くまの子は、本が大好きになりました。『くまの子ウーフ』――絵本を思い出すところ#10
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
森で暮らしている本がいました。
うーふーってうなるから、
名前がウーフというくまの子の本です。
ウーフの本は、考えることが大好き。
いつも世界に「どうして?」と問いかけています。
長い爪に、毛むくじゃらの手。
そう、くまの子です。
ある日、くまの子は森のなかで本を見つけました。
本のなかには、わくわくするようなお話がありました。
読んだあと、これまでとは世界が違って見えました。
くまの子は、本が大好きになりました。
夢中になって読みました。
こんなことは、はじめてです。
くまの子は、起きているときも寝るときも、
ご飯を食べるときにも、
本をそばにおいておきたいと思うほど、
好きになりました。
ページをめくる音が聞こえてきます。
今日もくまの子は、
楽しく本を読んでいるようです。
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『くまの子ウーフ』 作/神沢利子 絵/井上洋介
1969年の刊行以来、世代を超えて愛され続けてきた、神沢利子さんの文と井上洋介さんの絵による幼年童話のロングセラーです。考えることが大好きで、いつも「どうして?」と問いかける「くまの子ウーフ」の姿は、時代を超えて、読む人に新たな発見を与えてくれます。世界に対する好奇心を止めない哲学的な物語と、親しみやすく大らかな挿絵は、こどもから大人までをとりこにする魅力に溢れています。2020年に「くまの子ウーフの童話集」は、新装版として、読みやすいコンパクトなサイズにリニューアルされました。全3巻セットは、かわいいウーフの顔をデザインした箱に本が収められています。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/4159001.html
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(文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸)
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website≫