Pota Qofei

読書感想文を綴っています。書評ではありません。自分の感じたことを言葉にしていきます。 …

Pota Qofei

読書感想文を綴っています。書評ではありません。自分の感じたことを言葉にしていきます。 そのほか、音楽を聴いたり作ったり演奏したり。 絵を描いたり。 http://soundcloud.com/qofei-pota

最近の記事

つまらなくない未来

■書籍名 つまらなくない未来 ■著者  小島健志  本書は、エストニアにおける電子政府樹立の国家的・社会的背景を捉え、テクノロジー活用の最先端をいく状況を把握し、日本の未来に役立てていくことを図ることを記述したものである。  エストニアにおけるテクノロジーの活用が最先端を行っていることは、これまで見聞することが多かったが、その詳細についての情報があまりなく状況を把握することができなかったが、本書によってその背景を概括することができた。  まず、なぜエストニアが他国と比較して、

    • パステル画による風景〜古民家

      • 単純な脳、複雑な「私」

        ■書籍名 単純な脳、複雑な「私」 ■著者  池谷裕二  脳科学というと、ニューロンやシナプス等の神経系による科学的な論述に終始するイメージが強いが、本書においては、聞き手が高校生ということもあり、大変丁寧な説明がなされており、脳の不思議の本質に迫る良著である。哲学的に難解な論理的な意味を付与することで得心のいく事象についてさえ、脳科学にかかると、単なる現象として処理されるということで、これまであまり考えたことのなかった側面からの思索であり有意義であった。  基本的には、脳が脳

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          パステル画による風景〜色彩を変化させたもの 5作品

        つまらなくない未来

          街場の親子論

          ■書籍名 街場の親子論 ■著者  内田樹・内田るん  親子論。親子間の愛憎はどの親子にもあるものである。二人の往復書簡のやり取りを読み進めていると、書簡を通した「和解」がなされ、親子の距離が縮まっていく様子を感じられ、心温まるものがあった。  親子には「和解」が必要なのかもしれない。そしてその和解は子どもが独り立ちしたのちでないと訪れないのかもしれない。親子は、屋根一つ下で暮らしている時は、距離が近すぎることで衝突が生じる。衝突は子どもの独り立ちを促すための必然的な儀式なのか

          街場の親子論

          13歳からのアート思考

          ■書籍名 13歳からのアート思考 ■著者  末永幸歩 ■所感  アートとはいったい何かという問い自体は、僕が10代からずっと抱いてきた問いである。岡本太郎の「芸術と青春」を読んで芸術に触発されたところから始まり、20代の頃は芸術とは何かということをずっと考えてきた。当然にして、突き詰めるほど謎の深まる「ゲイジツ」である。掘れば掘るほど、自分の表現したいという理想的なイメージとの乖離を感じ、いつの間にか表現すること自体に疲弊し、トラウマ的な恐怖を感じてしまうノイローゼ状態に陥っ

          13歳からのアート思考

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          パステル画による風景〜十字路風景 5作品

          パステル画による風景〜十字路風景 5作品

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          生活の発見

          ■書籍名 生活の発見 ■著者  ローマン・クルツナリック  本書では、現代の資本主義社会が形成される以前の人間の生活の方が、人類史は長いため、近代までの人間の生活の知恵を取り入れていくことが、本来の人間の生活様式であり幸福であるということを述べている。 「138億年の音楽史」の著者浦久氏がおすすめしていた本書。とにかくスパンを長くして現代を見つめ直そうというスタンスからすると、二つの著書に共通点が生まれてくる。時間を軸とした帰納法で物事を考えることを、一般的には「歴史に学ぶ」

          生活の発見

          一人称単数

          ■書籍名 一人称単数 ■著者  村上春樹  村上春樹作品と聞くと、ついついカリスマ的なイメージから圧倒的な読み応えを期待してしまうが、これまではその期待感は裏切られることがほとんどであった。そして、本作においても同様の感覚を抱かざるを得ないところはある。先に言っておくと、決してつまらないと言っているわけではない。いや、むしろ読み応えはあるし、心に響く言葉も多い。ただ、読む前に僕が勝手に膨らませる圧倒的な読み応えの期待感を満たしてくれることはない、というだけである。  村上春樹

          一人称単数

          乳と卵

          ■書籍名 乳と卵 ■著者  川上未映子  本書で描かれている母子家庭のような親子は現代社会において割とどこにでもいる親子だ。離婚が原因で生活水準が下がり、当座の生活費を稼ぐために母親が水商売に行き着く。生活していくお金は手っ取り早く確保できるが、夕方から夜にかけて母親がいない自宅で子どもが毎日一人で過ごすとは、子どもにとってはどのような心境なのであろう。本書の母子家庭では、母親(巻子)が豊胸手術に夢中で子どもを顧みない状況下、子ども(緑子)は母が自分のことを疎ましく思っている

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          パステル画による風景〜多摩川の風景 5作品

          パステル画による風景〜多摩川の風景 5作品

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          猫を捨てる 父親について語るとき

          ■書籍名 猫を捨てる 父親について語るとき ■著者  村上春樹  自分の父親がどのように生きてきて自分と関わり、そしてどんな気持ちを持って死んでいったのか。人間だったら、自分のルーツを探りたくなる欲求に駆られることは自然である。特に、戦時中を生きてきた世代が戦前、戦中、そして戦後と、時代に振り回される中で何を感じて生きてきたか。著者の父は、全くもって僕の祖父母世代にあたるが、僕自身も戦中世代の行動履歴はとても関心が高く、自分でもいずれは祖父母の歩みについて調べていきたいと思っ

          猫を捨てる 父親について語るとき

          発想法

          ■書籍名 発想法   ■著者 川喜田二郎  本書は、よく社会人の研修などで登場するKJ法という問題整理法を編み出した著書による、まさにそのKJ法を活用した創造的開発のための指南書である。本書を読む以前は、KJ法についての知識は全くなかった僕であるが、その方法論が誕生するに至った著者の背景を理解することができ、かつ、著者の研究の志に触れることができたことは、僕自身のデータに関する向き合い方の甘さに気付くきっかけにもなり有意義であった。  著者の言葉を借りれば、「データそれ自体

          一億三千万人のための「論語」教室

          ■書籍名 一億三千万人のための「論語」教室 ■著者  高橋源一郎  読後感としては、論語という一般的にはなかなか理解することが難しい書物を、楽しく愉快に読むことができたという満足感があるとともに、そのような愉快な内容に20年間かけて仕立て上げた著者の所業と心意気に敬服するところである。  本書は、論語の現代語訳、いや現代版「超訳」と言ってもいいかもしれないが、いずれにしても現代社会に生きている僕たちが、孔子の存在を身近に感じることができる、源さん(僕は勝手に著者のことをこう読

          一億三千万人のための「論語」教室