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華麗に加齢な『47歳、V系』バンドマンの世界

V系、ヴィジュアル系が好きだ。去年までは日常的にライブハウスに通う日々だった。仕事帰りにスーツで高田馬場や新宿、渋谷、池袋へ息を切らせて行っていた。あの頃が、もう今は懐かしい。

2月に行った横浜アリーナでのナイトメア20周年ライブを最後に、もう半年ライブへ行っていない。何時になったら気兼ねなく当たり前にライブハウスに行けるようになるのだろう。あの日常の中の非日常的な空間に身を置く心地よさが、本当に懐かしい。

そんな中、Twitterでまた素敵なマンガに出会った。

若い頃、一時代を築いた伝説のV系バンドのボーカル美獣(ミシシ)さんは、47歳でもソロアーティストとして表舞台で輝きながら、裏では加齢を気にして青汁を飲み、白髪に悩み、「70歳まで病気もせず健康に生きて、ある日ポックリと寝ている間に死にたい」と願っている。

「なんだそりゃ」と思うかもしれないが、現実のヴィジュアル系バンドマンも30代40代なんて当たり前にいる。だから『47歳、V系』は全くファンタジーなんかじゃなく、むしろリアルな現代ヴィジュアル系バンドマンの「あるあるネタ」が詰まった日常マンガのように思った。

リアルなおじさんバンドマンたちは元気で、みな若い。そして、このマンガの美獣さんのように「加齢」を負い目に思わず、むしろ楽しんでいる人たちが多い(気がする)。先日も、おじさんバンドマンたちがオンラインで集まってキャッキャウフフとゲーム配信をしていた。

DEZARTのSORAさん以外は全員アラフォーおじさんである。ライブが出来ない状況だけど、バンギャルたちに元気を届け、更にはバンドの垣根を越えて仲が良いところまで見せてくれるというエモいことを積極的にしてくれている。『47歳、V系』でも美獣さんがバンドの元メンバーであり、音楽を始める切っ掛けにもなった同級生の園宮さんと解散しても仲良く交流しているのを余すことなく描いている。「おじさんバンドマン同士が仲良くしているエモさ」というのは、全バンギャル共通の御馳走だ。

1巻の最後では「サポートベースが親の介護で実家に帰ってしまう」という、これまた「バンドあるある」な展開から、園宮さんの同級生の息子で「美獣さんの大ファン」だという辺寿くんが新たなサポートメンバーとして登場する。自分の息子でもおかしくない22歳の若者とのジェネレーションギャップをどう埋めていくのか、とても先が気になる良いところで終わるのだった。

ところでマンガには美獣さんよりも年上だけど、美獣さんよりも完璧な若さを保っているKIYUさんという方が登場する。これ、現実だと誰イメージなんだろう。小悪魔っぽい性格なおじさんだし、やっぱりHYDEあたりがイメージなのかな。

でも、個人的にはBUCK-TICKの櫻井さん(54歳)の衰えを知らない美しさが令和の時代にも輝いていることもお知らせしたいとKIYUさんを見ながら思った次第だ。

令和のマンガもヴィジュアル系も、おじさんバンドマンが熱いのだ。



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