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最近読んだ本

こんにちは、ぼぼこです。

最近は寝る前に本を読むのが習慣になってきました。

何ヶ月か前までは、寝る前に夫とSwitchのボンバーマンで激戦を繰り広げることが日課でしたが、ゲームが苦手な私の勝率は10%くらいで、寝る前に屈辱感を味わうのが嫌なのでやめました。

現在は毎晩夫がモンスターをハントしている隣で黙々と本を読んでいます。
本を読む時間を毎日決めていると、読書が捗ります。


というわけで最近読んだ本で印象的だったものを2冊ご紹介します。

つまらない住宅地のすべての家

津村記久子さんの長編小説です。

とある住宅地に住む人々の話なのですが、刑務所から脱走した受刑者の女性が、その住宅地に向かって逃げているという出来事を軸に話が進んでいきます。

とある住宅地にはいろんな人が住んでいて、
妻が出て行ったことを周囲に隠す神経質な夫とその息子、
度々一人で勝手に外出してしまう息子を倉庫に閉じ込めようと計画する夫婦、
少女の誘拐を目論む一人暮らしの男性、
育児放棄をして外で恋人を作る母親とその娘姉妹、

などなど、様々な登場人物が出てきます。

複雑に拗れた問題を抱える住人たちが住むまちを、何が正解だとかこれは悪だとかそういう言葉ではなく、津村さんは静かに淡々と描いていました。

真実が物語の中で少しずつ明らかになっていく展開はミステリー要素もあり、時間を忘れて夢中で読んでしまいました。

登場人物が脱獄犯のことを話題にして盛り上がったり、脱獄犯が現れないか見張りをしたりというシーンは、自分達が抱える問題から何となく意識を逸らしているようで、その気持ちを何となく分かってしまう自分も決して他人事ではないような、そんな気持ちになりました。

鬱屈とした冷たい住宅地、だけど読み終わった後は、少しだけ心があったかくなります。


五つ星をつけてよ

奥田亜希子さんの短編集です。

表題作を含め、6作の短編小説が収録されています。
私は特に表題作の「五つ星をつけてよ」と、「君に落ちる彗星」というお話が好きです。

「五つ星をつけてよ」は、何をするにもネットのレビューを見てしまい、星の数や人の評価に頼らないと何も選択できない主人公のお話です。

主人公が母の介護を頼んでいるホームヘルパーさんについての悪い噂を聞いてしまうのですが、数日後そのヘルパーさんから、母が転んで怪我をしたとの連絡があり・・・というあらすじ。
誰かの評価と自分の気持ちの間で揺れる主人公の描写がとても鋭くて、こっちまでドキっとさせられるような内容でした。

ネットのレビューとか人の評価って何かを選択するときは本当に気になってしまうものです。自分の気持ちまでもがそれに上書きされていくことがないようにしたいな、と思いながら読んでいました。


「君に落ちる彗星」は、元アイドルの女性が投稿するSNSと、それに対して心無いコメントをする人々、そしてそんな荒れ果てたSNSを傍観する人など、様々な視点からSNSやネット社会に生きる人々が描かれています。

最後の1ページがいろんな意味で一番印象に残りました。
自分の心を見透かされているような、はっとさせられるラストです。


6つの短編集はどれも社会問題的なテーマを扱っていて、心にズシンとくる内容のものが多いですが、奥田亜希子さんの文章は、言葉にできない色んな感情を上手く掬い上げていて、読み応えがありました。


津村記久子さんと奥田亜希子さんの小説を読むのが初めてだったのですが、別の作品も読んでみたいと思いました。

津村記久子さんの「現代生活独習ノート」や「この世にたやすい仕事はない」という小説もすごく面白そう。

奥田亜希子さんは「求めよ、さらば」や「透明人間は204号室の夢を見る」が気になっています。


夜、読書に没頭しながらもふと意識が現実に戻ると、夫がゲームで銃を乱射しながらモンスターを倒していて、攻撃するたびに響き渡るドュクシッ!とかズドドドド!っていう音が正直うるさい(別の部屋で読め)。

みなさんはできるだけ静かな部屋で快適な読書ライフをお過ごしください。


ここまで読んでいただいてありがとうございました。


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