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初のサッカー日本代表戦で、前半で帰ってしまった理由を考える。

2024年3月21日の北朝鮮戦で、初めてサッカー日本代表戦を観戦した。

そして、前半で帰ってしまった。
この記事は、当日感じた、個人的な想いを綴りたい。

チケットを取るまでの経緯

僕は、Jリーグの観戦経験が何度かある程度のライトファンだ。
直近は2023年のJ1昇格プレーオフ、東京ヴェルディvsジェフユナイテッド千葉を観にいった。
特にどこのファンでもない。10年ぐらい、ただフットボールが好きで観ている、いちファンに過ぎない。

そして年末から年明けにかけ、イングランドで3回ほどスタジアム観戦してきた。

帰国した後、年度内にどこか観に行きたいと思っていた自分は、日本代表戦に目をつけた。
幸いまだチケットは残っている。

リヴァプールで遠藤を見れなかった自分としては、リベンジのつもりで代表戦のチケットを購入した。

チケット代、23,900円也。

チケットは1層メインスタンド。
ちょっと後ろではあっても、1階で選手の迫力を感じたかった。

そして、季節外れの寒さと強風が吹く、試合当日を迎える。

さすが代表戦。子供の姿が目立つ。

試合開始のおよそ1時間前に、国立競技場に到着。
特に子供連れの姿が目立つ。テンション上がっていて微笑ましい。
日本代表は、みんなテンションあがるのだ。
ピースフルな空気と、ワクワクの期待感が国立には充満していた。

宵闇の国立競技場。夜は映える。
入場後のコンコース。
ナショナルスタジアムならではのスケールだ。

ビール買って席に着いたら、まもなく選手入場となった。

北朝鮮のサッカー協会ロゴ、初めて見た。シンプル。

聞き慣れた国際試合のアンセムが、意外とテンションを上げた。
そして、初の国歌斉唱。
人生で一番、声を出して君が代を歌った気がする。

この時点で、楽しくて仕方なかった。

試合開始。そして早々の得点。

北朝鮮のキックオフで試合開始。
ボール奪取し、後ろで回す日本。北朝鮮のプレスはCBには来ない。SBに入った時に少し出てくる程度。

裏抜けをトライした前田の粘りから上田、そして逆サイドの堂安へとつなぎ、最後はマイナスの折り返しから田中碧!

前半1分半で日本先制!観客も総立ちで拍手を送る。
最高の立ち上がりだ。

ゴール裏から、一斉に大旗が立ち上がる。

試合は進む。そして…

その後も、日本が主導権を握る。
僕が見る限り、前半の北朝鮮に怖さはあまりなかった。守田、田中のポジショニングが上手く、北朝鮮はCBへのプレスに行けない。
日本は後ろから板倉が持ち上がるなど、余裕をもってビルドアップできていた。

北朝鮮ボールも、早いトランジションと良い距離感をもって中盤で回収できている。
時折放り込まれるロングボールも、CBとの連携でSBが上手く対応しているように見えた。怖いのはカウンターぐらいだ。

北朝鮮のサポーター。
アウェイの中、声を出し続けていた。

正直、前半の日本は良いプレーをしていたと思う。
少なくとも、プレーがつまらなくて前半で帰った訳ではない。

熱気が足りないメインスタンド。

観戦しているうちに、違和感を覚えてきた。
例えば前半8分。北朝鮮の右サイドからの押し込みを、町田が身体を張ってゴールキックにしたプレー。
前半17分。数的不利だった上田絢世が粘り、相手に当てコーナーキックを獲得したクレバーなプレー。

良いプレーに拍手が湧かないのだ。

良いプレーだけじゃない。
良いチャレンジにも、拍手がない。

上述で獲得したコーナーキックに、町田が合わせたヘディングシュート。
前半42分、南野のボール奪取から前進し、最後堂安が打つもキーパーに弾かれた惜しいシュート。
こういった惜しいシーンに嘆息が漏れるが、その後、鼓舞する拍手はほぼないのだ。

僕が一人、拍手をしていると、つられて拍手する人もチラホラ見られる。が、総じてメインスタンドは大人しい。じっと見ている。
能動的に拍手し、声を出すことはない。メインスタンドの観客の多くは、受動的だ。

それに対しゴール裏は、ずっとチャントを歌い続けている。
そして、結果それは受動的な大半の観客を置いてけぼりにしている。
僕にはそう感じられた。

ホームアドバンテージが感じられない。

比較的、良いプレーを続けている前半の日本代表。
しかしそれを、ただじっと見つめるスタンド。チャントが響くゴール裏に呼応するでもない。

この雰囲気の中で観戦していたら、前半の45分が、プレミアリーグの90分よりも長く感じた。
そう感じた自身に驚いた。
退屈なのだ。
国立のスタンドに、ホームの熱気は感じられなかった。

これ、ホームアドバンテージ、作れていますかね?

よく言えば「固唾を呑んで見守る」なんだが…

スタジアムに集う目的は、応援?それとも観戦?

