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【創作】 お花畑

この世界から花がなくなった
ついでに、マヨネーズもなくなった

大統領が、花とマヨネーズが嫌いだったから

この世から、父がなくなった
母が大統領の妻となった

大統領は、うちの母親がタイプの女性だったから

桜も消えた。母は花という名前だった気がする
気がするというのも、医学は進歩し過ぎて、
人間はもう死ねないのだ。母が消えたのは、何百年も前のこと。母には会いたくても会えない。ここ最近貴方の名前すら薄れてきた
私の顔は、父に似ているから。
我儘な大統領は決して、会わせてくれないのだ



父は、大統領と幼少期からの幼なじみと言うやつで、
大統領は当時貧乏だった為中学まで酷いいじめを受けていたらしい。いじめを止めると被害者の成長に繋がらなくなってしまう為、いじめを止めた者は罰金1億円というハチャメチャ法律のため、父はヒーローなんかにはなれず、父はそのいじめを傍観するしかできなかった。

父は大統領と、友達になりたかったと言っていた

でも、高校生になり自体は一変した
異常気象で世界が真っ逆さまになり、立場が全て入れ替わったのだ。つまり、貧乏だった大統領は、大金持ちになった

余って仕方の無いお金を使い、お金で人に投票をさせ大統領となった。他にもお金持ちになり大統領になろうとした元貧乏もいたが、大統領は賢かった。
絶対いつか周りを見返してやろうとずっとずっと勉強していたのだ。憎しみというエネルギーを使って


父は比較的普通な家庭で育ったので何も支障は出なかったが、性格も、顔さえお金を得たことで変わってしまった大統領を見るのは辛かったと言っていた

もう、大統領とは友達になれないと思ったって

父は大学で、彼女ができた
私のお母さんだ。2人は愛し合い、私が産まれ、
大統領には大統領なのに奥さんがいなかった



突然家に大統領が来た。
私はまだ4歳程度だった

お前だけ幸せで、許せない

母は連れてかれた。父もどこかへ連れて行かれた
私は親戚の家に預けられた

大統領の事が嫌いと言うと、
叔母さんにはそんなこと言うんじゃありません!
叔父さんにはバチが当たるぞ!と殴られた。

お前らに何がわかる
大統領から沢山のお金を貰い、私達の住所をバラしたことを私は知っている


死ねない日々が続く、明けない夜はないなんて言葉は無意味で、この国から花は無くなり、私は何も楽しく無くなってきた。辛いのも、こんなにも生きたら辛くなくなってきた


死ねないという制度を作り出したのもその大統領だった
国民はみんな喜んだ。この、小さなマイクロチップさえ埋め込めば不死身の体です。皆はすぐマイクロチップを埋めに行き、辛いが消したくて拒絶していた私は、寝ている間に埋め込まれた。取りたくても、取れない
どこに埋め込まれたかさえも、分からないから。

ただ、大統領は後からこんな報告をした
「マイクロチップの入っている皆さんは、
花のことを誰かに伝えようとすると死にます。
花のことなんて、貴方達はもう死なないんですから忘れてしまいましょう。花がなくても世界は綺麗だ。
花という名を呼ぶのは、この私だけでいい」



皆、多分花のことは忘れた。
けど私は覚えている。花はとても綺麗で、色んな種類があって、花言葉なんて素敵なものもあって、ドライフラワーなんてものもあって、プレゼントにも最適。すっごく綺麗だ



私は結婚する事にした

いつ出会ったか忘れたくらい前に出会って、それからずっと一緒にいた、これから先も一緒にいたいと思うこの人と。

それで幸せだと思っていたかった。
でも、彼には言いたかった。
私の大好きな家族全員が、
大好きだったお花のことを



何気なくコタツに入って2人で話している時、
私は話した。心が冷たくなっても、きっとこのコタツが彼の心を暖めてくれると思ったから。そんな理論、むちゃくちゃだなんて事も分かってる


…ねえ、花って知ってる?

頭痛が出てきた

花はね、咲くの。つぼみから、花になるの

息が苦しくなってきた

花はね、例えば薔薇はこんな形をしていて

絵に描いて表そうとすると、指の骨が全部折れた

…薔薇はトゲがあるの。でもね、とっても綺麗でいい香りもするのよ。家ではよく入浴剤なんかにもしてて

目が見えなくなった。でも、涙は止まらなかった

お願いだから、貴方は覚えておいて。
すっごく素敵なの、すっごく素敵なの。すっごく素敵だから。花のこと、覚えておいて。

耳が聞こえなくなってきた



お母さん、お父さん、教えれたよ
私の一番大切な人に
私達が大好きだったお花のこと。

死んだら私、何処に行くのかな?
でももうあの大嫌いな大統領の顔を見ないで済むのならば、、、

意識が飛ぶ少し前の瞬間、
私の左手に、彼が私の描いた薔薇の絵を握らせてくれた。多分、この暖かい水は、彼の涙だ。

覚えておいて。私の大切なお母さんの名前だよ
そして、離ればなれとなった私達を繋ぎ止めてくれる凄く大切な存在。私はあなたの性格のことを、まるでスミレみたいだって表現したかったの。

どんどん意識が遠のいて、段々白い世界が見えてくる
ゆっくりと目を開け、ふと前を見ると、そこには果てが見えないほどの花畑が広がっていた





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