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小さいけど、愛おしくて温かい世界

こんにちは、ぼぼこです。

最近はポートフォリオを作成していて、
何時間もPC作業をしていることが多いです。

自主的に休憩取らないと、ほんとに際限なくPCの画面を見続けていて、夜中目が冴えて眠れなくなったり、頭が痛くなったりして大変なので、
タイマーをつけて休憩するようになりました。

休憩中に本を読んだりしてしまうと、15分休憩がいつの間にか2時間くらいに延長されていることが度々あります。

だけど光を発しない紙に書かれた文字を見ている時間は、なんとなく頭の中をスッキリできるような気がするので、大切にしたいなと思います。


さて、今回は一穂ミチさんの「スモールワールズ」(講談社)の読書感想記事です。

夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉と再び暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わし続ける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を書き尽くす連作集。

本の帯より引用

全部で6話の短編小説になっています。
それぞれ1話ごとに完結しているので、どの話から読んでも楽しめると思います。

表紙は、家の形をしたかわいいブロックが並んでる中に陽が差し込んでいて、可愛くて穏やかな雰囲気の写真です。

本の表紙って、帯も含めてですが、その本が持つ雰囲気を感じれたり、こういう温度感でどういう内容の本なんだろうなってある程度予想できたりするものが多いと思います。
だけどこの本は表紙から感じ取れる雰囲気と、実際に小説を読んで感じた印象が結構違いました。

表紙の可愛さや穏やかさとは対照的なゾッとするような怖い話があったり、まさかの展開で終わる話があったり、ミステリー要素が結構あって、良い意味で期待を裏切られました。

また、社会問題になっているDVや虐待や差別などが題材になっていることもありますが、短編でもすごく内容にボリュームがある、深く心に刺さるようなお話ばかりでした。

だけど読後に重く心にのしかかるような感覚は全くなくて、むしろ意外なくらい気持ちが穏やかになったのは、作者の方の豊かな心理描写や、情景の書き方がすごく綺麗だったからだと思います。

それぞれの作品に登場する主人公の境遇に自分はひとつも当てはまらないのに、主人公の感情に共感してしまうような場面がいくつもありました。
あのとき言葉にできなかった、自分でもよくわからない気持ちがこの本の中で言語化されていて、ああ、あのときの自分こんな気持ちだったんだなって気付かされる、不思議な感覚を覚えました。


6つの短編に出てくるそれぞれの主人公は、みんな何かしらの生きづらさを抱えています。
だけど他人と関わる中で、どこかに自分の心の着地点を見つけて、小さい世界の中で一生懸命生きている様子がすごくリアルでした。


12月に入って一段と寒くなってきましたね。
読みたい本がいっぱいあって時間が足りません。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。





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