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地質学は人生の処方箋! 『 チバニアン 誕生 』から学ぶこと

チバニアンって聞いたことありますか? 2020年1月ごろに大きな話題になったので、記憶にある方もいらっしゃるかと思います。チバニアンとは、今から77万4000年前~12万9000年前の地球の時代(地質年代)を示す名称です。「千葉時代」を意味し、千葉県市原市の地層「千葉セクション」にちなんで命名されました。そんな新たな地質年代「チバニアン」が生まれるまでのノンフィクションについて、担当編集者が語ります。

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『チバニアン誕生 方位磁針のN極が南をさす時代へ』
地質年代「チバニアン」誕生に迫るノンフィクション。地層に刻まれた痕跡から太古の地球のすがたを考える地質学の魅力がわかる。
地層に刻まれた痕跡から太古の地球のすがたを考える地質学の魅力に迫るとともに、「千葉セクション」の日本初GSSP(国際境界模式地)決定に至るまでのドラマを紙上体験する一冊。著者は、千葉セクションGSSP提案チーム代表の岡田誠・茨城大教授。
ポプラ社 原田哲郎
81年生まれ。現在は主に学習系の書籍編集を担当。好きなものは将棋と落語とインド古典音楽。最近文鳥を飼い始め、好きなものに鳥が加わりつつある。2児の父。

とつぜんですが、僕はとてもスケールの小さな人間です。

ちょっといやなことがあると暗い顔になるし、お腹がすいただけでイライラするし、やや急ぎめの用件のメールが入るとソワソワしてほかのことが手につかなくなります。なんだか周りのちょっとしたことに自分がふりまわされてしまって、いつも心が落ち着きません。

スケールのでかい人間になりたい。
きっと、スケールのでかい人間は、白シャツにコーヒーをこぼしてもさわやかに笑っているんでしょうね。だれかに嫌味を言われても10秒後には忘れているでしょう。仕事でミスをしてもその日はよく眠って次の日にはそのミスを帳消しにする成果をあげるにちがいありません。

まったく、スケールのでかい人間にあこがれるぜ。
語尾に「ぜ」をつけてみました。スケールのでかい感じが出るかと思って。でも逆にスケールの小ささを露呈してしまっていることに気づきました。つくづく、自分を変えるというのは難しいものです。

でも、そんな僕でも、ちょっとだけ自分自身の気持ちを大きくする秘策をもっています。
秘策というほどのことでもないんですが。ちょっとしたコツですね。
それは、自分を地球さんの一部だと思うことです。
地球さんはものすごくスケールのでかいお方です。なにせ直径が1万2700km、年は46億歳ですから。誕生から現在にいたるまで、数えきれないほどたくさんの生命をはぐくんでこられました。そんな地球さんにとって、僕一人の小さな失敗なんて、無に等しいにちがいありません。地球さんの経てきた波乱万丈の人生を考えれば、僕が他人の行いに腹を立てることがいかにばからしいことかと思えてしまいます。

『チバニアン』の中に、こんな一節があります。人間の環境破壊について語られる文脈です。

(しかし、)地質学が僕に教えてくれたことがある。それは、人間が何をやっても地球はちっとも困らないということだ。地球上の氷が全部とけてしまうような超温暖化も、地球全体が凍ってしまうような超寒冷化も、地球上の生物のほとんどが死に絶えるような大量絶滅も、すべて地球は何度も経験ずみ。そんなことになって困るのは、地球ではなく僕ら人間自身なのだ。 (―本文p202より

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地球さんのスケールの大きさが実感できる内容ですね。これは、地球さんをいくら痛めつけてもいいという意味ではなく、地球さんにとってみれば人間の行いなど取るに足らないということです。だとすると、ちっぽけな自分の失敗や悩みなんかどうだっていい気がするのです。
地質学は、人生の処方箋でもあるんですね~。

どうですか? 『チバニアン誕生』の中身がちょっと気になってきましたか?
そんなあなたには、『チバニアン誕生』の著者・岡田誠先生による、とてもわかりやすいご紹介がコチラ↓で読めますので、ぜひご覧ください。
https://www.ibaraki.ac.jp/news/2021/06/09011256.html

(文・編集部 原田哲郎)