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焙煎のカオリ

明日は東京も

雪が降るみたい。


今日は土曜日。

だらだらと

昼すぎまでベッドの中にうずくまっていたけれど

昨日お湯を抜かないでおいた

湯船を追い焚きして

優雅に長風呂したら

一気に目が覚めた。

贅沢な過ごし方。


この前

近所を散歩していたら、

街の電気屋さんが

傍ら珈琲の焙煎所も

始めたようで

ふらっと立ち寄ってみた。

なぜかって、

とてつもなく

香ばしいスナッキーな香りに

つられてしまったからだ。

珈琲というより、

クッキーやケーキを焼いている時の香りに

近いくらい

いい香りだった。


20種類ほどの生豆がずらりと並ぶ。

いちおう

ジブンもコーヒー屋さんで働いているから

産地別の味わいの傾向くらいはわかる。

今日は直感で決めようと思い、

「エチオピアを100gください。」

電気屋さんの息子さんと思われる

擦れていないかんじが好印象の

大学生のアルバイトに接客してもらい、

20分ほど焙煎のあいだ外で待っていた。

「焙煎の香りってこんなにいい香りするんだなー」

と鼻をクンクンさせながら

極寒のテラス席で

しかも

アイスカフェラテも頼んでしまったので

少し足を震わせながら待っていた。

「よかったら待っているあいだこちらどうぞ。」

さっきの好青年が

デミタスカップに

焙煎したての違う豆で淹れた珈琲を

持ってきてくれた。

優しい青年の微笑みと

優しい心遣いに

珈琲の味は何倍もおいしかった。



焙煎してから

100時間は置いてから

飲んだほうがいいとアドバイスを

もらったので

飲まずに

100時間をひたすら

カウントダウンする日々。


好青年から

接客業のあり方みたいなものを

学んだいい日だった。



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