tenpura

下書き原稿たち。 https://poplar-law.jp

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マガジン

  • 労働法のこと

    労働法と労働法実務のことです。みんなのために書いていますが使用者寄りだと思います。

  • 不動産のこと

    不動産の法律実務に関することです。

  • 録音倉庫

    自分で吹いて録音したものです。きれいな音を出したいです。

  • 相続のこと

    相続の法律実務に関することです。

最近の記事

● ジョブ型雇用のこと

1 ジョブ型 メンバーシップ型とかジョブ型とか語られることがあって、よく分からないなと思いながらネットの情報を見たり本を読んだりしていましたが、いまのところ、要するに次のような感じに整理しています。 メンバーシップ型 長期雇用、年功賃金、企業別組合という特徴を捉え、実態としては雇用契約の締結だけでは具体的な職務が特定されない本質を備える雇用契約の態様(日本型雇用システム) ジョブ型 従事する職務が契約締結時に具体的に決まっている雇用契約の態様 教室事例的に、例えば、プラ

    • ● 契約不適合責任の適用関係大づかみ(宅建業法)

      1.契約不適合責任の適用関係 契約不適合責任(民法566条、宅建業法40条)については、その適用関係がケースによって異なります。ケースというのは、売主・買主が宅建業者(以下単に「宅建」と書きます。)かそうでないか、というところです。 契約前、契約後を問わず、どうなりますか、これでいいですかという質問も頂きます。私も、その都度、えーっと、と考えたりしますので、とりあえず結論だけざっとおさらいしておこうと思います。 登場するのは、次の4通りです。 ①個人(非宅建) ②個人

      • 「孤独なボウリング」備忘

        2006年に出版された「孤独なボウリング」(ロバート・D・パットナム。芝内康文訳)という本があります。これは社会関係資本に関する本なのですが、その中で職場に関するものとして次のような記述があります。 この本は、社会関係資本の本であって、労働社会学や産業社会学の本ではないのですが(ましてや労働法の本ではないのですが)、社会関係資本の文脈から職場の社会関係を一つのジャンルとして取り上げていて、そこに上記の記述があります。 日本的雇用というと終身雇用とか年功賃金、新卒一括採用な

        • 事実調査のための自宅待機 2/2

          (承前) 4.考え方 不祥事や事故があっても、懲戒の判断をするまでに時間をいくらか要するのは通常のことで、重大な不祥事であればあるほど時間を要するかもしれません。 このときに、賃金をどうするかという課題については、民法536条2項の適用を受けるかどうか、労務の受領拒絶が使用者の「責に帰すべき事由」に当たるかどうか、ということになっています。 そして、その判断には、懲戒事由に該当する事故や不祥事がどれぐらい具体的か、重要/重大か、という点が影響を与えます。ですが、その境界

        ● ジョブ型雇用のこと

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        • 労働法のこと
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          10本
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        記事

          事実調査のための自宅待機 1/2

          事故とか不祥事があって、懲戒処分や解雇があるだろう/あるかもしれない、という場合に、その懲戒処分について結論が出るまでの間、当該従業員の処遇(賃金の支払い)をどうするかというのは、まあまあ悩ましい問題である場合があります。社内では事故や不祥事の噂みたいなものは一瞬で広まりますし、多少のことであればともかく、重大なことであれば、もはや、あるいは、当面、出勤させられない局面も普通にあると思います。 ですが、そんなところまで就業規則に書いていないこともあると思います。ので、参考に

          事実調査のための自宅待機 1/2

          庭の千草です。tone development no.33

          庭の千草なんですけど、モイーズのtone deveropmentの33番です。the last rose of summer。D-durのアルペジオのスタディのような序奏がついています。音価緩めです。Fis2、D2とか、中音域の音程のコントロールが難しい。というか、音(息のコントロール)に対する集中を欠いている、ということです。

          庭の千草です。tone development no.33

          庭の千草です。tone development no.33

          第三者のためにする契約のこと(直接移転取引)1/n

          1.第三者のためにする契約 不動産売買の際に用いられる契約態様の一つに、第三者のためにする契約というものがあります。業界では「三為(さんため)」と通称されています。直接移転取引という言い方もあります。 三為契約は、初めから転売が想定されているときや、開発(地上げ)のときなどに、取引形態の一つとして利用されることがあります。うまく機能させれば有意義な取引態様のひとつであると思います。ですが、反面、問題点もあります。この記事は、三為契約の問題点について警鐘を鳴らすというか、注

          第三者のためにする契約のこと(直接移転取引)1/n

          降給のこと 4/4

          (承前) 13.裁判例をひとつ 就業規則(賃金規程)の変更によって基本給を減額した例で、合理性が認められた例がありますので、書きとどめておきます(東京高裁H26.2.26、原審横浜地裁H25.6.20)。これは就業規則の内容の一部である給与規定(と労使慣行)によって金額が決まっていた基本給などを減額変更したという例で、裁判所は、その就業規則の変更が労働契約法10条により有効であると判断しました。賃金の減額幅は、(複数名いらして)平均8.1%です(最小6.1%から最大10.

