにどのようなデータをど のように活用するか、どのようなデジタル技術をどう活用すべきかについて、具体的な方向 性を模索している企業が多いのが現状と思われる。こうした中で、例えば、経営者からビジネスをどのように変えるかについての明確な指示 が示されないまま「AI を使って何かできないか」といった指示が出され、PoC が繰り返さ れるものの、ビジネスの改革に繋がらないといったケースも多いとの指摘がなされている。

いま現在企業は、DXを取り入れたうえでの経営戦略そのものを模索している最中なんです。

技術への投資。デザインへの投資。


2018年に発表された、経産省の「デザイン経営宣言」では、「技術」「デザイン」は経済を発展させる上で必要不可欠な投資であることを指摘しています。経済の発展において、技術への投資が重要であることは、これまでと変わりませんが、更に人間中心設計を重き、置く本質的な価値を見出すためにデザインの重要性が増してきています。
また矢野経済研究所が行った調査では、ITサービスにおけるUXの市場貢献額は2021年には28兆円となる見通しとの算出がでており、今後もデザインの需要が高まっていくことが予想されれています。

経産省の「デザイン経営宣言」

「技術への投資」の参考。画像2

「デザインへの投資」の参考。

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ITサービス市場におけるUXデザイン貢献額

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1993

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技術的な投資とデザインへの投資が増えているのにDXが進まない大きな理由

私がスタートアップや企業内のアクセラレーションプログラムに参加して課題に感じるのは、デジタルプロダクトのアイデアは有るけれども「実現化」できていないことが多いということです。その大きな原因は「ビジネス×デザイン×テクノロージー」の3視点がうまくかみ合っていないことです。それ故に様々な課題にぶち当たってしまいます。

1.デザインの視点が足りない場合に直面する課題
短期的な数値目標に陥りがち。サービスの「ファン」を作っていくという視点が欠けることが多い。また、長期的なビジョンを描くにも文字だけになりがちでチーム内での共通認識を取ることが難しい。可視化が弱くなると、説得材料に欠け社内決済や資金調達の面でも困難になる。


2.ビジネスの視点が足りない場合に直面する課題
売り物にならないことが多い。デザイナーと技術者が本質的な価値を求めすぎるが故に、長期的な価値創造の視野で考えすぎてしまい直近の売上を作れないことが多い。また、ビジネスをスケールさせる視点からのアプローチが足り無いため社内決済や資金調達が困難になる。


3.テクノロジーの視点が足りない場合に直面する課題
そもそも実現可能性がわからないため、実装困難な企画や仕様が増えてしまう。またどれくらいの予算が必要なのかも算出できないことが多い。さらに、現在の技術トレンドがわからない状態では新たしいものを発想すること自体が難しくなる。結果的に実装の目線が足りず費用が明確にならないため社内決済や資金調達が困難になる。


プロトタイピングで、デザインとビジネスとテクノロジーの視点を織り交ぜて「実現力」をUPしよう

そんな実現化の課題を解決する方法の一つとしてプロトタイピングを使いましょう。

プロトタイピングが有効な理由として以下が挙げられます。

1.やりたいことが可視化されしチーム内の意識が統一される。
2.やりたいことが可視化されチーム外も巻き込める。
3.ビジネス視点での検証が少額でできる。
4.デザイン視点での検証が少額でできる。
5.テクノロジー視点からの実現可能性を探れる。
6.主要機能の要件が可視化されるため概算で開発の見積もりを出せる様になる。
7.社内決済や資金調達に必要な説得材料を得られる。

こういった点からプロトタイピングは企画を「実現化」していく上でとても効果的と言えます。プロトタイピングの定義について知りたい方は過去の投稿をご参考に。

【過去の投稿】
1.そもそも、プロトタイピングってなんなの?実践者と研究者に聞いてみた!
2.【5分でわかる】プロトタイピングで何ができるの?なぜやるの?


プロトタイピングを導入したい方に〜関連研究とプロトタイピングが学べる本(導入編)の紹介

ここからは、プロトタイピング研究者の三冨がプロトタイピングの関連研究の紹介と、おすすめ本の紹介をしていきます!

