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介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑪


 介護の実習でベットメイキングの仕方など、今迄にやった事が無い事を教わった。シーツはシワがないように伸ばす。これは床ずれ(以下、褥瘡(じょくそう)を防ぐ為でもある。
 褥瘡と聴いて、仕事でもお尻に褥瘡が出来ている人がいて、アズノールという薬を塗る事がある。


 その経験もあり、最初は小さな傷がお尻に出来るだけだと思っていたが、写真を見せられてグロテスクな後に少々ひいてしまった。
 重傷の褥瘡の人は骨まで見えたりと、処置が大変になる。勿論、処置は介護士がするのでは無く。看護師がする。

 身体が不自由になり、介護度が重くなるとベットで寝る機会が増えて、褥瘡が悪化する事が多い。褥瘡が重傷しない為に、ベットのシーツをしっかりと伸ばし、褥瘡を整えなければならなかった。

 シーツは2人で敷いた。2人だと、シワが伸ばせやすく時間も短縮できるのだという。
 「実際は一人でやる事が多いです」
 と言っていたので、やはり介護は人材不足なのだろうと改めて思う。

 シーツを敷く事は慣れなので、何回かやるうちに習得できて、最後の確認のテストも出来る事ができた。
 女性は上手いが、男性では苦手な人もいるようだ。
  僕自身はコンビニで商品を早く丁寧に入れなくてはいけないので、苦労する事はなかった。

 すぐにベットメイキングは役に立つ事はなかったが、訪問でもベットは綺麗にしようという気持ちはより強くなった。

 その他では、高齢者の人に洋服を着せる着衣脱の授業があった。
 着衣の際、脱ぐ際にどちらかの手が麻痺してる場合などを想定して研修など、色々なシュチュエーションの中で着せなくてはいけなかった。
 脱健着患と言って、例えば、衣服を脱ぐときは健康な方の腕や足(健側)から、着るときは病気やまひ、痛みのある方(患側)からというのが、介護の基本的なルールだった。

 その際、衣服は床などにつけないように配慮するなど、どのようにしたら着る人が心地良く着れるかを考えるのは、コンビニで袋に商品を入れる時のように、どのようにしたらお客様が持ち安く、弁当等が動かないというのに類似点があった。

 一つ一つの介助で頷けたとしても、介護をする際は認知症の人だったり、皮膚などが弱く、失敗すると剝離(皮膚が弱くてはがれて血がでやすい)したりするので、一緒に授業を受けている人の時は失敗は取り返しがつくが、高齢者には取り返しがつかないのだ。

 スピードも求められる介護の業界において、しっかりとした介助が必要不可欠なのだ。



 

介護を本気で変えたいので、色々な人や施設にインタビューをしていきたいので宜しくお願いします。