          降給のこと 4/4

          降給のこと 3/4

          (承前) 7.そうはいっても 降給について具体的に合意を得たり、降給を許す就業規則の変更を行うことは容易ではありませんが、そうはいっても、何も用意をしていなければどうしようもないので、とにかく何か用意をしておかなければなりません。 先に引用した最高裁判例(最判2小H9.2.28)ですと、「同種事項に関する我が国社会における一般的状況等」には配慮するとされていますから、世の中の雰囲気が変わってくれば、裁判所も考えを変えるかもしれません。(但し、裁判所の判断は、社会の変化を

          降給のこと 3/4

          降給のこと 2/4

          (承前) 5.モデル就業規則 厚生労働省はモデル就業規則というものを提供しています。モデル就業規則では、給料の決め方に関して、次のような条項が設けられています。 以上のように、モデル就業規則では、降給に関する規定はありません。これだと、降給はさせられるでしょうか。参考にできる裁判例があって(東京地判H12.1.31)、これによると、就業規則に降格可能性について言及がなかったという理由で、降給を無効にしています。 このため、上記のモデル就業規則のような決め方であれば、降

          降給のこと 2/4

          降給のこと 1/4

          1.従業員の給料を下げたい 従業員の賃金を下げたい、ということがあると思いますが、そういうときどうしたらいいんでしょうね。これは、懲戒処分としての減給のことではなくて、会社の業績が振るわないので、とか、従業員の能力不足による降給のことを想定しています。 2.法律 このことを考えるためにまず見ないといけない法律は、労働契約法8条です。 契約の内容は契約当事者の合意があるときは、変更できます。裏を返すと、契約当事者の合意がないときは、労働契約の内容を変更することはできませ

          降給のこと 1/4

          アンデルセンのエチュードop.41の3番です。

          アンデルセンのop.41のエチュードの3番です。G-dur。もうちょっとゆっくりやったらいいのかもしれませんが、ゆっくりやるとブレスの数が増えてダメな感じがするので、テンポはこれぐらいのほうが全体としておさまりがよいような気がします。出だし、G1→D2→H2と一気に持ち上げるところが一番緊張します私的には。もっというとこのうちH2の着地です。 世間ではいろんなことが起き過ぎていて、大谷翔平選手の活躍以外はテレビのニュースは見なくなりました。フルートを吹いているときは、他のことを想起しないのでよいです。さあ仕事しよう。

          アンデルセンのエチュードop.41の3番です。

          アンデルセンのエチュードop.41の3番です。

          従業員に対する損害賠償裁判例手控え

          1.最1小判S51.7.8 従業員が事故などで会社に損害を生じさせた場合、これを会社が従業員に賠償請求できるかという問題については、この最高裁判決がリーディングケースでしょうか。定着している用語かどうか分かりませんが責任軽減法理とか言われることがあって、いつでも全部従業員に賠償させられるとは限らないです。 最高裁は、総合判断で信義則上相当と認める範囲で請求できるという言い方をしていますから、事案の積み重ねとか類似事案を探すことで、どういう評価が相当かを考えるしかありません

          従業員に対する損害賠償裁判例手控え

          ガリボルディの20 ETUDES CHANTANTES OP.88 の6番です。

          ガリボルディの20 ETUDES CHANTANTES OP.88 の6番です。この曲はとても美しい旋律だと思います。吹いていて気分がいいです。フラット二つの短調ですからト短調で、一瞬ハ長調になったり変ロ長調になったりという理解でいいんでしょうか。生活音入ってます。

          ガリボルディの20 ETUDES CHANTANTES OP.88 の6番です。

          ガリボルディの20 ETUDES CHANTANTES OP.88 の6番です。

          定時株主総会の招集 公開会社でない会社

          会社法299条(招集通知)、会社法437条(提供計算書類)から見始める。 法299 法298 規則63 法437 計算規則133 法436 法435 計算規則59 規則118 事業報告についてこのほか、規則124条(社外役員)、125条(会計参与)、126条(会計監査人)。 利益処分案は不要。

          定時株主総会の招集 公開会社でない会社

          ● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと4/4

          (承前) 10.こうあって欲しいと望むこと 相続税でも固定資産税でも、「時価」が算定されなければなりませんが、現在、最高裁は、固定資産評価基準による評価額に強い時価推認を与えて、納税者の「時価」立証に重い負担を課しています(最2小判H15.7.18)。反面、課税庁が課税しようとするときは、不動産鑑定士による鑑定結果を特に批判することなく(納税者に対するものと同等の負担を課すことなく)受け入れることがあります。今回の最高裁判例(最3小判R4.4.19)がそうでした。 しか

          ● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと4/4