反緊縮派の嘘八百

反緊縮派の胡散臭さがよくわかる記事。

ほかの国々はリーマンショックから立ち直っているのに、日本だけは立ち直ることができずに何年もずるずると低迷しています。その大きな原因は、政府の緊縮財政でしょう。

画像1

経済パフォーマンスは名目GDPではなく、物価と人口の変動を除いた1人当たり実質GDPで比較しなければならない。上のグラフの期間にベネズエラの名目GDPは数十万~百万倍に「成長」したが、1人当たり実質GDPは減少した。

上のグラフと同じく、2003年を基準にすると、日本は英仏と似た推移をしている。

画像2

リーマンショックの前年の2007年を基準にしても、「日本だけが立ち直れていない」が大嘘であることが明白である。

画像8

日本経済が着実に成長していたことは、失業率がバブル期に近い水準まで一貫して低下していたことからもわかる。

画像6

(マーカーは1997年4月、1997年11月、2008年9月、2014年4月、2019年10月)

皆が皆とは言わないが、反緊縮・積極財政派には経済分析に必要な知識を欠いた素人同然の論者が多過ぎる。経済成長率の国際比較に名目GDPやドル換算GDPを用いている論者はすべて似非と判断してよい。FやNのように意図的に嘘をついている可能性もあるが、「目的は手段を正当化する」にも限度がある。

本の帯(⇩)に怪しさを感じないだろうか。反緊縮派には別の意図を持った人々が紛れ込んでいる可能性がある。

画像5

反緊縮派が語らない日本経済の根本問題は分配の変化にある。1997年度と2019年度を比較すると、賃金・俸給は-1.6兆円(-0.6%)だが、分配前法人企業所得は+44.5兆円(1.9倍)、ピークの2015年度では+57.6兆円(2.2倍)である。

画像6

画像7

「企業は、株主にどれだけ報いるかだ。雇用や国のあり方まで経営者が考える必要はない」
「それはあなた、国賊だ。我々はそんな気持ちで経営をやってきたんじゃない」
94年2月25日、千葉県浦安市舞浜の高級ホテル「ヒルトン東京ベイ」。大手企業のトップら14人が新しい日本型経営を提案するため、泊まり込みで激しい議論を繰り広げた。論争の中心になったのが「雇用重視」を掲げる新日本製鉄社長の今井敬と、「株主重視」への転換を唱えるオリックス社長の宮内義彦だった。経済界で「今井・宮内論争」と言われる。

当noteからアイデアを盗用した人物がこのように言っているが、分析の妥当性については読者の判断にお任せする。

画像8

名目成長率は低いが実質成長率は他国並みであることは、インフレ率の低さが経済成長の阻害要因になっていないことを示している。「物価上昇それ自体を目的とし、その救済的価値を過大に強調」していた量的緩和一本鎗のリフレ派は正しくなかったことになる。

物価上昇それ自体を目的とし、その救済的価値を過大に強調することは、「回復」の手段としての物価の役割について、重大な誤解につながりやすい。総購買力の増加によって生産を刺激することが、物価上昇の正しい方法であり、その逆ではない。

有名な「1995年から2015年までの20年間でGDPは20%減少」のグラフ。

画像9

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?