私の中のハリスおばさん
高校生の頃読んだ、ギャリコの『ハリスおばさんパリへ行く』は
家政婦のおばさんが、憧れのブランドのドレスを夢見て
パリに行く(超ざっくり)、というワクワクするお話。
その映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』が、
近くの下高井戸シネマでも上映されるらしい。
懐かしくて思わず予告案内を見たら、
私の思い出の中のハリスおばさんとはずいぶん違う!
文庫本で読んだ私のハリスおばさんのイメージは、
もちろん挿し絵にインスパイアされて
なんかこう… もっと全体的に古めかしくて、乾いたモノクロのイメージ。
それでも、ささやかなアフタヌーンティーを楽しんだり、
半地下の部屋に慎ましく一人暮らしする家政婦のおばさんが
生き生きと描かれていて、
そのおばさんが、ディオールのドレスに一目惚れしてパリに行く
というギャップが楽しかった。
それが映画のチラシには、おばさんとも呼べないような
みずみずしさ溢れる生身(当たり前)の女性が!
まるで女優のよう。(もちろん女優だけど)
私が大事にしまってきたモノクロームのイメージが、
現代版の色彩とシズル感に軽〜く蹴散らされたようだった。
まあ、実写版あるあるなんだろうけど。
とにかく、私なりに想像で創造したイメージも
それはそれで捨てがたく、これからも大事にとっておきたい。
そんなギャップも楽しいもんだと、大人の余裕を見せようと思ったけど
さらなる懸念が…
何事も忘れがちなお年頃の今日この頃、
この映画を観てしまったら、かすかに残っていた学生の頃のイメージが
すっかり塗り替えられて、忘れてしまうんじゃない?
思い出せなくなっちゃうんじゃない?? ってこと
大人になって、さらにもっと大人になると
若い頃には想像もつかなかったようなしょうもない心配事が、
色々起こるようになるもんだー。(笑)
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