ストーリー・オブ・ユアライフ
30歳の誕生日は即ち、30代のスタートである。おめでとう、君はまた新しい君を生きる。
この夏、2人の大切な友人が30歳を迎えました。こんな時代でも、私は友人に口紅を贈りました。花言葉のようにメイク言葉があるのならと考えた時に、私は口紅というアイテムのメイク言葉を「自信」だと思っています。自信=自分を信じること。
自信は、見せびらかすものでも、隠し通すものでもない。だから、マスクの時代だって関係ない。「自分を信じてたくましく生きようね」との思いを込めました。
私も半年後には友人たちに追いついて、30歳になります。30歳を迎えることへのプレッシャーを感じる人が、私の周りには多くいます。もれなく私もそのひとり。
年齢が全てではないと言えども、Age is just a number.という言葉は全てにおいて言えることではなくて、年齢は年齢だと思うことはよくあります。
現実問題、30歳という区切りを境に、年齢制限というものにぶちあたることが増えます。「29歳以下」というボーダーラインを目にする度、30歳はデッドラインかのように感じてしまいます。そしてそれは、29歳の私たちを焦らせます。
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ストーリー・オブ・マイライフ(原作:LITTLE WOMEN)という映画を見ました。昨年からずっと見たかった映画で、映画館に行く機会を逃してしまっていましたが、Amazon Primeにあがっていたのでようやく。
家族の愛と、四姉妹それぞれの生き方が描かれています。
あらすじ(公式サイトより)
ジョーはマーチ家の個性豊かな四姉妹の次女。情熱家で、自分を曲げられないため周りとぶつかりながら、小説家を目指して執筆に励む日々。控えめで美しい姉メグを慕い、姉には女優の才能があると信じるが、メグが望むのは幸せな結婚だ。また心優しい妹ベスを我が子のように溺愛するも、彼女が立ち向かうのは、病という大きな壁。そしてジョーとケンカの絶えない妹エイミーは、彼女の信じる形で、家族の幸せを追い求めていた。共に夢を追い、輝かしい少女時代を過ごした4人。そして大人になるにつれ向き合う現実は、時に厳しく、それぞれの物語を生み出していく。小説家になることが全てだったジョーが、幼馴染のローリーのプロポーズを断ることで、孤独の意味を知ったように─。自分らしく生きることを願う4人の選択と決意が描く、4つの物語。
ちょうどこの映画を見る前日、誕生日を迎えた友人を含めた3人で、数時間に渡ってビデオ通話をしていました。今でも、子どもの頃の思い出を掘り返せば大笑いできてしまう私たち。
毎日何か新しい発見に心をときめかせて、毎日同じようなことで笑えていた日々は、確かに過ぎていきました。きっとあの頃の私たちは、未来への不安なんてなかったと思います。
そんな日々も遥か昔の思い出となった今の私たちは、あの頃に戻りたいとか、あの頃のままが良かったと願うことはありません。ただ、あっという間に過ぎてしまう時の流れの中で、仕事のこと、生活のこと、お金のこと、結婚のことを、ふとした時に考えます。将来を思うと、このままでいいのか?と自問自答する日々。
いくつもの失敗と間違いを経験して、乗り越えたり助けられたりする度に、数え切れない程の「大丈夫」を手に入れているはず。その大丈夫の数だけを自信に変えて生きていけたら。そうは思っても、自分のことを自分だけで信じ続けてあげることは、時に難しいものです。
こんな日々に、終わりはくるのでしょうか?この漠然とした不安は、いつかなくなるのでしょうか?時々、そんなことを思ったりもします。
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劇中、ひどく胸に刺さった言葉があります。
女には、心の他に知性も魂もある。美しさだけじゃなく、野心も才能もある。愛だけが女性にふさわしいと人が言うのに我慢できないの。だけど、どうしようもなく孤独なの。
女性は結婚しなければ経済的に生きていけない、結婚したら家庭に入るとされていた時代に生涯結婚はしないと誓い小説家を目指している次女、ジョーの言葉。
