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アジアカップでFIFAランキングはどうなる?-ポイントを計算してみた-

はじめに

早いもので今年も残り1週間となった。第二次森保政権の本格始動となった2023年の日本サッカー代表は、3月のウルグアイ、コロンビア戦こそつまずいたものの、その後は最多記録タイの8連勝という破竹の勢いで一年を締めくくった。

特にW杯でのリベンジを期したドイツをアウェーの地にもかかわらず4-1で返り討ちにしたり、トルコ、カナダ、チュニジア、ペルーといったW杯出場クラスの国を相手にいずれも複数得点で勝利するなど、この1年で日本代表のレベルは確実に1段階上がったと言って良いだろう。実際にそのことはFIFAランキング17位という数字が示しており、来年早々1月に迎えるアジアカップにも期待が持てるというものだ。

そこで来るアジアカップで日本代表が優勝を収めた場合、どこまで順位を伸ばすことが出来るのかを検証してみることにした。昨今海外組の所属クラブでの活躍によりアジアカップなんぞに選手を呼ぶなという声も聞かれるが、FIFAランキングの計算上大陸選手権はW杯本大会に次いで重要な大会であり、ここで如何にポイントを稼げるかがW杯本大会でのポット分けにもつながってくる。

それ故にアジアの大会だからといって決して侮ることはできない。また日本代表がどこまで勝ち進めばどれぐらいの順位になるかを知ることは、アジアカップの新たな楽しみ方にも繋がるだろう。それでは早速始めていこう。

計算方法

試合ごとのポイント算出方法

まずは何をするにもポイントの計算方法を知らなければ始まらない。1試合ごとの試合結果により加算(減算)されるポイントの計算式は下記の通りだ。

試合の重要度係数 (A) × (試合の結果係数(B) - 試合の期待結果係数(C) )

見て分かるように、ポイントの算出は3つの要素から成り立っている。それぞれ詳しく見ていこう。

①試合の重要度係数

その試合がどれだけ重要かを表すものであり、前述のアジアカップがW杯に次いで大事な大会というのもここに関わってくる。具体的には大会や親善試合の種類ごとに一定の係数が決められており、それが高ければ高い程重要な試合という事になる。

例えば今回の計算で用いる各大陸選手権のGL及びベスト16は係数が35であり、ベスト8以降になると係数が40となる。これ以上の数字はW杯本大会以外に無い。

②試合の結果係数

これは簡単で、試合の結果に応じて獲得できる係数が決まる。それぞれの結果毎の係数は下記の通り。

勝ち:1  PK戦による勝ち:0.75  引き分け・PK戦による負け:0.5  負け:0

③試合の期待結果係数

3つの係数の中で一番ややこしいのがこの試合の期待結果係数だ。計算式としたは下記のように表される。

1 ÷ (10^(D÷600) + 1)  ※ D=(対象国の対戦相手の試合前のポイント) - (対象国の試合前のポイント)

これを見ると何のことやら訳が分からないという人もいると思うが、ざっくりいうと試合前の自国と相手のポイントに基づき、0(負け)から1(勝利)の間で対戦相手に対しどれだけ勝利が見込めそうかを表す数字だ。そして弱い相手だと1に近付き、強い相手だと0に近付いていく

これによって例えば弱い相手だと(C)の値が大きくなり(=勝つ可能性が高い)上記計算式の(B)-(C)の値が小さくなる為、勝ってもそこまでのポイントが得られないという仕組みとなっている。

レギュレーション

計算式が分かったところで次はシミュレーションを行う為のルール設定を行っていきたい。具体的にはアジアカップでどのチームがどのように勝ち抜けるのかについて、計算簡略化の為に2つのルールを設ける。

①ルール1:FIFAランキング(ポイント)上位国が勝ち抜ける

グループリーグ、決勝トーナメントともにFIFAランキング(ポイント)上位の国が勝ち抜けるものとする。つまり下克上は無いということだ。

②ルール2:引き分けは考慮しない

上記のルールと若干被る話ではあるが、引き分けを考慮するとシミュレーションが膨大な作業になり現実的に不可能な為、必ずランキング上位国が勝つものとする。

この2つのルールに基づき、具体的な計算を行っていく。

アジアカップ出場国のFIFAランキング(12/21発表時点)を元にしたグループリーグ結果

ここからはアジアカップに出場する24カ国の最新のFIFAランキングとグループリーグ後のポイントについて、グループ毎に見ていくことにする。レギュレーションで書いた通り、それぞれのグループの中での星取表は上位から順に3勝、2勝、1勝、0勝となる

