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【こどもの日特別企画】こどもの日は、こどもに戻ろう! 編集者おすすめの1冊

今日はこどもの日! 「こどもの本編集部」と名乗っている我々ですので、今回は特別企画をご用意してみました。

編集部のメンバーが、こどもの頃を思い出す懐かしの作品や、童心にもどれる作品、この時期にぴったりの作品などをご紹介! 泣いたり、わらったり、わくわくしたり……。本を開けば、感情が忙しく働いていたこどもの頃がよみがえること、間違いなしです。もちろんお子さんが読んでもたのしめるものばかりですので、ご家族でもお楽しみいただけますとうれしいです!




*****上野萌のオススメする1冊*****

50巻続くロングセラー!
「わたしのママは魔女」シリーズ
(藤真知子/作 ゆーちみえこ/絵)

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主人公のカオリは、パイロットのパパと魔女のママのひとりむすめ。(ここからすでに好き!)でもふたりの結婚のときの約束で、カオリが10歳になるまでママは魔法の国で、カオリとパパは人間の国で、別々にくらしていました。そして迎えた10歳の誕生日、きれいなママがカオリの家にやってきますが……。
と、はじまる物語。この作品は私の魔女・魔法・ファンタジー熱の出発点でした。とにかくまず、このシーンを見てください!

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シリーズ1巻目『まほうの国からママがきた!』より

夜空で出会ったパパとママの思い出のシーン。飛行機のまわりを魔女がほうきで飛んでいて、窓越しに目があったり、翼にプレゼントをくくりつけたりするんです。ほぅ……すてき! この絵を見て、こんなふうに魔女に出会えるなんて! と一気に夢中になった私。ちょうど飛行機というものに初めて乗った時期だったたこともあり、この絵はその後ずっと脳裏に焼きついていました。(そしてもちろん、飛行機に乗るたびに窓の外に魔女が見えないかしら、なんて想像もしていました。)

この魔女であるママが本当に魅力的。とにかくかわいいんです。ウインクパチン! でなんでもできてしまうので、魔法を使わずに料理をしたり、ちょっと街を歩こうとするだけでも、ドジばっかり。でもめげずに明るく大らかで、そしてカオリとパパのことが大好きなのが伝わります。

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シリーズ1巻目『まほうの国からママがきた!』より

魔女のおばあちゃまがくれた魔法の鉛筆や、ママの魔法でスト―ブから流れ出す南の島の風お星さまの光の電灯などなど……こどもの頃にぐわっと心動かされたひとつひとつのエピソードは、今読んでもやっぱり心ときめくものばかり。「憧れ」の気もちって、とっても深く心に根差すのだなと、この作品を読むと改めて感じます。

この「憧れ」を物語の中で描きだして届けるパワーは、やっぱり児童書ならでは。この「ママ魔女」シリーズはとくに、マイナスの感情を吹き飛ばすような、ものすごいパワーを秘めています! 落ち込んだとき元気のないとき、ハッピーなときももちろん、みなさんもぜひ体験してみてください。ほぅ……と何度もため息をつくこと、間違いなしですよ!


*****宮尾るりのオススメする1冊*****

憧れの探偵気分を味わえる、名作小説
『少年探偵 怪人二十面相』
(江戸川乱歩/著)

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GWにぜひ読みたい、おすすめしたい本は江戸川乱歩。長いお休みだからこそ、ぜひぜひシリーズで読んでもらいたいと思い、ポプラ社でも歴史のある、”少年探偵団シリーズ“全26巻です。江戸川乱歩の「怪人二十面相」といえば、たくさんの出版社から書籍が出ていますが、自分にとっての江戸川乱歩の本といえば、やはりこの表紙! 

