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僕の平成のプレイリストは 愛のために。by 奥田民生

僕は平成に何を残したのか

平成も残すところ後 一ヶ月。なんとなく悲しいような寂しいような感覚。それは多分 なんだか自分が不甲斐ないからだと思う。一応、外見上は順風満帆な人生だと思われている。けれどそれは ほとほと中途半端な人生だという自覚がある。何をするにもやりきれない。何度も何度も 目の前の雲をフーっと勢いよく吹き飛ばしても その先にまた雲がかかる。そんな毎日を過ごしている。

僕は 平成 に何を残したのか。とてつもなく 平成が終わらないでほしい そんな気持ちになって なんだか振り切れないスピードメーターをずっと眺めているような。それが僕にとっての平成だったように思う。

愛のために あなたのために

今からちょっと買い物行ってくるから 私が帰るまでに 食器だけでも洗っといてと 少し慌ただしく朝食のパンとコーヒーをお腹に入れて 妻は出かけていった。

子供たちは いとこが帰ってきてるので 遊びに行っている。築4年の家は いつもより静かだ。少し肌寒い感覚を足の指先で感じながら いつのまにか冷たくなったコーヒーを口に含み ようやく食器を洗おうと重い腰をあげる。ただ洗うのも暇なので iPhoneをタップスワイプしてApple Musicのオススメのプレイリストを見てみた。

平成ヒッツというプレイリストがすぐ目にとまり 自宅でひとりだということもあり なんだか感慨深い気持ちになった。すぐにそのプレイリストをシャッフル再生。水の流れる音 キッチンのひんやりした空間 油汚れに強いジョイ 汚れた皿に手をかけた時 ー

奥田民生の「愛のために」が 懐かしい風を連れてきた。

この歌を初めて聴いたのは 僕が中学生の頃だ。何やらわけのわからないヘンテコな歌だと思いつつも 同級生の間で流行った 奥田民生という男。

ユニコーンという伝説のバンドのフロントマンだとは全く知らず ただ何となく みんな聴いていたから 僕も毎日 ただ何となく 聴いていた。

愛のために あなたのために 生きていきましょう。

当時 全くその感覚は分からなかったけれど 妙に思春期の心を幾ばくか刺激してきた。

愛のために生きていく 

そんな生き方が 最もらしい生き方なのは ようやく最近 分かってきた。当時 奥田民生はそれを分かっていたんだろうか。

奥田民生の愛のためにを聴きながら サッカーボールを追いかけていた少年は いつの間にか 奥田民生から内田有紀へと音楽嗜好が変わり サッカーボールではなく 女子のお尻ばかりを追いかけていた。

そんな青春の1ページを彩った奥田民生の愛のためには 僕の平成のプレイリストのひとつだと言えるだろう。

あっ まだテーブルの上に飲みかけのコーヒーがあるのに 気づいた。もう全部食器は洗ってしまったと思っていたのに めんどくさいな。

それから奥田民生の愛のためには 食器全てを洗い終える数十分の間 自然に何度もリピートしていた。

帰ってきた妻が  愛のために〜♬あなたのために〜♬と鼻歌を歌っていながら食器を棚に片付けている横で僕は 最後のコーヒーカップを洗っていた。

明日のことや目標

明日こそは 村上龍の限りなく透明に近いブルーを読み切る!絶対に。今日 少しだけ読者をする気分になれたので 読んでみた。ほんと いつ読んでも胸くそ悪い表現が 僕の心の穏やかなところを 無下に荒らす言葉の表現が上手いと感じる。良い意味で 吐きそうになる場面もあった。

これか これが村上龍の凄さなのだと思った。小説を読んでいるだけで吐き気を呼び起こす文章力。それはつまり 描写力がすごく繊細だということが言えるのだと思う。しかしいやはや、早くこの吐き気から抜け出したい!だから明日は 絶対に読み切ることにする。



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