グループA

()内は現在の順位。左は現在のレート、右はGL後のレートを表す。

カタール(58):1407.3→1442.64
中国(79):1299.49→1313.56
タジキスタン(106):1195.07→1187.71
レバノン(107):1192.58→1150.53

このグループAでは最上位のカタールが3試合全てに勝利した結果、ポイントが1407.3から1442.64に増加するという計算になる。同様に中国は2勝1敗、タジキスタンは1勝2敗、レバノンは全敗で上記のポイントになるという具合だ。以下同様にグループB以降についても見ていく。

グループB

オーストラリア(25):1539.22→1566.55
ウズベキスタン(68):1345.26→1360.94
シリア(91):1245.27→1238.54
インド(102):1200.8→1164.52

グループC

イラン(21):1565.08→1587.62
UAE(64):1364.46→1373.97
パレスチナ(99):1217.6→1209.44
香港(150):1042.93→1019.04

グループD

日本(17):1620.19→1639.98
イラク(63):1365.98→1377.97
ベトナム(94):1235.58→1227.8
インドネシア(146):1064.01→1040.01

グループE

韓国(23):1550.65→1574.37
バーレーン(86):1277.29→1298.01
ヨルダン(87):1272.63→1258.94
マレーシア(130):1122.87→1092.12

グループF

サウジアラビア(56):1421.06→1456.41
オマーン(74):1324.89→1337.4
キルギス(98):1224.14→1214.7
タイ(113):1176.75→1138.33

なお、決勝トーナメントには各グループ上位2カ国と3位のうち上位4カ国が進出する。3位に関してはレギュレーション通りグループリーグ後のポイント上位4カ国であるヨルダン、シリア、ベトナム、キルギスが勝ち抜けることとする。

決勝トーナメント

ここからは決勝トーナメントについて見ていく。上記のグループリーグの結果を基にしたベスト16組合せは下記の通りとなる。また、あわせて優勝までの道のりについても一気に見ていこう。

決勝トーナメント組合せ

結論から言うと、決勝戦で日本がイランを破り優勝した場合試合前の1674.05ポイントに18.28ポイントを加え1692.33ポイントとなる。現在のポイントが1620.19なので約70ポイントを加え、これによりランキングはウルグアイを抜いて11位となる(他の国に変動がないとした場合)。

決勝トーナメント以降は敗戦によるポイント減が無いため、勝てば勝つほどポイントが加算されていく。これは非常に大きい。上の画像にもある通り準決勝に進出した時点で1656.59ポイントとなるがこの辺りは10位代前半の国がひしめいているためもう少し上積みが欲しい。

優勝すれば1692.33ポイント、準優勝なら1674.05ポイント、仮に準決勝で敗れた場合でも3位決定戦でカタールに勝てば13.17ポイントを加算し1669.76ポイントでのフィニッシュとなる。この結果であっても現在の11位であるウルグアイの1665.99ポイントをギリギリ上回る数字となる。よってアジアカップでは3位以上をノルマとしたい。

おわりに

いかがだっただろうか。現在の日本代表のランキング上、目標は当然優勝ではあるがアジアカップが一筋縄ではいかないのは過去の大会からも周知のとおりだろう。特に上の画像を見ても分かるとおりベスト8、或いはベスト4以降は順位ほどの実力差が無い国ばかりだ。目標はあくまで目標でありノルマではない。

とはいえ今後のランキングのことを鑑みれば最低でも3位以上には入っておきたい。上にも書いたが3位決定戦を含めた全7試合中6試合以上を勝つことによって、ポイントは1660~70程度まで積み上げることができる。ここまでポイントを稼ぐことが出来れば次のW杯でのポット2入りが現実味を帯びてくるだろう。

怪我人の報道も多く耳に入ってくる現状ではあるがやはり一ファンとしては最高戦力による最高の戦いが見たいものである。次回W杯から出場国の増加に伴いグループリーグのグループ数も12となるので、アジアカップ優勝によって1700ポイント近くまでレートが上がればまさかのW杯シード国入りも見えてくるかもしれない。そのことを踏まえつつ、彼らがアジアカップで圧倒的な優勝を成し遂げることを期待して本稿の締めとさせていただく。

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