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ファクトチェック

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ファクトチェック:トーマス・ロックリーは「日本が黒人奴隷を生んだ」とは書いていない……が

ロックリーの偽史騒動に尾鰭が付いてしまっているようなので、黒人奴隷について2017年の著書『信長と弥助』にどのように書かれていたかを確認する。 「権威の象徴としてアフリカ人奴隷を使うという流行が始まった」という説がどこから来たのかだが、ロックリーは中国の広州と同じ現象が九州でも生じていたと考えた可能性がある。 日本における奴隷に関する記述は58ページと126-127ページにほぼ同じ内容のものがある。 ちなみに、2019年の『AFRICAN SAMURAI: The Tr

取材不足は取材不足―明石の虚言王ではなく石丸が正しい

これに関しては石丸が正しい。明石の虚言王の話が有効な反論になっていないことを理解できない「取材不足」には「恥を知れ、恥を」と言いたい。 明石市が県内1位なのは事実だが、 出生率アップがゼロサムに過ぎないことは👇などで検証済み。地元では常識である。 流入してきた新住民は民度が低いと言われている。

東京都の出生率は0.64%

既に多数の突っ込みを受けている👇の内容だが、 「東京都の2023年の値が0.99」なのはtotal fertility rateで、通常は単位を付けない。あえて付けるとすれば99%になる。 単に「出生率」と言えば出生数÷総人口のcrude birth rateのことで、0.64%だった(通常は人口千対の6.4‰と表示)。47都道府県中9位で全国平均の6.0‰を上回っていた。

夫婦一組あたりの出生数も減っている

これ👇も素人に多い人口統計の読み誤り。 再生産年齢の女の人口構成が若齢に偏れば第1子が、高齢に偏れば第3子以上の割合が大きくなりやすいことからも、出生に占める第3子以上の割合の大きさが夫婦が産む子の数の多少の指標にならないことがわかる。 出生合計に占める第3子以上の割合は1980年が16.9%、2023年が16.8%でほぼ同じだが、グラフにするとその違いが明確になる。 1980年→2023年の減少率が第2子>第3子以上>第1子であるために、合計に占める第3子以上の割合が

京都市東山区の合計出生率が低いのは大学生が多いから?

京都市東山区の合計出生率が全国最低なのは「産まない属性」の大学生の人口割合が大きいから、という説が多く唱えられている。 しかし、合計出生率は各年齢の女の出生率(=出生数÷人口)を合計したものなので、各年齢のウェイトは等しく、年齢構成の偏りには影響されない。従って、この説は正しくない。 これに対して、この👇ような修正説が唱えられている。 だが、東山区と全国の有配偶率の差が大きいのは、大学生が多い20~24歳ではなく、それより上の年齢階層である(←20代前半は全国的に有配偶

東京の出生率は低くない?

東京の出生率は実はそれほど低くないという説が唱えられている。 👇の図表2が同じもの。 👇は図表2を降順に並び替えたもの(橙―東京都、緑―特別区部、黄―都心三区)。東京都は47都道府県の42位、特別区部は全国平均よりわずかに低く、都心三区は1位の沖縄県と2位の鹿児島県の間に位置する。 しかし、都道府県によって異なる15~49歳の年齢構成の違いを調整する(全国の年齢構成に合わせる)標準化を行うと、東京都は最下位になり、都心三区は東京タワーではなくなる。 標準化の基準年が2

有配偶出生率の変な記事

少子化関連記事には不正確なものが多いが、これ👇もその一つ。 合計有配偶出生率の数値が正しくない(計算間違いしている) 各年齢の有配偶出生率を合計して比較することに意味がない 意味がないことは下のグラフを見れば分かる。 若い年齢層の有配偶出生率が高いのはデキ婚が多いためである。分母を各年齢の女の総数にすると出生率は低いが、有配偶になった女だけにすると出生率は高くなる。1980年に比べて2015年が高くなっているのは、「未婚の母」からデキ婚へのシフトが進んだためと見られる