自分の叶えたい夢を追いかけて、家族と笑い合って過ごせれば幸せだと思っていたジョーが、自分の夢にも自信をなくし、大切なひとりの妹を亡くした時、初めて自分の寂しさを言葉にして吐き出します。
自分の夢や裕福さよりも愛する人と共に過ごすことを選択した姉。若くして最後まで病と勇敢に戦いながらもその運命を受け入れてこの世を去った妹と、豊かに生きていくためには結婚するしかないと信じて生きるもうひとりの妹。
これまでずっと一緒に居た姉妹たちがそれぞれの道を生きる姿を改めて感じた時、ジョーは過去にプロポーズを断った自分のことを後悔するほどに寂しさを覚えます。
ジョーの寂しさが、私にも分かる気がしました。私が最も寂しいと感じてきたのは、仲の良かった人に恋人が出来た途端に、会う誘いや約束がなくなったり、連絡をとる頻度が明らかに少なくなったとき。
分かってはいるんです。昔、母親にも言われたことがあります。「最終的には家族を作ろうと思うから。その為にはみんな、友達より恋人優先になるよ。」
友達という存在や関係性に寂しさを覚えることはこれまでに何度もありました。私が友達という存在に依存していただけなのかもしれません。過去に占いに行った際、「君は友情が1番って思ってるだろうけど、周りの女の子はそうじゃないよ。」と言われたことが、歳を重ねるにつれて何となく分かっていきました。
みんな、それぞれに進んでいるだけです。そして、そこに恋愛や結婚がなくとも、友達とはくっついたり離れたりするものだから、そういうタイミングだっただけかもしれません。ただ、その離れるタイミングが重なった時、無性に寂しく、虚しくなってしまうことがありました。
私はマイノリティな恋愛・性的指向を持っているからなのか、なかなか恋愛が出来ません。たまらなくひとりだと感じる夜はありますが、その寂しささえも、結局はひとりで抱え込めてしまう。そうして今までやってきました。
私の母が言ったように、家族を作ることは大切で難しいことだから、最優先するべきことなのかもしれません。実際に私も、両親を含め家庭のある人を尊敬しています。それは私にとって最も難しいことだと感じているから。
この先も、きっと寂しさがつのる夜がやってくると思います。でも、ジョーみたいに言葉にして吐き出すことも出来ないかもしれません。寂しいからといって誰かに連絡をすることも、きっと出来ません。
だけど、このまま寂しさをずっと飲み込めてしまえると、そのうち寂しさの感覚さえも麻痺してしまいそうで。今はそれが1番怖いなと思っています。
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私の住んでいる地域が田舎だからなのか分かりませんが、30歳で結婚していない女性は、珍しがられると同時に、早くしなきゃと言われることが多いです。仕事なんてそれなりにお給料があれば何でもいいじゃない、女の子なんだから。と言われることが未だにあります。
例えばそれが最もこれまでの時代で前例が多くて幸福な生き方だったとして、その生き方が私に合うかどうかは分かりません。
今回見たこの映画の物語の作者はフェミニズムの先駆者と言われていますが、正直なところ私はフェミニズムについて詳しくないので、ただ思ったことをここに書きます。
女性である前に、男性である前に、性別があってもなくても、ひとりひとり違うということ。
タイミングは人それぞれ違うから、人生の中で起こる様々な出来ごとをすべて年齢で絞ることは出来ないということ。正解なんて、周りが決められるものではないということ。
ただ、自分が信じたいものを信じて生きる。
それが、ひとりひとりにとっての答えだと思います。人生における答えなんて、それだけだと思います。
私はまだ自分の仕事や収入に納得がいっていないので、まずは自分の人生を自分で満足できるようにしたいです。きっといつか家庭を持つことを強く望む日が来るのだろうなとも感じていますが、それはもう少し先な気がします。
来たる30歳の誕生日に、自分で自分に似合う口紅を贈れるように、まずはこの半年間、自分を信じて生きてみようと思います。
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