抱っこ 抱っこ が強さを育てる 【エッセイ】よもやま子育て話4
長男が生まれて 初めての子育ては
分からないことだらけでした
出産前も出産後も里帰りをしなかったので
経験も知識もない新米ママが
訳も分からず必死に育てようと右往左往する日々でした
今思うととんでもなく恐ろしいことをしていたな
無事育ってくれてよかったな
と胸をなでおろすことばかりです
母乳の出が悪かったため 息子が必死で飲もうとするたびに
左右の乳首が切れてしまい 激痛に耐えながらの授乳でした
それでも十分な量の母乳が出ないので
ミルクを飲まそうとするのですが 嫌がって飲んでくれません
体重が増えない日が続くと
このままじゃ死んでしまうと焦ってしまい
何を血迷ったかとんでもないものを哺乳瓶に入れて与えていました
イリコやゴマ、鰹節にきな粉、、、
とにかく栄養が豊富で体によさそうなものをミキサーにかけ
お湯で溶いたものを与えていたのです(;^ω^)
何とか栄養を摂ってもらわなきゃ息子が死んでしまう
無い知恵を絞って辿り着いた ありえない悪魔のドリンクです
(息子は案外気に入って飲んでくれました(笑))
今思うと恐ろしい
蜂蜜を一歳未満の乳幼児に与えてはいけないと知ったのは
第二子の娘を産んでからの事
息子にはたーっぷり与えていました
あー恐ろしい
超寒がりの私は 冬になると 息子も寒かろうと
ホットカーペットの上にバスタオル一枚敷いて寝かせ
毛布を頭までしっかりかぶせ
な、な、なんと、、、ダニ退治設定に合わせるという愚行
脱水症の危険があるなんて全く思わなかったぁ
これまた恐ろしいー
息子よ 無知な母で ごめんね
何事もなく育ってくれたから笑い話で済むけれど
母は 取り返しのつかない失敗をするところでした
無事に育ってくれて本当に良かった
ありがとう
今振り返ると
もっと育児書を読み漁るとか
誰かに教えを乞うとか
何故しなかったのかと悔やまれてしまいますが
あの時は
人に頼るという発想がなかったんです
人に頼らず立派に育てなければと気負っていたわけではなく
次から次へと襲ってくる問題に
とにかく必死で立ち向かっているという感覚でした
『これは厄介だ、誰かに相談してみよう』
と立ち止まって冷静に考える余裕がなかっただけなんです
主人にすら相談しないことが多かったのです
娘の時には愛読書となっていた
『たまごクラブ』『ひよこクラブ』の存在も当時はまだ知りませんでした
ただ一冊
どうしようもなく不安になったときに
何度も何度も開いて読んだのは
手のひらほどの小さくて薄い冊子です
出産後間もなく出かけた子供用品売り場のベビーカーの横に置いてあった
日野原重明医師の書かれた小さな冊子でした
今はもう手元には無いため正しい言葉は分かりませんが
『いっぱい抱っこをしてあげてください』
『何歳になっても沢山抱っこをしてあげてください』
『抱っこをしてもらった数だけ子供に優しさが生まれます』
『安心できる経験が子供を強くします』
こんな感じのことが先生の言葉で書かれていたと思います
どこまでがそのとき読んだ言葉か
どこからが自分が子育てしていくうえで実感したことか
分からなくなっていますが
とにかく
この冊子を手にして読んだ時に今までに経験したことのない
衝撃を受けたのを覚えています
愛情ってストレートに表現していいんだ
抱きたいだけ抱っこしてもいいんだ
時代がそうだったのか
我が家の教育方針がそうだったのか
その冊子には
私が親から教えてもらったこととは全く違うことが
書かれていたのです
孫の様子を見に来てくれる私の母親からは
抱っこ癖を付けると甘えたになるとか
泣くのは子供の仕事だからほっときなさい
と言われていたので
抱っこしたい気持ちを無理やり抑えて
それが我が子のためだ と耐えていましたが
『抱きたいだけ抱っこしたらいい』
『安心できる場所があると強くなれる』
という言葉はほんとうに驚きでした
その言葉に出会ってからは思い存分抱っこをしていました
長時間強く頭を揺らされると血管が切れてしまう
『揺さぶられっ子症候群』なるものの存在を知らなかった
当時の私は だっこ だっこ だっこ とにかくだっこ
二人目が生まれるまでは ベビーカーを買わず
出かけるときも 公園でママ友と話しているときも
寝つきの悪い子どもを寝かしつけるときも とにかく抱っこ
だっこして ゆらゆら トントントン
トータルで何時間抱っこしているのってくらい抱っこしていました
血管が無事でよかったー(笑)
あの時あの冊子を手にして
日野原重明医師の言葉に出会えたこと感謝しています
あの時読んだ言葉の意味が今はよく分かります
子どもに限らず大人になってからでも
自分を受け入れてくれる人や場所があるというのは
とても心強いものです
心を強く持てることが
新たな一歩を踏み出す原動力になります
ボクシングのセコンドのように
振り向けば必ず受け入れてくれる場所がある
時にはアドバイスをくれて
時には叱咤激励してくれる
そんな心強い味方がいるから
たとえ今 どんな不甲斐ない戦い方をしていても
何度も何度も立ち上がって一歩を踏み出せるのだと思います
社会人と大学生になった二人の子供は
今 独立して家を出ていますが
しょっちゅう電話やラインをしてきます
愚痴を言ったり時には弱音を吐いたりする
ちょっと甘えたところが残る大人に成長しました
でも二人とも
ちゃんと自分の足で歩いて
自分の力で困難に立ち向かって
自分のことを好きでいられる
素敵な人間です
上手くいかないことがあったり 自分を不甲斐なく思ったり
とことん落ち込んだり 自信を無くしたりすることもあるようですが
必ず自分にとって今必要なことを見つけようと
新たな一歩を踏み出します
それで事態が好転しなくても目の前の状況に折り合いを付けて進もうとする姿は尊敬に値します
我が子ながら素敵です
私はそんな二人の最高のセコンドであり続けたいと思います
今も昔も全くもって頼りない親ですが
二人が弱音を吐いたり相談してきたときには
最後に「応援しているよ」という言葉を
送り続けたいと思っています
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