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パラレルワークの働き方とは?複業について学んでみよう

「パラレルワーク」という言葉をご存じでしょうか?もしかしたら、「複業」という言葉の方がなじみがあるかもしれません。

パラレルワークとは、2つ以上の仕事を掛け持ちするという働き方です。なぜいまこのような働き方が注目されているのでしょうか?今回は「パラレルワーク」と「複業」について理解を深めていきましょう。同じく仕事を複数持つワークスタイルである「副業」との違いも詳しく解説していきます。

なぜ今パラレルワークなのか

実は、昔からパラレルワークのような働き方は存在していました。例えば農業地域であれば、夏の間は収穫を行い作物が取れにくい冬の間は会社員として働く、というようなワークスタイルです。

そういったワークスタイルは生活を維持するためであり、必要に迫られてという理由が多かったようですが、現在のパラレルワークは、時間やお金のためというよりも「自分のやりたいことを実現するため」選ぶ人が増えているようです。

就業規則の改訂

厚生労働省が平成30年に改定した「モデル就業規則」がパラレルワーク増加の流れに大きな影響を与えました。この改定で、それまで原則禁止とされていた副業(兼業)が認められるようになったのです。

そこには「労働者が勤務時間外に他の会社の仕事に従事することができ、合理的な理由なしに不利益を被ることがあってはならない」という内容が書かれています。この改定によって副業・兼業、複業への緩和が広がり、近年では副業を解禁する企業も増えてきました。

また「副業・兼業を促進に関するガイドライン」では近年の副業増加の理由について、従来のように「経済的な理由」だけではなく、「自分が活躍できる場を広げる」「さまざまな分野の人とつながりができる」など、現代人の働き方を選択する理由や働き方の選択肢が多種多様であることについても触れられています。

副業と複業の違い

厚生労働省のガイドラインでは、複数の仕事を掛け持ちするワークスタイルについては「副業・兼業」という表記をしており、パラレルワークという言葉は使っていません。

では、「副業」と「複業」「パラレルワーク」の違いはどういったものなのでしょうか。

ちなみに「副業」「複業」と読みが同じ言葉に「復業」というものもありますが、こちらは「都合により離れていた職場に復職する」という意味合いですので、今回は省略します。

副業

「副業」は本業以外に仕事やアルバイトをして収入を得ることです。本業を「メイン」として捉えており、「空いた時間に副収入を得る」という「サブ」としての意味合いが強いようです。

複業(=パラレルワーク)

「複業」も複数の職を持つことに変わりはありませんが、「メイン」「サブ」というすみわけではありません。どちらも本業、もしくは同じくらいの熱量で取り組む点が「副業」と異なると言われています。パラレルワークのパラレルには「並行した」という意味がありますので、一般的に「副業」ではなく「複業」と訳されます。つまり、パラレルワークと複業は同じ意味です。

どちらも複数の仕事を持つという意味では同じ

副業も複業(パラレルワーク)もどちらも、複数の職を掛け持ちするというワークスタイルであり、あまり言葉の使い分けに神経質になる必要はありませんが、複数の職を並行して掛け持ちするのが複業(パラレルワーク)であり、本業の他にサブとして仕事を持つのが副業です。

「パラレルワーク」「複業」はいわゆる通称ですが、前述した通り意味は同じですので、ここからは基本的に「複業」と表記します。

「複業」の色々な働き方

「複業」のワークスタイルは、大きく分けて4つに分類することができます。それぞれの良さがありますので、自分の理想とするスタイルと照らし合わせてみてください。

複数の企業で働く

このタイプのワークスタイルを選択する場合は、当然ですが働く企業がどちらも複業を認めていることが最低条件になります。

前述したように「複業」は通称であり、複数の仕事を持つことを認めている企業は一般的に「副業」を認めており、メインの企業に正社員として勤務する場合はどうしても仕事の比重に偏りが出てきます。

そのため、複数の企業で同じように働くという場合は、フリーランスとして複数の企業から仕事を請け負うスタイルや、複数の企業の役員として所属するスタイル、自分が社長として複数の企業を経営するといったスタイルになるでしょう。

