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#初任者研修

介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑮

介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑮

 初任者研修が終わり社長が、
「どうだった?」と聞かれたので
「とても勉強になりました」というと
「良かった。これで、介護士として一歩全身ね」と笑顔で言ってくれた。

 確かに初任者研修に行くだけで、自分の中で”何故”という疑問が頭の中で産まれるようになった。
 この言葉を発するのはなんでなのか?
 トイレが近いのか?お腹が減っているのか?水が面白いのか?

 まるで、赤ちゃんの鳴き声に何かしら意

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介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑭

介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑭

 初任者研修は午前中に終了し、平田さんが僕たちを最終日に、自分のマンションで打ち上げをしないかと、1週間前から声をかけてくれた。

 平田さんは、普段からこういった飲み会などをしていると、研修の休憩時間に話していた。
 僕自身はお酒も飲まないし、タバコも吸わないので飲み会とかはコンビニのバイトで少しいったくらいだった。場所も大衆居酒屋で自分はソフトドリンクを飲みながら空気みたいな存在で、たまに愚痴

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介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑫

介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑫

 初任者研修に通いながら、訪問介護(以下ヘルパー)で実践する事は凄く為になった。コンビニという仕事はコンビニの上司に習うだけだが、介護という仕事は、介護を熟知した先生に習うので面白かった。

 勿論、井上さんに聴くとがあったが、自分自身が何が不得意なのかもわからなかった。学校の試験でも何が不得意という分析など自分自身に何が必要という事を考えなかったからかもしれない。

 授業を受けた事で、井上さん

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介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑪

介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑪

 介護の実習でベットメイキングの仕方など、今迄にやった事が無い事を教わった。シーツはシワがないように伸ばす。これは床ずれ(以下、褥瘡(じょくそう)を防ぐ為でもある。
 褥瘡と聴いて、仕事でもお尻に褥瘡が出来ている人がいて、アズノールという薬を塗る事がある。

 その経験もあり、最初は小さな傷がお尻に出来るだけだと思っていたが、写真を見せられてグロテスクな後に少々ひいてしまった。
 重傷の褥瘡の人は

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