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「絵本の楽しみ方」-エッセイ-

〜50音でつづるエッセイ〜
今週は「え」から始まるテーマでお送りします♪

公共図書館で働いていた頃。
児童書や絵本のコーナーを担当した事がありました。
そこで時々聞かれたのが……
「子どものためになる絵本はないですか?」とか「知育になる絵本のおすすめってありますか?」という質問。

確かに、脳の発達を目的として作られている絵本もあります。年齢や発達段階ごとにおすすめもあるので、そういった案内も出来ます。

でも……個人的に、そういう目的や目安だけで本を選ぶのは、少し勿体無いなと思うんです。

それに。
一人一人のお子さんに合う絵本というのがあるので「世間で話題だから読ませよう」とかじゃなく、どんな本が好きかなー?と絵本選びからお子さんと一緒にできるのが理想です。

お子さんに合わせた絵本選び

例えば……

本をかじったり破いてしまうお子さん。
→まだ絵本というものが何かよくわかってない段階です。そんな時とりあえず、口に入れたり手で色々触って確かめたくなるんです。
やぶれにくい赤ちゃん向けの丈夫な本があるので、まずはそれを読んであげてほしい。
「絵本はこういう物だよーとお口に入れずに見て楽しむものだよー」というのを教えてあげましょう。
破いちゃダメなんて取り上げなくてすむように。

次々ページをめくるお子さん
→まだ読んでる途中なのに、次々ページをめくりたがる場合は、ページをめくるという行為が大好きだったり、次のページに何があるか好奇心がうずいてしまうんですね。

そんな場合は、ストーリー性のあるものよりも仕掛け絵本がおすすめです。
めくると何が出てくるかなーと一緒に楽しみましょう。

絵本に興味を持ってくれないお子さん
→書いてある文章を単調に読み上げるだけだと、飽きてしまうお子さんも。

〇〇さんはどこかな? 他に何がいたかな?とか、絵の中にどんなものが描かれているか一緒に見てみます。
そうすることで、自然と観察力や自分で考える力なども、身についていったりしますよ。

絵本を通して共通体験を


講義や授業なんかでも、一方的に先生の話をずっと聞くだけだとなかなか内容が頭に入らないことがあります。 
たまに問題を出されて自分で考えてみたり、グループでディスカッションしたりすると、理解が深まることも。
それと同じようなことです。
一方的に読むのではなく、絵本を通してコミュニケーションをすることが大事なんです。

一番大切なのは読み聞かせをする大人自身も楽しむこと。
絵本を通して、共通の世界を体験できるのが、読み聞かせの何よりの魅力です。

絵本に出てきた動物に興味を持ったり、食べ物を食べたり、お絵描きや積み木など遊びの中で絵本の世界を再現したり。 

そんなときに。
「あ!これって、あのとき一緒に読んだ本に出てきたやつだね」
と気づいてあげることができます。

そうやって、色々な世界への興味を広げてあげることが、一番「子どものためになる」んじゃないかなと思ってます。

歌っている花たち

1920年制作,   ラッセのにわで (福武書店, 1991年)より
※public domain

大人も絵本の世界を楽しもう


絵本は、子どもに向けて書かれたものですが、別に誰かに読み聞かせるとかじゃなくても、大人が自分の楽しみのために読んだっていいんです。

絵本は、疲れた脳でも無理なく楽しめるやさしい読み物です。読書する時間がない人でもすぐ読めます。そして、添えられた絵には、心を癒す力もあります。

最近、何かストレスや不安があるという方は、ぜひ自分の惹かれる表紙の絵本を手にとってみてください。

子どもの頃大好きだった絵本を、読み返してみるのもおすすめです。
「懐かしいな」と思えるかもしれないし、「えっ、こんな話だったっけ?」と新たな発見があるかもしれないですよ。

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