園田さんが書いているように、プロトタイピングではさまざまなことが達成できます。
研究者のLauffらは、プロトタイピングの役割として、大きく「コミュニケーション」「学習」「意思決定のサポート」を挙げています(※1)。これらの役割が、デザインとビジネスとテクノロジーをつなげることに寄与しているんですね。

そして、プロトタイピングに関するおすすめの本の紹介です!

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ソフトウェアプロトタイピング ―より良い設計を求めて
Jonathan Arnowitz (著), Michael Arent (著), Nevin Berger (著), 富野 壽 (翻訳), 岩尾 俊二 (翻訳)

ソフトウェア分野でのプロトタイピングの本ですが、ソフトウェアに限らないプロトタイピングの歴史から概要、詳細までを詳細に紹介しています。少しページ数は多いですが、プロトタイピングについて知りたい方はこちらを手に取ることをおすすめ。


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デザイナーのためのプロトタイピング入門
キャスリン・マッケルロイ (著), 安藤貴子 (翻訳)

プロトタイピングの概要、物理的なプロトタイピングからソフトウェアのプロトタイピングまで、豊富な実例を元に紹介しています。「デザイナーのための」と冠しているように、実際につくることにつなげるために具体的なプロトタイピングの実施方法やツールについての記載もあり、実際にプロトタイピングをしてみたい、という人におすすめです。


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クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
デイヴィッド・ケリー (著), トム・ケリー (著), 千葉 敏生 (翻訳)

もちろんプロトタイピングの目的や種類にもよるのですが、プロトタイピングを行う上では、とりあえずやってみよう!というマインドセットが重要です。そのとりあえずやってみよう!というマインドセットを、クリエイティブ・コンフィデンスと呼び、そのクリエイティブ・コンフィデンスとは何か、どのように手に入れることができるのか、などが紹介されている書籍。プロトタイピングを行う上でのマインドセットを整えたい人におすすめ。

※1 Lauff, Carlye, Kotys-Schwartz, Daria, and Rentschler, Mark E. "What is a Prototype?: Emergent Roles of Prototypes From Empirical Work in Three Diverse Companies." Proceedings of the ASME 2017 International Design Engineering Technical Conferences and Computers and Information in Engineering Conference. Volume 7: 29th International Conference on Design Theory and Methodology. Cleveland, Ohio, USA. August 6–9, 2017. V007T06A033. ASME.


Prototyping Lab TOKYO では事業の立ち上げなどでプロトタイピングを導入したい企業様の相談を無料で受け付けています。お気軽に相談ください。

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■メンバー
UXデザイナー・園田 励

テレビ番組や雑誌を立ち上げた後、2010年GrouponJapanに参画。UX等デザイン領域全般で創業期から事業安定まで携わる。2014年から株式会社イグニスで恋愛・婚活サービス「with」をPM・UXデザイナーとして立ち上げ、黒字化 。2019年には株式会社WARCに参画。デジタルプロダクト専門クリエイティブギルド、株式会社PRISMを創業。幼児用冷凍食品を扱うhomeal株式会社のCDOに就任。立ち上げては軌道にのると次に移りたくなる生粋の0→1職人。中国武術の使い手でもある。

株式会社PRISM  /  デジタルに特化したサービスデザインスタジオ ~ デザイン×ビジネスの両面でDXに実現力を。

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プロトタイピング研究者・三冨 敬太

2018年よりデザインファームTsukuru to Ugoku Design株式会社を創業。デザイン思考を活用したデジタルソリューションのデザイン、シティプロモーション推進業務などを展開。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科卒業、研究員(プロトタイピング)。アプリケーション「オトトトン」でグッドデザイン賞・キッズデザイン賞受賞、など。日本創造学会所属 株式会社ステッチ執行役員 veernca合同会社 代表社員。サイゼリヤが好き。一番好きなメニューは柔らか青豆の温サラダと赤ワイン250mlデカンタとプロシュートと熟成ミラノサラミと白ワインの250mlデカンタ。

Tsukuru to Ugoku Design 株式会社

株式会社ステッチ


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