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素敵な映画と出会う


周りの友達にはまだ話したことのない趣味がある。


それはアマゾンプライムでしっとりとしたヒューマンドラマを観る事。


わたしはアニメやゲームは割とバイオレンスでアクションが派手なものを好むのだが、
洋画に関しては深い味わいのあるものを選ぶというギャップを持ち合わせた人間である。


その中で今回観よう!とおもったのは「幸せの絵の具


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(c)2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.

日本では2018年に全国の映画館にて公開。

カナダのアカデミー賞に相当するカナダ・スクリーン・アワードで数々の賞を受賞。



そういえば何かの映画を観た際、
予告で見かけて「面白そうだな」と思いつつ観に行ってなかった作品だ。


ちょうど良かった。


※以下感想とあらすじを書くが、ネタバレしまくっているので今から観る予定の人はここで引き返すことをオススメします。


この作品は、1900年代初期のカナダの田舎で、後に画家となるモード・ルイスの人生を描いた作品だった。


リウマチを患っていて上手く歩けない。


周りの親族も冷たい。


その中でも兄は特に酷く、勝手にモードの家を売却。


いや…普通に酷すぎる…


行く宛を無くしたモードは、たまたま求人に出てた家政婦の仕事を見つけて雇い主の家へ訪れる。


この雇い主がまた…


初っ端から心が不安定な様子で、声を荒らげるシーンがあったので嫌な予感がした。


すごく物静かで、繊細そうで、かつリウマチのせいで上手く歩けないモードを見てると
「絶対にアイツに会わせてはならない…!」
と思ってたのに、そんな雇い主の元へ行くなんて!!!!と最初はヒヤヒヤだった。


案の定、雇い主のエヴェレットからは冷たい扱いを受けながら家政婦として働かされる。


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(c)2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.



見ていて心が辛かった………


この物語、救いはあるのかな???と暗い気持ちになっていたが、


徐々に出てくるモードの絵の可愛さに心が踊る。



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Three Black Cats” by Maud Lewis. Courtesy of the Art Gallery of Nova Scotia, all rights reserved.

可愛い!!!



オシャレで色使いが美しくて、絵本とかあったらすごく綺麗なんだろうなと。


最初はモードの絵に対して「そんなもの子供でも描ける」と皮肉ってたエヴェレットも、
モードの絵に魅かれた人が続々と顧客として付くようになってからは無愛想ながらに支えている感じが段々可愛く見えてきた。


そしてついにはニクソン副大統領が絵を買うまでに!!!!


急にデカすぎる展開!!!


テレビの取材が入り、ますますモードは忙しくなっていた。


すごい感動の成功物語じゃん!!と目を輝かせたのも束の間。


多くの人の目に晒されたエヴェレットが次第に自己嫌悪に陥る。


「おれは最悪な亭主だと皆から言われるようになった」


テレビに映ってた態度が悪かったんでしょうね…。

(つい自業自得なのでは…と思ってしまった)


しかしそこからモードの家出などを経て、エヴェレットは段々彼女に対して暖かくなっていった。


家出をした後、夕焼けの中ブランコに2人で乗り、「おまえは俺の女房だ」と静かに言って嬉しそうにモードが笑みを浮かべるシーンはとてもじんわりきた。


またモードの従順さというか、
エヴェレットにどれだけ冷たくあしらわれても「あなたは素敵な人よ」と静かに伝え続ける愛情深いところがもう泣けてしまう。


洋画を観ると大抵は強い女の人が出てきて、不機嫌な態度を取られたならば「じゃあ出てって!!」と強く言い放つようなキャラクターがよく出てくる。


それもそれでスカッとはするんだけど、
モードのように忍耐強く愛情を伝える姿はとても心打つものがあった。


モードが病に倒れた時、エヴェレットが静かに彼女の胸に頭を近づけるシーンは視界が緩んだ。


物語は彼らの人生の終わりをハッキリとは描かないのだけど、
なんとなくは予想が着く。


最後のシーン、
エヴェレットは壁に描かれたモードの絵を1人悲しそうな目で見つめている。


彼女の絵画道具の中には、当時エヴェレットが家政婦を募集した時の紙がまだ大事に保管されていた。

……………


エヴェレットは、最初はとても嫌いな奴だったが徐々に不器用ながらにモードへの愛情を垣間見せる姿が可愛いと思うようになっていった。

(俗に言うツンデレってやつなのかもしれない…)


モードもきっと好きな人とずっと一緒にいれて幸せだったんだろうな。


最後に出てきたモードの嬉しそうな安らかな顔が目に焼き付いている。


決して派手な演出や快進撃みたいなイケイケな感じは無いのだけれど、
全体的に静かながらもしっとりガツンと感情が伝わってくるシーン、そして美しいカナダの田舎風景がとても心に残る映画だった。


言わずもがなモード・ルイスとエヴェレットは実在した人物で、Wikipediaに彼等のその後はしっかりと記されている。


それを見たことを少し後悔したが(エヴェレットの最期が辛かったので)


2人とも天国で今も絵を描き続けているに違いない。と思うようにした。


深い味わいのある、素敵な映画に出会えたことを嬉しく思う。


観終わった後、1人で誰もいない公園を散歩したのがまた良くて。


余韻に浸りながら草木の香りを嗅いでいると、
モードのように静かな風景を見て幸せを感じる感性を大事にしたいなぁと思った。


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