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記事一覧
● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと4/4
(承前)
10.こうあって欲しいと望むこと
相続税でも固定資産税でも、「時価」が算定されなければなりませんが、現在、最高裁は、固定資産評価基準による評価額に強い時価推認を与えて、納税者の「時価」立証に重い負担を課しています(最2小判H15.7.18)。反面、課税庁が課税しようとするときは、不動産鑑定士による鑑定結果を特に批判することなく(納税者に対するものと同等の負担を課すことなく)受け入れる
● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと3/4
(承前)
8.最2小判H15.7.18と最3小判R4.4.19
ところで、今回のタワマン節税に関する相続税判例(最3小判R4.4.19)では、評価通達=固定資産税評価額=固定資産評価基準による算定結果を採用せず、不動産鑑定士による鑑定結果を採用しました。これにより、最高裁は、納税者に対する高額の課税を是認しました。
これに対して、前記のとおり、固定資産税に関する最2小判H15.7.18では、
● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと2/4
(承前)
5.固定資産税評価額
前の投稿で書いたとおり、相続税の財産評価に関し、家屋については固定資産税評価額によることとされています(評価通達89)。固定資産税評価額というのは、地方税法381条に記載されている台帳登録価格のことです。いま話題にしているのは家屋で、家屋に関する条文は、地方税法381条3項です。
「基準年度」というのは、固定資産税税評価額は原則として3年ごとに評価替えを行うの
● 家屋の相続税・固定資産税の時価のこと1/4
1.最高裁判例が出ました
かねて話題になっていたタワマン節税について最高裁判決が出ました。最三小判R4.4.19です。納税者敗訴。その判断の当否にいくらか触れながら、裁判所が認定する「時価」のことについて書きます。この記事は、家屋の評価のことしか触れません(土地の評価のことには触れません。)。
2.相続税法22条からの基本通達
相続税法22条は次のとおりです。
相続財産の評価は「時価」によ
相続した不動産の家賃収入の帰属のこと2/2
(承前)
4.入居者・テナントの目線から
入居者・テナントの目線からは、家主の相続は結構面倒です。前の記事の2.遺言がない場合①相続開始後、遺産分割協議が整うまでの場合には、とりあえず、相続人代表者を決めてくれれば、(書類の整え方は別として)それで問題ありませんが、そうでない場合には、相続人【A】からも、相続人【B】からも、賃料の支払い請求を受けるということが起こり得ます。
この場合には、「
相続した不動産の家賃収入の帰属のこと1/2
遺産に不動産がある場合で、その不動産から賃料収入がある場合、1軒であろうが1棟であろうが、その賃料が誰に帰属するのか、誰がその賃料を取得できるか、という問題があります。
この問題は、遺言がある場合とない場合で局面が変わります。
1.遺言がある場合
遺言がある場合は、その遺言によって、不動産を取得することになった人が、相続開始以降の賃料を取得することができます。これは、遺言の効果としてそうなり
●相続のことを考えるとき(相続人/子の立場から)
1 相続を想起するきっかけ
相続のことを相続人の立場から考えるのは、端的には親が死にそうみたいな局面になるわけですが、もちろん一般には、そんな急な話ばかりではなくて、ただ単に親が年取ってきたなあと感じたり、兄弟姉妹の多くが結婚して独立して子供(親にとっては孫)ができて、正月ぐらいしか会うことがなくなってきたり、あるいは親が病気になったりという機会もあるかもしれません。
家などの不動産があるときは
●相続のことを考えるとき(被相続人/親の立場から)
1 相続を想起するきっかけ
人が自分が死んだ時や死んだ後のことを想起するのは、年齢を重ねて、体力や精神力の低下を感じたり、老眼が強くなったり、なんでもないところで躓いたり、長時間眠れなくなくなったりなどといった、些細なきっかけがあるときかもしれません。顕著なこととしては、病気になるような機会や配偶者を亡くす機会もこれに当たると思います。ハッピーなほうでは、孫が生まれたとか、孫が進学するというような