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セルフ人権回復 その1

入社から半年。
完全在宅業務にて、一緒に働く方々の顔すらも知らないまま働き、人との関わりもほとんどなく、挙句の果てに1週間ほとんど仕事もないときもある、みたいな今までやりたいことを詰め込んで忙しめな日々を自ら送っていた自分にとっては、かなり人権のない生活を送っています。
そんな人権を、3日間の有給休暇+土日の5日間で少し回復させた、というお話。
そのうちの2日間を使って、行きたいところに1人でガガっと行ってきたので、それについて書いていきます。
まあ、そうやって回復させた貴重な人権も、明日からの仕事でまたすぐなくなると思うと、悲しいですね。
好きで会社で働いている人も、楽しくないけど働いている人も、どちらも尊敬します。

人権回復1日目は、まず六本木の森美術館へ。現在開催中のSTARS展がお目当て。
もともと、中学3年生ぐらいから現代アートに興味を持ち始めて、高校生のときには奈良美智さんと草間彌生さん、大学生のときには村上隆さんを知り、グッズを買ったり、展示を見に行ったりしていました。
今回の展示では、奈良美智・草間彌生・村上隆以外にも、李禹煥・宮島達男・杉本博司の展示があるということで、私の現代アートに対する知見を広められるという別の楽しみもありました。
展示としては、各アーティストごとにブース分けされていて、各ブース内に、他人目線と本人目線の引用コメント入りのアーティスト年表と、それぞれの作品が展示されていました。
この年表が個人的には面白くて、各アーティストの生い立ち、アートの根本にある意識、世界的に認められていく経緯、世界的な作品の立ち位置など、ただ作品を鑑賞するだけでは知り得ないことを知ることができると同時に、普通の歴史年表だけではわからないストーリーを感じることができる、そんな年表だったと思います。
この年表をみてから作品をみると、また違った見方ができたような気がします。
正直、自分はアートが好きですが、センスがあって、アートに対して共感できる、といった感性までは持ち合わせていないため、完全に作品を理解することはできないですし、もはやあきらめている部分もあります。
ただ、アートの理解や解釈に関しては、正解が1つということはないでしょうから、自分の可能な範囲で事実を知り、自分なりの解釈をすればいいのではないかと思っています。
つまり、アートの前、あるいはアーティストの前で、変に身構える必要なんてないのだ、ということです。
ということで、展示自体の感想や解釈をここで述べるのは、自分的に少し違うと思うので述べません…。

展示とは直接関係ないのですが、個人的に森美術館の構造や展示の仕方が好きなので、毎回それも楽しみにしています。
私自身、気になる展示があったら美術館や博物館に赴く程度なので、多くの美術館・博物館に足を運んだことがある、とは自信をもって言えないのですが、それでも各館それぞれの空間や構造、展示方法があって、それを味わうのもまた好きなのです。
一般に、最も賃料が高いと言われるビルの最上階を森美術館とすることで、六本木をアートの拠点にするという森ビルの考えがあるのですが、その考え抜きにしても、これだけの高いところに美術館があるのは珍しく、建物の入口から展示の入口までの距離があることで、展示に向けて準備を整える時間というものが存在し、美術館という空間がさらに異空間化していると思うのです。
そのあたりも、森美術館の好きなところです。


さて、STARS展のあとはお昼を挟んで、東京都現代美術館、通称MOTに向かいました。
何年か前にピクサー展に行ったきりだったので、久しぶりのMOTでした。
最近リニューアルしたらしいのですが、記憶が古すぎてどこが変わったのかはわかりませんでした。
その代わりに、ピクサー展の帰りに寄った浅草で宗教勧誘にあったのですが、そのやり口が気に食わなかったため、キレて言い負かしてその場を離れた、という記憶は蘇りました。

MOTは現在3つの特別展を開催していますが、私は
・オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
・おさなごころを、きみに
の2つを選択しました。
私は農学部出身で、環境問題に興味があるので、オラファー・エリアソンの展示は非常に興味深かったです。
特に、作品でメッセージを表現するだけでなく、表現をするための材料や運搬という部分でも環境や自然に配慮している、という点にこだわりと芸術家としての信念を感じました。
正直、何を表現しているかよくわからない作品もありましたが、自然を愛し、労り、それを広めていく、エリアソンさんの意志を感じる展示でした。

おさなごころを、きみにの展示は、子どもも楽しめる展示、かつその子どもの感性を忘れてしまった大人にも響く、そんな展示だったと思います。
コロナ対策もしつつ、実際に触れて体験するタイプの展示もあり、本来人間ってこうして自分の身体を通して何かを感じ、得て、学んでいくものだよなあ、と改めて感じることができました。
アートを難しいと感じたり、芸術性の高い(ようにみえる)ものをアートだと思ったりすることもあると思いますが、この展示は小難しいことを考える必要がなく、単純に楽しめると思いますし、「これもアートかあ」という感じで、身近なところにアートが溢れていることを実感できると思います。

MOTは、1つの展示に割いている空間が広すぎずちょうどいいところが好きです。
特別展をみるチケットを買うと、常設展もみれるのですが、全部みても疲れすぎないです。
とはいえ多少は疲れるのですが、レストラン「100本のスプーン」とカフェ「二階のサンドイッチ」が館内にあるので、途中で休憩を挟んで、1日中楽しむことができます。
それから、外観も素敵なので、おなかを満たしたあとに少し美術館の外観を楽しんで腹ごなししてから、再び展示鑑賞に戻る、というのもいいと思います。


ということで、今回はここまで。
次回、人権回復2日目を振り返っていきます。

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