【売国のテロル】穂波 了|生物兵器テロの最有力容疑者は日本?※ネタバレ有
アフリカの小さな漁村から世界各地に広まったとされる、従来の抗生物質や成分ワクチンがまるで効かない新型の炭疽菌災禍。漁村からは都市や農村への渡航、空港を使う者は誰もいなかったのに、なぜパンデミックは起こったのか。
この記事は、「#読書の秋2020」の応募作品です。
著者
穂波 了。1980年生まれ。千葉県出身。別名義で、2006年に第1回ポプラ社小説大賞を受賞。2019年『月よりの代弁者』(出版に際して『月の落とし子』に改題、早川書房刊)で第9回アガサ・クリスティー賞を受賞しデビューを果たす
アガサ・クリスティー賞とは、簡単に言うと早川書房の長編推理小説の公募新人賞。将来有望な荒削りの新人が書くため、読者の想像を超えてくる独特の作品が多いです。
主な登場人物
物語は、大きく二人の登場人物を追う形で進行していきます。一人は元自衛官の宇宙飛行士で、炭疽菌に感染した妻を救おうと奔走する矢代相太。もう一人は、感染者の遺体回収に特化した特殊小隊を率いる田淵量子二尉。
あらすじ
南アフリカの小さな漁村で炭疽症と思われる病気が発生し、数日のうちに30人ほどが死亡。感染は広がるも経路はまったくの不明。
補給船との衝突で穴が空いたまま軌道上を周回している国際宇宙ステーションから炭疽菌が放出されて、重力に引かれる形で降り注いでいることが分かった。
日本人の矢代相太を含む3人の宇宙飛行士が調査のために宇宙ステーションに送られ、破損した日本モジュールの中で濃厚な炭疽菌の痕跡が発見された。それらは人の手による合成炭疽菌であることが判明し、日本は世界から国際テロの疑いをかけられ、激しい批難にさらされる。
日本政府は調査委員会を組織し、炭疽菌が自衛隊によって開発された痕跡を突き止める。自衛隊の特殊作戦群の兵士たちは炭疽症の災害支援を行っていたが、自分たちが処刑される立場になった為次々と脱走。
周回軌道に乗る宇宙ステーションの軌跡で次々と発生する炭疽症はワクチンが存在しない。
矢代相太は田淵量子とは自衛隊時代の友人だったが、妻を救いたい思いから真犯人を追う彼と、自らの正義を貫く彼女。
協力し合うことが出来ない悲劇が展開される物語で、描かれるのは、ふたりの戦争とふたりだけのミステリー。
感想
始まりはSF的だったけれど、次第に苛烈さを増していく冒険小説のような感じがした。物語の後半では戦闘シーンの中にミステリアスな展開などもあって、なかなか個人的には面白い作品でした。
宇宙規模の作戦など迫力があり、とんでもない方法で攻撃したり曲者揃いの登場人物も味を出していて面白かった。
それらが帯の惹句になっているように
「恐るべき未来の、新戦争ミステリ!」になっている。
新炭疽菌薬の現物と製造方法を手に入れようとするけれど、世界中に大勢の被害者を出しているにも拘らず、現状7個しかない薬を五島列島の7人の子供に使わせようとしているところには疑問はあった。
矢代相太の妻の
「その内の一つをわたしが使ったら、子供の一人が亡くなるってこと?」
「子供を殺してまで生きることは、わたしにはできない」
結果的に死を選択し、7人の子供の体内から炭疽菌が消えて、薬の大量生産が行われた。
こういった少し無理があって通常はそんなことしないでしょ?っていう展開が多かった。
この場合私の立場なら普通にもらって飲みます。笑。だって飲む権利が優先されてたんだから。命の優先はないけど死ぬ勇気があれば、それ以上にその人の分まで生きる勇気が生まれると思うから。
他人に親切な心はもちろん大切だけど、見たことも会ったこともない他人の為に、命を捨てれるってちょっと今の私には考えらないな。
矢代相太は陰謀に巻き込まれた被害者だったので、個人的にハッピーエンドを期待していました。というか、ハッピーエンドじゃないと私、モヤモヤが残るタイプなんです。笑。
この作品は、謎の致死性ウイルスを載せたまま制御不能に陥った月探査船が、千葉県船橋市のタワーマンションを直撃して大災害をもたらす『月の落とし子』(早川書房)ともリンクしているらしいです。
終
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