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ちょうどクラスで空前の怪談ブームが起こっていた小学生のころ、図書室で見つけた、怪談とはちょっと違う、その何ともいえない怖さと好奇心をくすぐるイラストに、ドキドキしながら貸出しカードを書いたことを覚えています。明智探偵の助手として変装したり、尾行をしたり、忍び込んだり……。一度はやってみたい!?探偵らしい行動を、小林少年が次々とこなしながら、危険な二十面相に近づいていく様子は、スリル満点。意外とすんなり見つかったり、捕まったり、そんなところも今読むと、思わず、ツッコミを入れたくなる展開もありますが、それでもやっぱり面白くて、何度読んでも夢中で読んでしまいます。

今でもときどき読み返していて、小学生だった自分を思い出すことがありますが、中でも、小林少年の持ち歩く7つ道具は本当に影響が大きかったような気がします。いつか役に立つかもしれないとポケットに忍ばせた虫眼鏡やチョーク、非常食用のスニッカーズなど、自分なりの7つ道具をいつも持ち歩いていた記憶が……。今だったら便利なものがありすぎて、7つも道具がいらないかもしれませんね。

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児童書の素敵なところは、大人になって読んでみると、そんな昔の自分を思い出すことができるところではないでしょうか。こどものころの自分を呼び起こして、このGWは思いっきり夜更かしをして、ぜひ怪人二十面相と名探偵明智小五郎の対決を最後まで見届けてみてはいかがでしょう



*****富山なつきのオススメする1冊*****

小学生の「あるある」が満載
『グレッグのダメ日記』
(ジェフ・キニ―/作 中井はるの/訳)

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この本と出合ったのは、新入社員の時(約11年前)。当時は書店営業をしていました。

日々さまざまな書店さんに行き、弊社の売れた本を補充していくのですが、行く先々で補充していたのがこの『グレッグのダメ日記』でした。

来る日も来る日も『グレッグのダメ日記』を補充しているうち、「どんだけ売れるんだ、ダメ日記……」といつの間にか気になる存在になっていました。

本を開いてみたところ、まず驚いたのその誌面! 横書きで、絵があちらこちらに入っています。

グレッグ

本文より。斬新なレイアウトにおどろきました。

今でこそ横組みの児童書もふえてきましたが、当時の私にはまだ珍しく、一目見ただけで只者ではない雰囲気が伝わってきました。しかもお話がまた面白い!

「ダメ日記」というだけあって、主人公・グレッグの失敗が日記形式でつづられているのですが、そのひとつひとつが「小学生の頃、こんなことで笑ったなー」というエピソードのオンパレード。共感せざるを得ません。

なかでも私がいちばん好きなエピソードが「チーズえんがちょ」。バスケットコートの隅に落ちていたチーズがくさって、それがえんがちょの始まりになるというお話です。えんがちょとか、全身バリアーとか、バリアー返しとか、よく分からないルールでさんざん遊んだ頃のことが思い出されます。しかも、この「チーズえんがちょ」が最終的には親友との友情を取り戻すきっかけになるだから、作者のジェフ・キニ―先生はすごいです。

他にもお化け屋敷を作って一儲けしようと悪だくみする話や、マッチョになって体育の授業で注目を集めようとする話など、(かなり)意地悪で、ドジで、たまーにいいことをするグレッグの姿が、小学生のあるあるエピソードとともに面白おかしく描かれています。

「子どもたちに支持されるのも、納得!」と、当時の私は本を閉じました。

今ではこの「グレッグのダメ日記」シリーズは、世界で累計2.5億冊も売れているそうです(2020年12月時点)。そんなにたくさんの子どもたちがこの本で笑っていると思うと、それだけでなんだか元気が出てくるのでした。




*****小櫻浩子のオススメする1冊*****

家から10分で見つかるかいじゅうの絵本
『てのひらかいじゅう』
(松橋 利光/しゃしんとぶん)

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きらきらした陽射しが夏のおとずれを感じさせる頃。春にめざめた生き物たちが、元気よくわたしたちの目の前にすがたを現わしてくれる季節でもあります。

この絵本は、こどもたちも大好きなカナヘビ・トカゲ・ヤモリの写真絵本。おとなになっても「こういうチョロチョロしたやつ、好きなんだよな」という方も多いかもしれませんね。

庭や近所の公園で見つかるカナヘビたち。近づいてよーく見てみたら?  

