【短編小説】エス・エス・アールがでないので
「勇者様、助けてください! 村に魔物が……」
息を切らせた私に勇者は無言のままだった。代わりに彼の傍に居た女性が口を開く。
「あ、どうやら村人が襲われているみたいよ。助けに行きましょう!」
「お願いします。勇者様、私はフィーネと申します。未熟ですが、杖の心得があります!」
「フィーネ、ありがとう。私はクロス。そしてこっちはあよ。よろしくね」
私は少し考え込んでしまった。あ、というのがこの男性の名前らしい。となると、先ほどの女性の「何かに気づきました」という態度は私の解釈が