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経済

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2021年2月の記事一覧

韓国の雇用動向

この記事には男女別がないので、グラフで確認する。 1999年6月以降の失業率。 リーマンショック前年の2007年からの失業率、就業率、労働参加率(労働力率)。 女の労働参加が進んでいた反動で、雇用の悪化の度合いも大きかったことになる。 参考に日韓の失業率(男女計)。

原口議員がツイートしたグラフの解釈

立憲民主党副代表の原口議員のツイートに見覚えのあるグラフを発見した。 この記事の最初のグラフを再掲する。 この記事は、日本経済が「世界最悪の成長」だとする統計のトリックを検証したものだが、原口議員はデマに引っ掛かったままのようである。 東京大学や京都大学を出た「エリート」がこれほど低レベルな議論をしているとは嘆かわしい。

アトキンソンの【「デフレだから生産性向上は無理」という勘違い】

D. アトキンソン批判のレベルが低すぎて逆効果になっている。 先日の記事(下請けで苦しむ中小企業は「5%未満」の現実)に、次のようなコメントがありました。 「生産性が高まらないのは、日本が30年もデフレで、企業が投資できないからです」 しかし、日本のデータで検証すれば、この理屈には違和感しか湧きません。特に、「1990年代以降の日本の生産性が上がっていないのはデフレが原因だ」というのは明らかに間違いです。 生産性向上に関係する機械・設備とコンピュータソフトウェアへの投資は

2020年頃に名目GDP600兆円

安倍首相(当時)は2015年9月24日に、2020年頃に名目GDP600兆円を達成すると宣言していた。 当時の2005年基準では2015年の名目GDPは約500兆円だったので、5年間で1.2倍(年+3.7%)ということになる。 この増加率を現在の2015年基準に当てはめると、2020年には640兆円強になるが、実際には540兆円どまりだったので、100兆円の未達になる。 2020年の落ち込みは不可避だったにせよ、2016年から「達成シナリオ」からの遅れが続いていたので、

消費支出に回らなかった10万円の給付金

結果論かもしれないが、この野口悠紀雄の分析は概ね妥当と言える。 つまり、「収入が減って貯蓄を取り崩さざるを得なくなった」というような状況ではなかったのだ。 上記のような結果になったのは給付金以外の収入がほとんど減らなかったからだ。 収入が減っていないところに給付金が与えられたのだから、これは過剰なものだったと言わざるを得ない。 10万円を使い切ったつもりでも、外食や旅行や付き合い等が減ったために、結果的に貯蓄を純増させた世帯が多かったことになる。「過剰なものだった」は

ドル換算GDPによる将来予測

先日の記事に「経済成長率の国際比較に名目GDPやドル換算GDPを用いている論者はすべて似非と判断してよい」と書いたところ、早速その実例が現れた。 グラフの緑色の縦線が2005年と2015年だが、この間に実質GDPは+5.1%、ドル換算GDPは-8.1%なので、この成長率が20年続くと実質は+10%、ドル換算は-15%と全く異なってくる。 ドル換算GDPは為替レート変動の影響が大きいため、将来予測に「ある期間の成長率を単純に延長」することは適切ではない。 これでは素人は釣

名目と実質による日米GDP比較

一つ前の記事に続いて、名目と実質では日本経済のパフォーマンスが全く違って見えることを日米比較で示す。日本のGDPは2011年基準の簡易遡及(1980~1994年)と2015年基準(1994~2020年)を接続している。 プラザ合意の1985年を基準にすると、アメリカの名目GDPは2019年には約5倍になったが、日本は1990年代半ばから1.5倍強での長期停滞に陥っているために、グラフが「鰐の口」になっている。 しかし、人口と物価を調整した1人当たり実質GDPの推移は全く異

反緊縮派の嘘八百

反緊縮派の胡散臭さがよくわかる記事。 ほかの国々はリーマンショックから立ち直っているのに、日本だけは立ち直ることができずに何年もずるずると低迷しています。その大きな原因は、政府の緊縮財政でしょう。 経済パフォーマンスは名目GDPではなく、物価と人口の変動を除いた1人当たり実質GDPで比較しなければならない。上のグラフの期間にベネズエラの名目GDPは数十万~百万倍に「成長」したが、1人当たり実質GDPは減少した。 上のグラフと同じく、2003年を基準にすると、日本は英仏と

反緊縮派の変なグラフを検証

1月22日に日経チャンネルでWEB配信された「日経ビジネスイノベーションフォーラム 現代貨幣理論とコロナ危機」を視聴したが、島倉原の素人レベル感が目立っていたので特に三点について取り上げる。 一点目はこのグラフで、金融は十二分に緩和している→緊縮財政こそが長期停滞(デフレ)の真の原因、という分析だが、重要な要因が考慮されていない。 「1997年、財政構造改革法&消費税5%増税」とあるが、1997年を日本経済の転換点にしたのは4月の消費税率引き上げではなく、11月に発生した

ハンガリーの反緊縮財政

ハンガリーのオルバーン首相が長期政権を続けている一因には、経済運営の巧みさがある。これ(⇩)には日本の反緊縮派も強く同意するだろう。 PM Orbán said that unlike the political left, he did not believe in raising taxes during an economic crisis period. Governments and local councils should cut taxes in a tim