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パーソナルカラー診断の結果は気にしないことにした

この記事は、パーソナルカラー診断や骨格診断等を一切否定するものではありません。診断を受ける前の私自身の心構えがなっていなかったことを振り返り、今の心境を書いたものです。

学生の頃から、服を買うのが好きだった。でもファッションやコーディネートが好きだったわけではない。

雑誌のスクラップなんてしたこともなかったし(紙文化の時代ね)、おしゃれなクラスメートや同僚には勝手に引け目を感じて自分から距離を取っていた(拗らせてたのよ)。

私が好きだったのは、洋服を「買う」こと。今になってようやくその理由に思い当たった。

新しい服を見ている間は、今の私じゃない他の誰かになれる気がしたから。

いつだって私は、今・ここにいる私「以外」になりたかった。でもメイクはよくわからないし、髪は伸びるのに時間がかかる。だから暇さえあれば、私は服を探しに行った。

けれど、一体誰になりたいのかはよくわからなかった。おまけに、お金を使うことも怖かった。だから買うのは、なんとなくいいなと思ったお買い得な服ばかり。そんな服を何枚買っても心が満たされることはなく、また新しい服を探しに行く。その繰り返しだった。

30代も後半になっていい加減嫌気が差した私は、プロのアドバイスをもらうことを思いつく。パーソナルカラーと骨格診断をセットで行う人気サロンで、客観的に何が似合うのか教えてもらおうと考えたのだ。ものの1分で埋まる予約枠が運よく取れた時は、これで迷路から脱却できると小躍りした。

結論から言うと、私は診断結果を全く生かすことができなかった。

イエローベースで明るくきれいな色が似合い、赤を着ると透明感が上がる。骨格ウエーブで、女性らしいファッションが似合う。曲線と艶感が大切で、コットンシャツよりポリエステルブラウスの方が素敵に見える、等々。

とても詳しく説明してもらったにも関わらず、実のところよくわからなかった。丁寧に作り込まれた資料や、散々撮らせてもらったコーディネート例を後日見返すこともなかった。診断結果を自分の中に落とし込めず、頭に残ったのは「暖色系がいい」「青や黒は似合わない」「化繊ウェルカム」というしごく薄っぺらい思い込みだけだった。

それ以降の服選びでは、「ネイビーは私には似合わない」「赤と茶にしておけば間違いない」などと偏った概念に振り回され続けた。とあるECブランドにハマっていたこともあり、買い物はもっぱらウェブ。試着もせずに思い込みで選んだ服が似合っているか、立ち止まって考えることすらしなかった。

そうして出来上がったクローゼットに軸がないと気づいて愕然としたのが、つい先日の話。

診断してくださったカラーコーディネーターさんの名誉にかけて補足すると、彼女の理念はむしろ真逆だ。彼女が言いたかったのは多分、「似合わない色だって理論を知っていれば素敵に着こなせる」ということ。私のように極端に診断結果に縛られるなんて、最も彼女が望まないことだろう。

さらに言えば、彼女自身は本当に魅力的だった。ファッションも立ち居振る舞いも人柄も仕事ぶりも、すべて本当に素晴らしかった。

圧倒的に足りなかったのは、私が自分自身について知ることだ。

私は、何が似合うかプロに教えてもらえばファッション迷子から抜け出せると思っていた。でもそうじゃなかった。私はあの時、「似合う」と言われた色や形にピンと来ていなかった。いや、多分何と言われてもピンと来なかっただろう。だって、似合う服を知った自分が何者になりたいのか、私がわかっていなかったから。


***

コンサルから5年経って、私が心から好きだと感じて選んだエルメスのカレは、鮮やかなスカイブルーで縁取られている。

それまでの私なら、「青は似合わない」と遠ざけていたかもしれない。でもこの時は、どうしてもこの眩い青空のようなブルーが良かった。不思議なことに同じデザインのオレンジは、驚くくらい似合わなかった。

結局のところ、似合うかどうかは実際身につけてみないとわからない。そんな単純なことに、ようやく気がついた。

一口に青と言ったって、バリエーションは無限だ。素材や体の凹凸によっても色の見え方は変化する。肌のコンディションや髪色にメイク、組み合わせるアイテムにだって大いに影響を受ける。そんな一切合切を無視して「似合わない色だから着ない」だなんて、私の視野はどれだけ狭かったんだろう。

それともう一つ、驚いたことがある。

ふと思いついて、先日別記事を書くために撮影したお気に入りアイテムを、5年前に「似合う」と診断された色見本と比べてみた。

色見本その1
色見本その2
3年経って飴色に変化した財布
7年着ているグレーのカシミヤ
5年着たベージュのウールコート
(劣化が目立ち手放しを決意)

え…色見本みて選んだわけじゃなのに、ちゃんと同じ系統の色じゃない…?

正直、買うときはそこまで深く考えていなかったのだが、使い込むうちにお気入りになったアイテムは見事に「似合う」色だった。つまり、私は自分を綺麗に見せてくれるものを好きだと思っている、ということ。

だったら、もう迷うことはない。私は、自分の「好き」を信じよう。

次に服を選びに行くときは、自分の目で見て、心惹かれたものを手に取ろう。そうしていくつも身につけて、自分が心から好きだと思えるものを探してみよう。

「好き」を無視して「似合う」にたどり着くことは、私にはできなかった。でも今なら、たどり着けるような気がする。

もっと「好き」を深めてみたら今度こそパーソナルカラーを使いこなせるような気もするが、一旦考えなくてもいいのかな。今は、そんな気分だ。


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