最近の記事

ESGx経済成長モデルx安全保障

今回はESGと経済成長モデルと安全保障の関係とその示唆について、やや小難しい数式を使って論じてみたい。 マクロ経済学の教科書でよく出てくるソローの経済成長(率)モデルは下記の式で表される。 ① GDP=f(A,K,L) ∆GDP=∆A+∆K+∆L A:技術進歩率等、K:資本投下量、L:労働投下量 A:エネルギー源のシフト(例 蒸気→石炭)や生産ツールの切替(手作業→機械)があれば、この技術進歩率は上がる K:資源や工場機械、使える土地が増えたり、各資本から得られる生産量が

    • ロシアによるウクライナ併合の裏

      現在進行形でロシアによるウクライナ併合が進み、それに伴い欧米諸国はロシアに対する経済性を実施している。 世界情勢における関心事項は、 ・第3次世界大戦やその他の局地的な紛争に繋がるのか ・世界経済・米国物価にどのような影響をもたらすのか ・欧州等の再エネ開発にどのような影響を与えるのか といったことであろうか 本稿では今回の戦争に伴い、懸念されているレアメタルについて取り上げてみたい。そのレアメタルとは、パラジウムという蓄電池等に必要なものである。このパラジウムはロシアが

      • 地球温暖化vs温暖化と寒冷化の繰り返し

        私の記憶の限りでは、昔に「デイ・アフター・トゥモロー」という映画があり、私はその映画を通じて初めて地球雪玉説の存在を知った。そういった経緯から地球温暖化の言葉を目にすると、非常に長い単位でみれば地球は温暖化と寒冷化を繰り返しているのではないかとのぬぐい切れない疑問が生じている また、IPCC第6次評価報告書にて「人間が(中略)温暖化させてきたことに疑う余地がない」との強い表現がされた背景には、人間以外の要因が温暖化の原因であるとの説が存在しているのではないかと想起させる

        • サステナブルツーリズムとは何か①

          サステナブルツーリズムと聞いて何を思い浮かべるだろうか 月並みだが、私は屋久島に訪れた際、自然のオーラに包まれた心地を覚えて、このような感覚を味わう体験こそがサステナブルツーリズムのよさなのではないかと考えるように至った。それ以降、美術館や名所を巡るのではなく、資源が豊かな場所を旅行先を選ぶ時の軸としている あるいは、 人によってはサステナブルツーリズムは環境に配慮し、例えばCO2排出量が少ない移動手段、農薬や化学薬品を最小化した食材・食事、有料となるアメニティ・グッ

        ESGx経済成長モデルx安全保障

          ESGは戦略の1つか?

          ESGを推進する企業はどのような企業なのだろうか。すべての企業が経営戦略として取り組むべきなのだろうか。製薬各社IRに掲載があるマテリアリティ・マップ※をもとに考察してみたい ※企業のビジネス及びステークホルダーにとっての重要度を軸にとり、各イシューを図示したもの。 武田薬品 アステラス製薬 第一三共 大塚製薬 中外製薬 最後はエーザイ 大手の製薬企業に共通する重要課題は、医薬品のアクセスと研究開発の競争力に関わる人材の多様化・育成である。ESG研究で有名な柳良

          ESGは戦略の1つか?

          ESGのEとは何か

          ESGのEが意味することは何なのだろうか。 巷で溢れるESGの本を眺めると、EはあたかもCO2やカーボルニュートラルに限定した印象を受けるが、果たして正しいのだろうか ESGと類似するSDGsの背景には、プラネタリー・バウンダリーという考え方(参考URL)がある。この考え方によれば、持続的な地球システムを構成するものは以下の9つの軸となる 1. 気候変動 2. 新規化学物質 3. 成層圏オゾンの破壊 4. 大気エアロゾルの負荷(M2.5や黄砂などの大気浮遊粒子状物質) 5.

          ESGのEとは何か

          ESGと経済安保は両立難し

          EU委員会(URL)によれば、 天然ガスと原子力はa means to facilitate the transition towards a predominantly renewable-based future.(再生可能エネルギー社会に向けた有効な移行手段)として認められた 筆者は、現時点では、再生可能エネルギーはその発電の不安定さ及び高い価格からベースロード電源にはなり難いことから、化石燃料あるいは原子力発電を活用することもやむなしとの立場である。 もっといえば

          ESGと経済安保は両立難し

          持続的な資源の活用に関する全体像

          持続的な資源の活用に関する全体像