【ライターの仕事】取材時に出てきた未知のワード。知ったかぶる? 正直に聞く?
生きることは未知との遭遇
この世は知らないことだらけです。
自分が生きている世界は井戸の中の、それも10cm四方くらいの水の中だと思います。
だから、「突然降って湧いた仕事」が、経験のあるジャンルばかりではない。特に地方でライターをしようと思うと、「なんかわからんがライターを探していて、やってくれ」みたいな突撃案件が降ってきたりする。
ITのことはまったくわからないが、スタートアップ企業やシステム会社の偉い人たちの話を聞く
そんな取材現場もある。
でもね、無理ですよね。ぽろっと出てくるキーワードが「エクイティファイナンス」とか「シリーズA」とか「CTO」とかね。オンライン取材で話を聞きながら、手元のスマホでキーワード検索しちゃうくらいにはやばい。
※その時はディレクターさんが取材をしているのを、オンラインで聞きながら原稿をまとめる仕事だったので検索する余裕がありました。
こういう場合、どこまで「それはどういう意味ですか?」と聞いていいのか迷います。相手との関係性にもよります。
初対面で、相手の背景をあまり知らない状況ならいいかも。
ただ取材相手がホームページなどですでに公表している情報ならば、知らないとちょっとよくない空気が流れる可能性もあります。
自分の専門分野を増やし、やれる範囲を拡大せねばと思うものの。
ちなみに営業マンが「知っているふりをする」という現場を見ることもある
すごーく広告を売りまくる敏腕営業マンと取材に行った時。
その人は「知らない」と微塵も感じさせませんでした。
でも知らない単語はこっそり紙にびっちりメモしていて、後で調べまくるのだそう。会話が上手いので、知らないことはサラッと流して知っている単語だけでつないでいく。
すごいスキルだなと思います。
私はその人の前でも「不勉強で申し訳ありません」と言いながら、知らない単語のことを教えてもらったり、深く聞いたりしましたが。
あとで営業さんから言われたことは、「ライターさんは聞いてもいいと思いますよ。でも営業はちょっとダメかもね」という反応。
ライターはよくて営業はダメ。その判断自体も個人の裁量によるもので、本当はどっちなの? かはわかりません。
どんな媒体で何を取材するかによって姿勢は変わる
例えば編集記事で、お店の紹介取材の時。相手にとってもちょっとメリットがある場合は少しだけフランクになれます。
お店取材なら「大体の情報がお店に転がってる」からわりと肩の力を抜いて挑めるし。
でもあんまり知らないことは大っぴらにしないほうがいいとは肌で感じます。
なんとなくの分類。
①お店取材の時
相手を知らないまま取材することが伝わってしまうと、「じゃあなんでうちを選んだの?」と疑問に思われるし、そのお店を利用したこともないのに取材しちゃう体裁もよろしくはない。
できればインスタで見ただけじゃない、何かのきっかけがあってあなたをいいと思ったと伝えたい。それは「社内の誰かから勧められて」「友達が良かったと言っていて」とかでもいい。
その上で、目の前にある商品とか、素材とか、サービスについて「素敵だと感じるけどその理由を教えてくれ」という姿勢になるのは良いと思っています。
②美容系の取材の時はひたすら「知らないふりして褒める」も使える
「美の秘密を聞く」みたいな体裁の時は、自分が無知であることを前面に出して「なぜそんなにお美しいのですか」という姿勢で取材を進めるとスムーズだったような記憶も。
美容医療のプロの広告ではなく、「読者モデルを崇める」ようなスタイルの時です。自分が引き立て役になれば良いのです。
③人物取材の時(起業家、何かのプロなどなど)
この場合は、ちゃんと調べていかないと話が続かない。業界の常識や、その人はどんな功績があって、今何をしているのか。最低限の情報。
つまり調べたデータがないと話題をふることができないからです。目の前に情報が転がっているお店とは違う。
世に出ている情報を「知っています」と伝えた上で、世に出ていない奥深い情報を引き出す形を取れたらいいなと思います。
全体的に「知ったかぶってもいいことがない」ので正直に言います
あれこれ言いましたが。
ちゃんと事前に下調べして、半日程度のリサーチではまったくわからん情報が出てきたら、「不勉強で申し訳ないのですが」と前置きして聞くほうがいいと思っています。
※もちろんもっと時間をかけてリサーチしたいのだけど、単価とのバランス、スケジュール次第でそこまで時間がかけられないことが多いような。
もちろん、場合によります。
言えない時もめちゃくちゃある。
でも、知ったふりして生半可な理解のまま取材を終え、原稿がイマイチになるほうが大問題だと感じます。
溶接とか金属加工とかの工場取材をしたときは、あまりのことに「素材のことも作業のことも、まったくわからない」ことを正直に伝えながら全力でメモし、調べられるところは隈なく調べて原稿を書きました。知らないのによくここまで書けたねと言われたので、そういう評価の仕方もあるんだなと。
いやいや、知っている方がいいに越したことはありません。
たぶん。
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地方の出版社を経てフリーの編集ライターとして活動しています。
○地方でライターの仕事を続けるには
○単価アップを叶えるには
○そもそもライターってどんな仕事?
○編集の視点とライターの視点の違い
などについて、自分なりの解釈をしていきたいと思っています。
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