見出し画像

始まりの日。

2019年、冬。

暦の上では春の始まりを告げていたけど、
まだまだ寒いその日に。


私は産婦人科にいた


毎月来るはずのものが来ていない確かな違和感と、
検査薬には、とても薄く、薄すぎるくらいだけど
2本目の線が現れていた。

それをまだ婚姻関係にない彼に見せたときの反応。
「や、できてないでしょ。」

冷淡に、嘲笑するかのように言われたとき

この出来事は、もしかして不幸なことかもしれないと一気に不安な気持ちになった。



追い打ちをかけるように、

産婦人科で検査を終えた私に
「おめでとうございます」
なんて言葉を期待していたけど、
祝福の気持ちなど微塵にも出さず
「どうしますか?産みますか?」 と。


私に起こったこの出来事は、幸せなことじゃないのかも知れない。





2023年、春と夏の間の日。


今朝の話。

3歳になった娘と朝ごはんを食べながら
すこーし昔の話を思い出して話した。

「最初に見たのは、お腹の中にいるときの写真」
「猫みたいな形で可愛かったよ〜」

「だんだん赤ちゃんの形になってきて」
「産んで、初めて見たときは小さくて、いっぱーい泣いてて、宇宙人みたいで可愛かったよ」

目をきらきらさせて、頷く娘。

「お腹にいるとわかったときはね、お父さんとはまだ結婚してなかったの。」

「こんなに、可愛い子、粗末にしなくてよかった」


可愛くて、お利口で、元気いっぱいで
こんなに尊い命を、おわりにしてしまう
選択肢が自分にはあったのかと思うと
人間って、大人って、
利己的で、不潔で、朝から吐き気がした。

それを飲み込んで、

可愛い娘と目を合わせる。



何か話し出した。

また目をきらきらさせている。


「ねぇ!今日お外で水風船やっていい?」



関東は本日から梅雨入りです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?