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武者小路実篤 「友情」を読んだ感想

 はじめまして!2022年12月から始めました、くしゃみと申します!これから本の感想を気ままに書いていきたいと思ってます!何卒よろしくお願い申し上げます🙇

 今日は友情と恋愛の相克がテーマ、武者小路実篤の「友情」を読みたいと思います。短いし文章も簡単そうだし青春小説っぽいので読みやすいかな〜て思ったので要約と感想を書いておきます。お時間がございましたらぜひ読んでみてください!また小説、新書などの感想を載せていくため、ご興味があればぜひフォローよろしくお願い申し上げます。

 



 唯一の親友(野島)が恋した女(杉子)が自分(大宮)のことを好きになってしまったらどうしますか。どちらを拒むか、受け入れるか。


 前半では、大宮は友情を取ります。大宮も杉子のことが好きなのですが、その恋心に嘘をつき、なんとか杉子が野島を好きになってくれるように仕向ける。野島を褒めちぎったり、杉子を冷淡に取り扱ったり。大宮のこういう義侠心には惚れ惚れします。しかし野島は女知らず。大宮の助力により杉子と親しくなりつつあるが男女の仲にはなりきれません。それだけでなく、杉子に近づく男達に腹を立てたり不安になったり。好きな人の態度で天国にいるような気分になったり怒ったりするのは共感できますよね。


 しかしそうこうしてる間に、大宮は杉子の美しい歌声や優しさが膨らます恋心にもうどうしようも耐えられくなります。ここで大宮は友情を取るのか、女を取るのか、このお話のポイントだと思います。結局は友情を取ります。大宮は芸術を学ぶという口実を設け杉子から逃げるようにパリへ行きます。野島を裏切りたくない、この大宮の決心は極めて美しいです。(しかし大宮が杉子との恋愛でライバルになると恐れていた野島は彼の出国を密かに嬉しく思っています。)


 その後に、やっと決心したか、野島は杉子に求婚を申し出ますが、あっさりと断られます。まだ杉子は大宮のことが好きなのだ。そして杉子はパリにいる大宮に自分の思いを赤裸々に綴った手紙を出します。大宮は女への想いと、悲しみにくれる親友との友情、どちらを取ればいいのか、再び激しい竜巻の中へ放り込まれる。杉子は何度も何度も恋文をパリへ送り続けるが、大宮は頑なに、尊敬する親友と結婚するように何度も杉子を説得する。杉子への気持ちには全く答えず、分からず屋みたいに野島を奨励する手紙からは、彼らの友情の美しさが滲み出る。しかし幾度となく、杉子からの求愛を受け、驚異的な自制心で抑え込めていた男としての本能が吹き出し、最後には大宮は杉子の慕情に首肯し結婚を決意します。



 そして大宮は友情を捨てるまでに至った過程をそのまま小説にして野島に伝える。全てを知った野島は、孤独に苦しむ自分と、支えを得た大宮、どちらが上かを仕事の上で決闘することを誓う…お話の要約は以上です。


 このお話が他の恋愛小説と一線を画すところは、好きな人の態度で天国にいるような気分になったり、腹が煮えくり返り、あんなやつ知らん、もう好きではない、と怒ったりする、野島のような恋愛をする主体者としての気持ちだけでなく、自分に嘘を付き野島と杉子をくっつけようと奮闘する大宮のような恋愛における潤滑油となった者の気持ちが鮮やかに描かれているところだと思います。また大宮が最後に杉子を選んだ心情もリアルに描かれています。これは大宮が杉子を想う気持ちが強いからこそ生々しく読者に伝わってくる。ぜひおすすめしたい純恋愛小説です。


最後まで読んでくださりありがとうございます。良いなと思ったり感じたことがあればコメントやスキ、フォローでのフィードバックお待ちしております。

普段は小説、新書の感想記録を書いてます。工学系の学生ですが、専門知識ばかりあってもだめだと思い読書を始めました。他の投稿も覗いてみて下さい!

それでは、ありがとうございました!

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