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一人晩酌で記憶を失くす。

社会人4年目。男性。独身。彼女なし。趣味は週末の競馬観戦。

これが僕の現在を表す全てである。

平日は仕事が忙しく、帰ってきて寝るだけとなっており、友人関係も限られているため、休日もどこかへ出かけることはほとんどない。

唯一の楽しみは、毎週金曜日に開催される「一人晩酌」である。主催も主賓も自分という、週に一回だけの贅沢な時間だ。

晩酌で振舞われるお酒はというと、平日のお昼休みに、カップラーメン片手に選んだ、その週で最も気になっているお酒である。口コミやSNSでの評価、製造所や作り手のインタビューなどを網羅的にチェックし、一品を選りすぐる。

そのお酒を小脇に抱きかかえ、借りてきたDVDを見ながら晩酌するのだ。

お酒の種類は、ビールから焼酎、日本酒、ワインと種類を選ばない。今週は最近巷でも人気のチリ産ワイン、「コンチャ イ トロ カッシェロ デル ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨンだ。「ふくよかでエレガントな味わいのフルボディ」をいう売り文句に誘惑されてしまい、仕方なくAmazonでポチった一品である。

いつも思うのだが、ワインの名前を覚えられた試しがない。長すぎるし、不自然なカタカナの羅列に拒否反応が出る。日本酒やウィスキーみたいにシンプルな名前にすればいいのに、とブツブツ呟きながらワインオープナーを引っ張り出す。

つまみは食べない派である。ただひたすら酒を口に運び続け、舌で弄ぶ。そして、口の中がお酒の味で充満した頃に嚥下する。漫才でいうと、「もうええわ」である。

そうして酒と一緒に、映画の世界に溺れるのだ。土曜に何も予定がない人にしかできない芸当である。かれこれ、もう3年はこうした金曜日を過ごしており、習慣となってしまっていた。

この時間のために働いている。本気でそう思っている。邪魔をするものは何もなく、ただひたすら映画を観て、酒を飲む。「暗い趣味だな」と我ながら思う。

こうした晩酌のスタイル上、記憶をなくすこともしばしばだ。酒を飲んでも行動や顔には出ないタイプであるので、グラスを片付け、電気を消して、布団にくるまっている状態で目が覚めるのだから、世話はない。

ひどい時は映画の冒頭の人物紹介やイントロしか覚えていない時もあるが、それでも後悔はない。1週間の疲れ、嫌なこと、楽しかったことや嬉しかったこともひっくるめて忘れることで、次の一週間への気持ちを整えることができるのだ。

社会人も4年目になり、そろそろ結婚を見据える時期でもあるが、この習慣をやめないと出会いがないし、出会ったとしてもこんな酒クズと末長くお付き合いしてくれる女性などほとんどいないであろう。

それでもまだこの習慣はやめられないな、と思う。

いつか、この生活を脱する時が来るのだろうか。
それとも、「いい趣味だね」と分かち合える女性が現れるのだろうか。

そんなことをぼんやり考えながら布団から這いずり出す。

時計の短針はまだ上を向いていた。

日本酒の飲み方を変えて、日本酒が飲まれるシーンを増やしたい。日本酒カクテルの素、ぽんしゅグリアです。ぜひ一度HPに遊びに来てください。 ぽんしゅグリア公式HP:ponshu-gria.com