「わあ、かいじゅうみたい!」

そんな発見とおどろきを、松橋利光さんの生き物への愛情あふれる写真で伝えます。

てのひら1
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カナヘビとトカゲの違いって? ヤモリってどうして壁をスルスルのぼれるの?
そんな疑問にもしっかりとていねいにこたえます。巻末には、飼い方を紹介するページもついています。

ところで、このnoteを読んでくださっているおとなのみなさんに、わたしがこの絵本をおすすめするのには、もうひとつ別の理由もあります。
それはこの絵本が「科学のはじめの一歩」を教えてくれる1冊だから。


「科学する目を育む」なんてことばをよく聞くけれど、そもそも「科学する」ってどういうことなんだろう?
美しい緑や生き物たちの姿をながめているだけじゃ、それは「科学する」っていわないですよね。じゃあ、どうすれば?
それをこの絵本は、とっても自然に教えてくれるのです。
身近で見つかるカナヘビ・トカゲ・ヤモリ。ただ、眺めているだけじゃなくて、ぐーっと近づいて見つめてみる。
そして見つかる発見とおどろき。それが「科学する」ってことだと思うのです。
そう。近づいて顔を見つめて、「かいじゅうみたい!」と感じることが「科学する」のはじめの一歩。
この絵本は、こどもたちに人気の生き物を紹介するだけじゃない、「科学する見方」がぎゅーっとつまった、でも、とっても手軽で自然に読める1冊なんです。




*****齋藤侑太のオススメする1冊*****

よのなかは 〈こども〉と〈もとこども〉で できている
『もとこども』
(富安陽子/作 いとうひろし/絵)

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こどもの頃は「大きくなったら何になりたい?」と聞かれて、たいして熱意がある訳でもなく、何となく紙工作が好きだったからその延長で家も作れるだろうと、お気楽な理由で「大工さん」といつも答えていました。

ただ、その答えもあながち外れてはいなくて、今でも大工になって家を建ててみたいという憧れはありますし、何も無いところから作家さんと本を組みたてていく編集者という仕事を好きでやっているのも、結局こどもの頃から好きなものはほとんど変わって無いのかな、という気になったりします。

絵本『もとこども』には、こどもの頃から大工になりたいと憧れ続けて(もしかしたら、ただ柱に釘を打ちつけるのが大好きな少年だった可能性もあるけれど)、大工という職業についたおじいさんが出てきます。

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考えてみれば、私もこのおじいさんのように大工になっていた可能性だって、0%ではありません。こどもというのは、やがてどんな存在になるのかが全く分からない人たちで、それを言い当てたり、未来に先回りしてレッテルを貼り、決めつけたりすることは誰も出来ません。

この本は、今生きているすべての大人が、かつてはただ1人の例外も無く、そうした存在だったことを教えてくれます。それは人間に限らず、モンシロチョウもガマガエルもニワトリも、1匹1羽の例外も無く、そうだったとかかれています(彼らは、ものすごく見た目が変わりますが!)。本の中に、 ”よのなかは 〈こども〉と〈もとこども〉で できている” という一節が出てきますが、この事実を、まるで当たり前のことのように「なるほど!」と納得してしまうのは、私が〈もとこども〉だからです。

じゃあ、この事実を、こどもは知っているでしょうか? 自分がこどもだった時のことを思い返せば、きっと知らないに違いありません。それをこどもにも伝えようとするこの絵本は、ものすごく大胆なことをしています! 〈もとこども〉が普段は言ってくれない、秘密のメッセージがこの本には詰まっています。私がこどもの頃、この本に出会っていたら何を考えたでしょうか。そして、どんな大人になったでしょうか。そんなことを想像し、自分に当てはめながら、是非この本を読んでみてください。




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本を紹介した人たち

上野萌
2013年度入社。愛知県出身。noteでは『絵本作家の日常』を担当。

宮尾るり
三重県出身。noteでは『編集者のちょっと3分ください』を担当。

富山なつき
2010年度入社。東京都出身。noteでは『大人の読書感想画展』を担当。

小櫻浩子
絵本から長編読み物、ノンフィクションまで、興味の赴くまま、風の吹くまま、本を作ってます。noteでは『withコロナの暮らしのなかで』を担当。

齋藤侑太
2012年度入社。茨城県出身。noteでは『絵本を思い出すところ』を担当。