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抜け殻だけで静かだ

お寺が好きだ。今日も散歩をしていて辿り着いたお寺に入ってみた。都心の雑踏の中から一歩足を踏み入れると、途端に結界に守られた異空間のような静けさに包まれる。そんなお寺が好きだ。

しんと静まる境内を歩いて紫陽花を眺める。前も書いたが、本当にアマガエルを見かけない。いや、カエルがまずいない。多摩川とか荒川まで行かないと見つからないのかな。

そう思いながら墓地の方まで行くと蝉の抜け殻があった。綺麗に脱皮した抜け殻を見ながら、ふと思う。今年、蝉の鳴き声を聞いた記憶がない。散歩中はイヤホンをしているから気がつかなかっただけかと思い、イヤホンを外してみるがやはり聞こえない。

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暑いんだか寒いんだかよく分からない長雨のせいで、蝉たちも「あれ? まだ俺たちの季節じゃないのか?」と土から出てくるタイミングを間違えてしまっているのだろうか。

閑さや岩にしみ入る蝉の声

と松尾芭蕉も詠んでいたのがちょうど7月頃だったはずだが、もしかしたら東京からは蝉すら姿を消してしまうのかもしれない。あの騒々しさすら懐かしく感じる日が来るのは寂しすぎる。

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