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国語科単元学習@もしも時間で『お手紙』を読む~6時間目まで~

国語科単元学習@もしも時間で『お手紙』を読むの続きです^^

1 単元びらき(1時間目)

 みなさんは、国語の単元学習が始まる1時間目は、どんな目的で授業をされていますか?

 私は、いつも、目の前の子供たちが『よし、やってやるぞ!』とか『明日が待ち通しい。』とか、国語なのに、わくわくしている感覚。そして、国語なのに、きらきらとした眼差しで45分間を過ごすことを一番の目的としていました^^(私自身は、小中高と国語が大嫌いでしたから、私と同じ感覚でいる子供を少しでも減らしたいという思いで、国語の勉強を進めています。)ですから、手段は選びませんでした。どこからでも、言語活動の材料を選んでくる。単元が始まるたびに、子供たちの学びの履歴が分かる動画を作成する。…。1時間目で、どうしたら、学ぶ意欲のトップギアに入るようになるかを、いつも考えていました。

 ですが、今回の単元びらきでは、やる気やわくわく感を出すよりも、言葉で思考させることと『時間』で読むことの知的好奇心をくすぐることを一番の目的としました。それには、理由があります。一番遠くて、一番近いとある先生が『学びは教師が立ち上げるものではなく、自然と立ち上がるものだ。』とおっしゃっていたことが大きく関係します。つまり、学びとは、子供も意図しないうちに、立ち上がっているものであって、誰かに立ち上げてもらわなければ立ち上がるものではないということです。他動詞ではなく、自動詞だそう。

 確かに考えてみるとそうです。学びとは、自然と湧き上がるもの。生理的な欲求といいますか、源泉と言いますか、そんなところに学びがあるのではないかと思っています。子供たちにも言います。『好きだから、学びたいって思えるんだよ。』と。そう考えると、『1時間目で、どうしたら、学ぶ意欲のトップギアに入るようになるかを、いつも考えていました。』といつも考えて、単元びらきをしていた私。これは、違う。そう思いました。1時間目でトップに入る子供が居てもいいし、それが、2時間目、3時間目であってもいい。極論すれば、単元が終ってからでもいいわけです。だからと言って、1時間目からトップギアに入れるように、こちらがすべきことを辞めるという話ではありません。どうしたらの後に隠れている(教室にいる全員が)という意識を取り除かなければいけません。

 そういうわけで、今回は、思考にこだわった単元びらきを構想しました。『自分でかんそうをもつ力を付ける』ために作った『もしも時間で読んだ、【名前を見てちょうだい】を使った、えっちゃんの読み』。場面と場面の間。帽子を追いかける時間で、もしも時間を発動。これを言語活動のモデルに採用しました。これまでに学習してきた教材を別の視点の指導事項から切り取り、言語活動のモデルとすることで、スタート台を同じところに設定することができます。

 言語活動のモデル大体、一つだけ提示していました。ですが、今回は、二つ用意しました。『Aさんはこう読み、Bさんはこう読んだ。みんなはどちらのモデルの感想がよいと思うか。』とモデルの検討を通して、言語活動の追体験をして欲しかったからです。

Aは、えっちゃんが、もしも1時間、ぼうしを追いかけていたら。

 Bは、えっちゃんが、もしも1分間、ぼうしを追いかけていたら。

 結論から言うと、盛り上がりはしましたが、子供たちにとっては、『やりたい!』とか『続けたい!』という言語活動になり得ていませんでした。理由は、分かっています。今までの国語の単元学習が、外発的な動機づけ(言語活動の目新しさや魅力)から自己調整学習に至らせていたからです。今回は、内発的な動機づけ(国語科としての言葉の見方・考え方を働かせること)から出発していますから、単元のどこかで花開いてくれたらいいなあと思いました。

2 問いを立てる(2時間目)