また、複数の企業に属する場合は、企業側が複業を認めるに値する人物なのかどうか、個人の力量も求められることになります。ハードルは高いですが、比較的安定した収入を得ることができますし、キャリアの幅を広げたり多くの人脈を得る機会があったり、ということが、複数の企業に所属する強みでしょう。

企業ベースで個人でも働く

企業に属しつつ、個人で仕事を請け負うスタイルです。このワークスタイルなら、被雇用者である安定を持ちながらも自分の好きなことや得意なことで収入を得ることができます。

雇用形態はさまざまですが、正社員や派遣社員として企業に所属するなら、社会保障を受けながら働くこともできます。ただしその場合は複業ではなく副業に近い仕事の比率になるかもしれません。

企業で得られた知識や経験に加えて自分のやりたいことに取り組めるのは大きなメリットでしょう。個人の仕事が軌道に乗ることで、企業での働く比率を減らして「複業」に移行したり、完全に独立したり、段階を踏んでフリーランスに移行する人も多いようです。

個人ベースで企業にも所属する

個人として仕事を請け負いつつ、企業にも所属するスタイルです。個人が主軸になる点が企業ベースで働く人とは異なりますが、企業に所属することで責任感を持ち、チームワークを生かしながら働く経験ができる点は同じです。

個人の仕事に力を入れながら、企業でしかできない業務にも携わることができる点がこのワークスタイルを選ぶメリットです。

個人で事業を請け負う

個人事業主・フリーランスなど、完全に個人として複数の業務を請け負う働き方です。

雇用のような制約が少ない上に、自分の経歴や専門性を十分に生かした働き方ができます。仕事もプライベートも好きなように自分で決めることができるのは魅力的ですね。ただ、安定した収入が保証されているわけではないため、続けていくのはそれなりに大変です。

パラレルワークを始めるにあたって

この項では、パラレルワークを始めるにあたって、必ずやっておきたい3つのことを解説します。

やりたい理由を明確に

パラレルワークを考えたことがある人は、少なからず「始めたい理由」があると思います。改めてその理由を明確に言葉にしてみましょう。書き出してみるとより整理しやすいでしょう。

なぜわざわざ明確にする必要があるかと言えば、「始めたい理由」が「どのような仕事が向いているか」の指標にもなるからです。例えば「働く時間や休日を自由に決めたい」という人なら、フルタイムで出社するタイプの働き方は選択肢に上がらないはずです。

「何を・どのように・なぜしたいのか?」をよく考えることで、どのような仕事が自分に合っているのか、取捨選択することができます。

自分のスキルを整理してみる

「複業」「パラレルワーク」を実現することだけが目標になってしまうと、無理な働き方になったり生活が成り立たなくなったりする可能性も。また、「やりたいこと」と「できること」がかけ離れているとそもそも仕事を受けることすらできません。

まずは、自分の強みやスキル、業績を全て書き起こしてみましょう。自分の強みは意外とわからないもの。そんな時は周りの人に頼ってみてはどうでしょうか。仕事仲間や友人、家族に聞いてみると客観的な評価や意見をもらえます。

自己管理をしっかりと

「複業」には色々な働き方があるとご説明しましたが、どのワークスタイルであっても自己管理は必須です。

仕事には納期があり、結果も求められます。忙しいことは仕事の質を落としても良い理由にはならないのです。複数の仕事を持つのですから仕事のペース配分やスケジューリングはしっかりと行いましょう。

また、体調やメンタルの管理も重要です。やりたいことだから、好きな仕事だからと、頑張りすぎてオーバーワークにならないよう気を付けましょう。

また、ビジネスマナーを意識したりコミュニケーションを円滑に行ったり、というのも実は自己管理のうちです。「納期を守る」「迅速に返信をする」など、当たり前のことを着実に積み上げることで信頼度を上げ、自分の印象を良いものにすることができます。

こういったことで信頼度を上げるのは一見地味に見えるかもしれませんが、長い目で見ると良い仕事に繋がります。信頼関係を築くことが自分の評価を上げ、仕事を増やすことに繋がるのですからやらない理由はないですね。