僕は、日本代表を『応援』したくて国立に来た。
選手をencourageしたくて、良いプレーや良いチャレンジに直接拍手を送りたくて、来場したのだ。
選手のすごいプレーをただ『観戦』にきたわけじゃない。観戦ならテレビでもいい。

でも今日の国立は、
選手のプレーを称えていない。チャレンジを賞賛していない。

そう感じた時、僕は前半で帰ることを決めた。
もったいないとは、全く思わなかった。
これなら、家でテレビ観戦しつつプレチャンのyoutube配信を聴いていたほうがマシだ。と本気で思った。

結局、また遠藤のプレーは見れなかった。
自業自得だが全く後悔はない。

帰りしな、外苑前のHUBで少しだけ後半を見た。
2万円強出してメインスタンドで観戦するよりも、こっちのほうが楽しかった。

HUBのほうが賑やかだった

変わらなきゃいけないのは、スタンドではないか。

サッカー日本代表は、この10年で大きく進化した。
欧州の舞台で活躍する選手が増え続け、トップトップでプレーしている選手も出てきている。

さて、日本の観客は、進化したのか。
おぼろげな記憶を辿ると、10年前とあまり変わっていないと僕は感じる。
欧州の真似をしろということではない。ただ、進化していないのではないか。と思う。

サッカー以外にもコンテンツが溢れている今、
どうしたら、この受動的な観客からアクションを引き出せるか?観戦体験をリッチにできるか?
もう一度行きたい!と思わせることができるか?

スタンドの熱を上げる。
それを、真剣に考えるべき時に来ていると思う。

拍手から、はじめませんか。

良いプレーには、拍手しませんか。
良いチャレンジにも、拍手しませんか。
惜しいシーンにため息をついた後、拍手で鼓舞しませんか。

拍手は、一番簡単にできる応援方法だ。
誰だって、テレビの前で自然と拍手したことがあるだろう。
皆が拍手すれば、絶対に選手に届く。その回数が圧倒的に足りない。
そして拍手を繰り返すことで、応援は前のめりになっていく。楽しくなる。
応援は、本来もっと楽しいはずだ。

周りがプレーに拍手することで、
サッカーを知らない観客、そして観戦しているサッカーキッズたちは
「あ、これが賞賛されるプレーなんだな」
「こういうプレーで拍手を送られたら気持ちいいだろうな」
と感じる。
その積み重ねは、きっと日本のフットボール文化の向上にも繋がる。

最近Jリーグ界隈ではブーイングの是非が話題だが、
ブーイングよりも、拍手のほうが大切だ。
プレーが拍手でしっかり称えられるからこそ、時にはブーイングで貶されることが許されると、僕は思う。

日本のサッカーには、拍手が足りない。
プレーに対する称賛を示すことが、圧倒的に足りない。

ゴール裏、ホームとアウェイで応援の仕方を変えませんか。

ゴール裏の方々を、基本、尊敬している。
人生のかなりのエネルギーを、フットボールに注ぎ込んでいる。僕にはできないからだ。

90分、フルで声を送り続けている。すごい。

圧倒的に不利なアウェイでは、歌い続ける今日のような応援が必要だ。
敵だらけの中で、選手を勇気づけると思う。

ただしホームでは、もう少し会場全体を巻き込む応援の方が、ホームアドバンテージを作り、選手のチカラになるのではないだろうか。

ゴール裏が率先して、良いプレーに積極的に拍手してくれると、
僕らは学び、共に拍手を送ることができる。

誰しも、つられて拍手したことがあるだろう。拍手は伝播する。
僕らのようなライトなファンには、拍手が、最も簡単で広がりやすい応援なのだ。

ゴール裏の皆さん、今日、ゴールシーン以外で何回拍手しましたか?
歌い続けることって、ホームでも最優先ですか?

選手のプレーひとつひとつに、もっと能動的に拍手を送る。
それを会場全体に広げていく。
それは、選手とスタンドの観客に力を与える応援になりませんか?

まずは、日本代表戦から。

話は変わるが、Jリーグで初めて浦和の応援を観た時、僕は圧倒された。
と同時に、「あり」だと思った。
初心者には入りにくくても、圧倒的な熱量で巻き込んでいく応援スタイルは、クラブの特色にもなっている。

クラブチームには、それぞれ応援スタイルがあり、今はそれで良いと思う。
ただ日本代表は、リーグよりも更に初心者の多いカテゴリーだ。
そして、影響力も大きい。

みんなでスマホのライトを点灯。
子供が喜んでブンブン振っていたのが印象的だ。

今のままでは、
テレビ観戦では、自然と拍手しているのに、スタジアムに来ると静かになってしまう。
皆が憧れている日本代表選手に、拍手を直接送れるチャンスなのに。

テレビの前で出る自然な拍手は、スタジアムで何倍にも、何十倍にも増幅できる。
そして、選手に届く。
そのうち、きっと声も自然と出てくる。
そんな応援の方が、きっと楽しい、前のめりな応援だ。

僕が感銘をうけた、リヴァプールの本拠地アンフィールドは、まさにそんなスタジアムだった。

欧州を真似しろと言っている訳じゃない。文化が違う。
ただ、変化が必要な時には、良いところを取り入れるトライが必要だ。
誰もが自然と拍手してしまうホームスタジアムの雰囲気は、日本代表だったら日本らしく作れる。と、僕は思っている。

協会のみなさん、代表ゴール裏のみなさん、どうでしょう。
みんなで、まずはプレーに対する拍手から始めませんか。

長々と勢いで書いてしまったが、いちライトファンの偽らざる思いだ。
誰かを貶す意図はなく、一個人の理想を書いたまでだ。
ただ正直、今日のスタジアムに2万円払うなら、次は別のコンテンツに払った方がいいと思っている。今の僕には、劇団四季の最前列のほうが楽しいと思う。

日本で一番レベルの高いプレーが見られる代表戦は、
日本で一番応援が楽しいスタジアムであってほしい。

次に観戦する代表戦が、今日よりもっと魅力的になっていることを、心から願っている。


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