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女性のためのヨガの教科書16

6、股関節(ヒップオープニング)


肩関節同様、股関節は360度、全方向に動かせる球関節です。
人間の身体の中では一番その人の個性を大きく左右する重要な場所と言えるかもしれません。

というのも、股関節の意識の違いが、
体型も体質も、性格も、好みの傾向も、全ての違いの元となるからです。

「股関節が硬いと絶対お腹のお肉は落ちません」
とはyoutubeでよく出てくるヨガクラスの広告のコピーですが、

本当ですよ。

背中が丸い姿勢の時、
股関節は外旋しています。
骨盤の中の大腿骨が外側に逃げているということですね。

股関節が硬い、
背骨の動きが悪い、
後屈が苦手、
膝の内側に痛みがある、
など、
大腿骨が外旋傾向の方の特徴です。

ただ、
ヒップオープニングという開くイメージで360度動かせる股関節を捉えてしまうと、
前後の開脚とか、左右の開脚とか、そういうことができるのが良いと思われてしまうかと思いますが、股関節自体、内旋させられることの方が、身体全体のバランスにとって大切かなと思っています。

日頃お悩みを受ける中でも、
一番関係してくる箇所で、
膝の痛み、腰の痛み、などがある方は、
ほぼほぼ股関節を内側に引きつける内腿の筋力を強くしたり、
内に回す使い方を実践すると、
痛みや違和感が改善します。

いわゆる横の開脚を毎日されていて、
内腿から足先にかけての血行が良くなったり、
外側の筋力が強くなるのは良いことだけど、
内腿からお腹のインナーマッスルにかけての大事な部分を引き締めて使えなくなり、バランスが苦手になってしまう、ということも時々お見受け致します。
開くための力、集まるための力、陰陽は常に同じでないと。

その方の生まれ持っての骨格※や、

「腰を落とす」というような武士道的な身体の使い方が良しとされて、
小学校の体育などでもそのように教わることも影響していると思います。

足を広げることを外転と言いますが、
外転している時に外旋してしまうこともヨガ中によく指摘させて頂きます。

ヨガって基本的な身体の扱い方が、すべて同じです。
会陰から軸を引き上げて、エネルギーが(無駄に)外に広がるのではなく、
しっかりと自分の中心に流れるように整えることです。

よく「自分が満たされていないと周りのためになることも出来ないよ」と聞きますよね。

私も自分が空っぽなのに、
自分のエネルギーを全部周りに使っていたことがありました。
「金は天下の回りもの」そういう言葉が口癖だった方々が周りにいた頃でした。
その哲学は、自分は空っぽの器、お金も人もエネルギーも循環していくものだからどんどん人のために使いなさい、そう教えられてそう思っていたのですよね。

そういう考え方はある。
確かにそれなら素敵な世界かもしれない。

でも違う。
そう気付いたのは、
東日本大震災のボランティアをしていた時かな。

私の周りの方々は、皆前記したような考えの持ち主だったから、
自分が苦労して無理してでもあげようあげようとして、
実際そうしていたんですね。

でも、現地では寄付金が使途不明なまま横領されたり、
皆の善意で集められたものも、
結局使われないまま捨てられて、
なんか違うかもとふと思ったんですよね。


ペアヨガとか、
パートナーヨガと呼ばれるような2人以上で行うヨガでも、
それぞれがしっかり軸を持って自立出来ていないと、
他者と一緒に行った時にバランスが取れずに崩れてしまったり、
逆に相手に自分を委ねられなくてヨガにならなかったりします。

他人との協調性を大切にするアジアの文化と、
個人主義で自分の軸をはっきりしっかり持つ欧米の文化。

もしかしたら股関節の使い方そのものが、
実はその人のパーソナリティと密接に関係しているのかもしれませんね。

股関節の話はまだまだ座位の項や、
バンダの項などにも続きます。

ヨガインストラクター歴は18年。既に成人した息子をシングルマザーとして育ててきた経験から、ヨガを軸に、女性の生き方、医療でカバーできない健康のこと、などを発信していきます。