ESGと経済安保は両立難し

EU委員会(URL)によれば、 天然ガスと原子力はa means to facilitate the transition towards a predominantly renewable-based future.(再生可能エネルギー社会に向けた有効な移行手段)として認められた

筆者は、現時点では、再生可能エネルギーはその発電の不安定さ及び高い価格からベースロード電源にはなり難いことから、化石燃料あるいは原子力発電を活用することもやむなしとの立場である。

もっといえば、CO2の観点からは、化石燃料より原子力発電、とりわけ小型の原子力発電(SMR)が有力であると考える。なぜなら原子力の場合、トイレ、すなわち次世代に影響がある核燃料廃棄物の問題は残るが、同様に次世代に影響がある気候変動と比べて、どちらが問題であるかを考えたとき、後者の方が次世代には受け入れがたいと想定されることから、SMRの開発には期待している

今回のEUの事例では、ESGと経済安保(≒ロシア依存からの脱却)の両立の難しさが明らかになった。資源問題をきっかけに太平洋戦争が起こったことを考えると、本事例は電気料金の高騰の問題(≒高い電気料金を甘受する)ではなく、安全保障の問題とも言える

またルールメイカーであるEUのご都合主義も垣間見えた。

太平洋戦争での教訓を学ぶ必要があり、以前環境技術では強みを有する日本企業・社会としては、以下が今回の示唆ではないだろうか
・再生可能エネルギーへの過度な依存は企業財務に悪影響
・他方、サプライチェーンの確保という意味でのESG対策は引き続き重要
・持続的な未来のためには、再生可能エネルギ―に加えて、環境技術(例 CCS)の開発がより必要となってくる

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