「東京の出生率が高い」の欺瞞

少子化関連記事には不正確なものが多いがこれ👇もその一つで、無理やり理屈を捻り出しているだけである。 以下、記事がフェアでもナイスでもないことを見ていく。 全く役に立たないわけではない。市町村レベルではあまり意味が無いが、奥沖縄県や北海道といった十分な人口とまとまりがある地域の比較であれば参考になる。 当たり前で「ポイント」にはならない。 有益性は何を論じるかによって違ってくる。夫婦の出生率を論じるのであれば有配偶出生率が有用なのは当然だが、日本の少子化の主因は晩婚化・

大韓民国江原道華川郡

急激な少子化・出生率低下が進行中の大韓民国で、江原道華川郡はその克服に成功しているかのような記事だが、実態はちょっと違う。 合計出生率は全国を大きく上回るものの、その差をどんどん拡大させているわけではない。 出生数の変化も全国とほぼ同じである(変動が大きいのは自治体規模が小さいため)。 ここからは推測だが、화천군には都会ほど「狂ったフェミ女」がいないことが、相対的な高出生率の主因になっているのではないかと思われる。

"Irreversible Damage"のアニメ言及

"Irreversible Damage"の日本語訳が出版中止になって当然という理由の一つに「アニメのせいでトランスになる」と主張するトンデモ本だから、というものが挙げられていたが、原著を全部読めば、これが左翼によくある「嘘も百回~」だということが分かる。 アニメ(anime)に言及されているのはわずか二箇所(強調は引用者)。 カルトが親しみを持たせる手段としてアニメを使うのはよくあること(例:AUM)。 👇は全く関係ない。 「嘘はつかないけど、本当のことを言わないこ

明石の虚言王が絶対に言及しない「ある事」

明石の虚言王こと泉房穂前市長の三橋TVでの虚言連発については既報だが、その後もXで虚言を発信し続けているので、もう少し詳しく書く。 タイトルの答えになるが、2011年5月の市長就任から5、6年経ったら一気に客が増えたのは、泉市長(当時)の子ども施策によって地域経済にお金が回る「まちの好循環」が起こったからではなく、泉市政の前から始動していた明石駅前南地区第一種市街地再開発事業が2017年2月に完了したためである(駅南口の再開発ビル「パピオスあかし」は2016年12月開業)。

明石前市長の財政運営は「ぐう有能」だったか

明石の虚言王(あるいは明石のチャベス)こと泉房穂前市長の信者が「ぐう有能」と言っているが、果たしてこれが快挙なのかどうかを数字で確認する。 隠れ借金とは土地開発公社の債務のことで、2013年度に市債(臨時財政対策債を除く)残高が増えているのはそれを引き受けるために第三セクター等改革推進債を発行したことによるもの。基金が2018年度に増えているのはJT跡地売り払いの代金を積み立てたため。 同期間の市町村合計の推移。 これらの数字についてだが、 地方債(臨時財政対策債を除

「明石モデル」のファクトチェック

明石の虚言王こと泉房穂前市長が新著(集英社新書)で例によって自画自賛しているので、「嘘・大袈裟・紛らわしい」の実情を示す。大部分はこれまでの記事で検証済みであることをお断りしておく。 日本の家族・子供向けの社会支出が諸外国の半分しかないというのは「偽」である。泉房穂の市長在任中には明石市だけではなく日本全体の支出も激増している。 建設ラッシュも「偽」。 税収は増えているが増加率は全国市町村計と変わりない。いわゆる「上げ潮はすべての船を持ち上げる」で、泉市政による明石市固

明石の虚言王「12年前の明石市はボロボロだった」

自分が前任者と違って超有能だと印象付けたい人物がよく使う手に「V字回復の演出」がある。産業界では「カリスマCEOから落ち武者になった男」ことカルロス・ホスンが有名だが、明石の虚言王こと泉房穂前市長も「ボロボロだった明石市を自分がV字回復させた」との趣旨の発言を繰り返している。 正常な認知能力がある人には、2010年頃の明石市が神戸市や加古川市に比べてボロボロだったようには見えないだろう。 明石市は西から二見、魚住、大久保、本庁の4地区に分かれるが、人口減少が目立っていたの