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雑文格納庫

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自分で書き散らしたあれやこれやのまとめです。ごった煮です。
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#エッセイ

昭和たぬき合戦どいなか

 以前、私の曾祖母が化物を「もんもん」と呼ぶことについて覚書を書いた(詳細はリンク参照)…

港屋 港
11日前
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宙ぶらりんの含羞――或いは自己診断という羞恥心との戦いについて

 自動車免許をお持ちの方ならば、運転適性検査を受けたことがおありだろう。免許がなくても、…

港屋 港
8か月前

不信心者と戒名

 昨年、母方の大叔父が亡くなった。  私から見るとだいぶ遠縁になる方なので、ご時世もあっ…

港屋 港
8か月前

しるこサンドともう会えないひと

 ある日のお茶の時間のことである。私は時折、お師匠様(仮称。私の専門分野の先達)の勤める…

港屋 港
1年前
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お師匠様と俺

 私にはお師匠様がいる。  面と向かって「お師匠様」と呼んだら、「弟子をとった覚えはない…

港屋 港
1年前
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落語とメタ的表現に関する覚書

 今日、落語を見てきた。東京は半蔵門、国立劇場にて開催された、桂文珍師匠の独演会である。…

港屋 港
1年前
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大寒波襲来のおりに壊れし拙宅のエアーコンディショナー

 この冬一番の寒波が来るとの予報に、列島全体が急ぎ装備を整えた夜、私はひとり安借間の寝床の上で震えていた。  前日の朝から、備え付けのエアコンがストライキを起こしていたのである。  最悪のタイミングで不調を起こしたエアコンは、修理を要求するように、電源ランプを点滅させていた。窓の外には細雪がちらついている。  積もるだろうか。雪の朝の冷え方は尋常ではない。豪雪地帯にお住まいの方からすればままごとのような量だろうが、関東平野の辺縁部に巣食う私にとっては、数センチの積雪でも命と

鶏むね出汁茶漬けの作り方

 模範的貧乏人である私は、少しでも食費を押さえるべく、日々自炊に精を出している。我ながら…

港屋 港
1年前
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持病の肋間神経痛

 幸運なことに私は、類まれなる頑健な肉体を持ってこの世に生を受けた。持久力と馬力に優れ、…

港屋 港
1年前
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週一投稿だって頑張ってるんだよ!!!――副題:とある遅筆な物書きの嘆き

 自分で言うのも何だが、私は多忙な人間である。  やることが多すぎて時間が足りないので、…

港屋 港
1年前
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高架下で拾われた

「赤ちゃんはどこから来るの」 「お前の場合は、隣町の高架下で拾った」  これは、我が父に…

港屋 港
1年前
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伊豆旅行記その2 細切れ観光編

 この記事を書いている時点では、筆者は塒のおんぼろ借間に帰ってきている。その1でも書いた…

港屋 港
1年前
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自己紹介・改

 以前自己紹介の記事を書いたのだが、何から何まで中途半端だったので、取り下げてしまった。…

港屋 港
1年前
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大々叔父の話

 大々叔父が亡くなったのは、昨年の初めのことだ。百歳近い大往生であった。身寄りがない大々叔父は、最期の一年ほどを私の実家で過ごした。  その頃には、私は既に家を出ていたので、大々叔父の死に目に会うことはできなかった。だから、これから書くことは、すべて伝聞である。  晩年、大々叔父は体が弱り、入退院を繰り返していた。認知症も進み、数日前のことを覚えていられなくなった。  幸いだったのは、暴力や徘徊がなかったことと、世話をしていた親族――私の実家の家族だ――のことを、最期まで概