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【ゆったりしたお金持ち-76】病気のときでも思いやりの心

 病院の清掃員をしている人から聞いた話です。

 病院には入院患者用に大部屋や個室が用意されていますが、個室の差額ベッド代は保険適用とはなりません。その人が勤務する病院の個室は、設備の内容などにより個室のグレードが分かれていて、一番高級な個室は病院と言うよりはホテルのような感じの豪華な部屋なのだそうです。

 そのような個室に入院している人はそれなりにお金持ちであることは想像がつきますが、掃除に行くたびに部屋がきれいに整っていることに驚かされるそうです。

 ある入院患者さんは、ごみ箱のごみを回収に行くと、いつも小さなポリ袋に入ったごみを渡してくれるそうです。

 ごみ箱の中のごみを自分で取り出し、小さなポリ袋に入れ、口をしっかりと閉めた状態にパッキングして渡してくれるのです。

 ごみの回収は、1つ1つのごみ箱をかがんで回収し、また元の位置に戻すという作業が必要ですが、それを簡略化してもらえて嬉しかったと言っていました。

 大部屋の患者さんに比べると、グレードの高い個室の患者さんほど挨拶を丁寧にしてくれる人が多く、仕事に対してのねぎらいの言葉をかけてくれる人も多いそうです。

 また、清掃がしやすいようにと、さりげなく部屋から出て行く心配りをする人もいるそうです。

 入院しているということは、病気を抱えていたり怪我の治療を行っていたりするということですが、自分が大変なときでも周囲に思いやりの心を持てるのは素晴らしいことだと話していました。

 清掃員をしていると、邪険に扱われたり見下されたりすることもあるそうです。

 しかし、丁寧な対応をしてもらえると、それだけで仕事にやりがいを感じることができるので有難い気持ちになるそうです。

 お金持ちの人は、自分が辛いときでもゆとりを持って他人と接することができるのかしら、と話していました。

 清掃中も気さくに声をかけてくれて親切な人が多いという印象を持っているとのことでした。

 とても勉強になる素敵なお話を伺うことができました。

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