 2時間目は、1時間目で試行したことをもとに、個人で問いを立てます。国語の単元学習では、この問いを立てることと解決を繰り返していきます。その中で、同じような問いをもつ友達で話し合ったり、時には、違う問いだけれども、同じようなトピックで話し合っているグループ同士で意見を交流したりします。それでも、どうしてもの時は、『ちょっといいですか?』と手を止めて、みんなで考える機会を生み出します。個人の問いから学びを創り上げていくスタイルです。今回は、がまくんチームとかえるくんチームに分かれます。高学年になると関係も考えさせますが、低学年は、思い入れのある登場人物で固定させる場合もあります。

 その中で、子供たちが立てた問いには、このようなものがありました。

『がまくんにかかわる問い』
・がまくんがふしあわせな気もちになったのはどうしてかな?
・がまくんが、『あきあきした』のは、どうしてかな?
・がまくんは、どうして、かえるくんのことをことわったのかな?
・がまくんは、どうして、四日もまてたのかな?

『かえるくんにかかわる問い』
・かえるくんが、家に帰る時間はどれくらいかな?
・かえるくんが、まどの外を見ていた時間はどれくらいかな?
・かえるくんが、手紙を書く時間は、どれくらいかな?
・かえるくんに、もしも時間がつかえるなら、どんな場合があるかな?

 最初に立てた問いにとしては、まずまずです。子供たちには、『答えが書いてあるもの』『考えても分かりっこないこと』こいういう問いを解決しても、学びがいがないと言います。その問いをかいけつすることで、単元の学習課題に書いてある力が付くものと言います。難しい説明ですが、子供たちは少しずつこなれてきます。

3 問いを解決する。そして、新たな問いを立てる。(3時間目~6時間目)

 がまくんチームは、4人の1班。2人の2班の計3班に、かえるくんチームは、4人の2班。3人の1班の計4班に分けました。グルーピングの基準は、同質の問いを立てたもの同士。まあ、結局、ごちゃごちゃなっていくのですが^^

 がまくんチームは、2時間ほど出遅れました。一方で、かえるくんチームは、すいすい進みます。この理由は明確で、かえるくんの描写は多岐にわたるので、様々な解釈の余地がありますが、がまくんは一辺倒なのです。ですから、かえるくんチームの読みが磨かれていったときに、大きな出番が回ってきます。かえるくんチームは、もしも時間で読みを進めていきます。

・『大いそぎ』ってことは、かえるくんは、走って帰ったんでしょ?全力で。もしも10分間だとすると、つかれるよねえ。

・かえるくんは、手紙と鉛筆を『見つけた。』んだから、かえるくんの家は、絵とは違って、散らかっていたんだろうね。

・かえるくんが、手紙を書いた時間は、3分10秒くらいだと思うよ。手紙を書く時間でしょ?封筒に入れるのって、どれくらいかかるの?

・『見ました。』から『のぞきました。』に変わっているのは、かえるくんが窓の外に体を出しているってこと。焦る気持ちが分かるね。

・『きっと来るよ』と言った。『ぜったい』とか『かならず』ではなく、『きっと』。この言葉に、かえるくんの気もちがかくされているはず。

・どうして、かえるくんは、自分から手紙を書いたことを言ったの?(定番のやつ)

・『きみ、どうして、ずっとまどの外を見ているの』とがまくんが言ったから、かえるくんが窓の外をのぞいていた時間は、10秒や20秒じゃない。待ち遠しかった気もちが分かる。

 これだけでも十分、読んでいるのですが、ある子供の発表で、学びが加速していきます。

・もし、かたつむりくんが手紙を届けるのが、四日以上かかったら…。

・逆に、もし、かたつむりくんが手紙を届けるのが、四日よりもずいぶんと短かったら…。

 教室中で話し合う声。チームを飛び越えて、机を離れて話し合っています。いい姿です。この45分間は、単元の山場に近づいた証でしょう。

『あと4時間やりたい!』『あと6時間やりたい!』

 思う存分、もしも時間で読むことに浸らせてあげようと思います。学びたい時が、学び時^^

 さあ、来週から延長戦です!

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