複業のメリットとデメリット

複業について理解できたところで、複業に関するメリットとデメリットも確認しておきましょう。複数の仕事を掛け持ちすることで生じるメリット・デメリットなので副業にも通じる内容です。

メリット

自分の理想を形にできる

軌道に乗るまでの時間は人それぞれですが、自分に合った自由なライフスタイルを実現できるのが大きなメリットでしょう。

希望する生活や収入によって、企業・個人といった働き方の比重を変えることもできます。経験やスキルを積むことでその先に新しいステップが見えてくることもあるでしょう。

収入やキャリアを管理できる

1つの会社に所属することが将来の安定とは限りません。収入を複数の仕事で得ることができれば、収入面でのリスクを減らすことが可能です。

また、複数の企業を経験することで、自分に合った環境や働き方がどのようなものかを知ることもできます。将来、起業をしてみたいという希望がある方も、ステップのひとつとして複業を体験してみると良いかもしれませんね。

デメリット

働く先が限定される

近年、複業や副業という働き方が増加していることは前述した通りですが、就業規則として複数の企業で働くことを認めていない会社もまだまだあります。

会社員を続けながら複業を希望する場合は、就業規則などをよく確認するようにしましょう。

仕事への熱量が分散される

複数の仕事を抱えることになるため、仕事への労力をうまく分散させてマルチタスクをこなす必要があります。自己管理として必要なスキルではありますが、特定の業務に全力で取り組みたい人にとってはデメリットになるかもしれません。

メリットやデメリットはそれぞれありますが、そもそもパラレルワークに限らず、どんな事業も最初から軌道に乗ることはあまりありません。

壁にぶつかることが自分の知識や経験を生かすチャンスに繋がる場合もあります。時に軌道修正が必要なことはありますが、自分が何を目指しているのかという軸がぶれないよう、計画性や見通しをもつことが必要です。

パラレルワーカーになろうと思ったら

職の探し方には色々ありますが、パラレルワークを実現させるための企業や案件の見つけ方の例を、いくつかご紹介したいと思います。

サイト経由で探す

大手求人・転職サイトでは、勤務場所や希望月収と言った基本項目以外にも、「副業・Wワーク可」の項目で検索する機能がついていることが多いため、探しやすいです。近年は副業や時短に特化した業務を紹介する派遣会社などもあるので、そういった案件も求人サイトで見つけることができます。

クラウドソーシングサイトでは、主に個人事業主やフリーランスの方に向けた案件が掲載されています。案件や業務単位で仕事を依頼している場合が多いため、いつでも仕事を探すことができるのが魅力ですね。

知り合いに聞いてみる

パラレルワークを始めたい意思を周りの人たちに話してみると、経験者や情報を知る人からアドバイスをもらえるかもしれません。仕事に繋がるチャンスを得られることもあるでしょう。

紹介を受けて仕事を請け負うのであれば、紹介した人の評価にも繋がりますので、より自分の振る舞いに気をつけるようにしましょう。

また、直接雇用に繋がるものではありませんが、最近では様々な場で働く人同士が情報交換をするアプリなど、働く世代の今をオンライン上で共有できるサービスもあるようです。自分のつてで仕事を見つけることが難しくても、同じような境遇で仕事を探していたり働いている人たちの話を聞くことができれば、さまざまな情報を得ることができます。

副業が複業になる日

パラレルワークを目指す人の多くは、何か目標があって仕事に向き合いたい傾向にあるようです。多種多様な働き方が認められつつある現代においては、仕事が1つでなければいけない理由も会社員でなければいけない理由もありません。

近年、社会情勢や制度の改定も併せて、生活や仕事をより高い自由度において選択できるようになりました。まずは、今の自分がどのような状態であるのか整理して、そのキャリアの延長上にどのような働き方が合っているのか検討してみましょう。どのような働き方でもメリットやデメリットがありますが、自己管理の練習も兼ねて「副業」からチャレンジして少しずつ仕事の比重を変え、「複業」へとワークスタイルを変えていくのも良いかもしれませんね。

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